「私の授業が退屈で子供が聞いてくれない」と悩む先生へのアドバイス|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
今回は、1年目教員・みーこさんから寄せられた悩みに、ぬまっちがアドバイスします。
「今年から小学校教諭になりました。クラスには授業中、座ってくれない子がいたり、友達に手をあげてしまう子もいます。 また、授業が面白くなくて子供たちが退屈してるのがすごく分かるのです。正直辛くてやめたい時もあります。どうしたらよいでしょう?」
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現状分析できているだけでも一歩前進だと考えよう
せっかく苦労して教師になったのに、辛くてやめたい気持ちになってしまうほど苦しい状況になってしまっているのであれば、それは本当に悲しいよね。
今年は、新型コロナウイルスの感染拡大で、先生方も子供たちもイレギュラーなことが多く、精神的にも物理的にも落ち着かない状態からのスタートだったから、特に大変だったと思う。
そういう意味でも、いろいろ大変だと思うけれど、「自分の授業が面白くなくて子供たちが退屈している」という現状分析ができているのだから、それはすごいことだと思うよ。
何かのせいにするのではなく、ちゃんと自分事と考えているのだから、それは教師としても、人間としても、とてもよい姿勢だと思ってよいと思う。
だからこそ、「これから」が重要なんだ。
校内に相談者がいないなら、校外に目を向けよう
まず、子供たちが落ち着かないことに対して、「自分の授業が面白くなくて子供たちが退屈している」という原因がはっきりしているのだから、この課題を何とかしよう。
目指すポイントは、「授業をもっと面白くなるよう工夫をすること」だ。もし自分で考えてもうまくいかないのなら、人の手を借りるのが一番! 新任の先生なら、やはり指導教諭や校内の信頼できる先輩教師に相談するのが最適解だとは思う。でも、その最適解を実行することが難しい現実もあるのかもしれないよね。
指導教諭との相性が悪かったり、校内の先生に相談することに対して、なんらかのハードルがあるのかもしれない。
そうであるならば、校外の研修や講習会、講演会に参加してみるのもよいと思う。
お金をかけなくても、区教研、市教研といった研修会のほか、各都道府県で開催している研修会もある。
校内に相談できる人が少ない人におススメなのは、ある程度、参加者が固定されている研修会や講演会、オンラインサロンなどに参加すること。その後も何度も会う機会があるので、自分に合うと思った先生から、継続的にいろいろなことを吸収できる。さらに何度も顔を合わせることで、仲良くなるチャンスも増えるし、相談もしやすくなるだろう。
自分の中の常識を疑い、協力者を増やして対処する
もう一つアドバイスすると、自分がもっている「常識」を見直してみよう。
「授業中、子どもは座っているものだ」「子供たちは友達に手を挙げるべきではない」という自分のなかの常識にとらわれてはいないだろうか。
もちろん、授業中子供は立ち歩いたりしないほうがよいし、友達とトラブルを起こしたり、友達に手を挙げたりしないほうがよいだろう。
でも実際には、授業中子供たちが立ち歩いてしまうことはあるし、毎日大なり小なり、友達同士のいざこざは起きる。
なぜなら、「子供」だからだ。
「子供だから、授業中も立ち歩いたりすることもある」「子供だから友達に手を挙げたりすることもある」と考えてみよう。
その上で、「なぜ今日は子供たちは立ち歩いたのだろう」「なぜ今日彼はいつも仲良しの友達に手を挙げてしまったのだろう」と、その原因を深堀りしてみる。
そして、根本的な原因を理解し、その背景を見据えた上で、どうしたら次は同じことが起きないか、解決策・対処法を考えるのが重要だ。根本的原因がわかったけれど、解決策・対処法が見つからなければ、誰かに相談すればいい。
一人ひとりの個性は違うし、トラブルもさまざまなケースがあり、解決法も一つではない。問題があればその都度、理由・原因を探し、「どうしたらよいだろう」と考え、 一つ一つ経験を積み上げていくしかないんだ。
だからこそ、経験が少ないときには、もっと積極的に仲間を増やして相談し、自分の悩みを、分散・展開・発展していくべきだと思うよ。
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。
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取材・構成・文/出浦文絵