小5算数「速さ」指導アイデア《速さと時間から道のりを求める方法》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/富山大学教育学部附属小学校教諭・羽柴直子
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一
   前・富山県南砺市立福光東部小学校校長・中川愼一

単元の展開

第1時 速さの比べ方について考える。

第2時 単位量あたりの大きさを用いて、速さを比べる方法について考える。

第3時(本時)速さと時間から道のりを求める方法について考え、理解する。

第4時 道のりと速さから時間を求める方法について考え、理解する。

第5時 速さについてのいろいろな問題を考える。

1人1台端末活用アイデア

自力解決で書いた自分の考えを端末に取り込んでおきます。全体発表では、図や式、言葉など、必要な部分だけを拡大して提示することで、考えを共有したり友達の考えを予想したりし、全体で学び合うことができます。

本時のねらい

(速さを求めるときに使う2量に着目し、速さの求め方を考えたり、公式を見いだしたりした後)
速さを求める公式の考え方を生かしながら、速さと時間から道のりを求める方法について、図や式を用いて考える。 

評価規準

(できるだけ数学的な考え方が評価の観点になるような時間を選ぶ)
道のりと時間の割合として捉えられる数量の関係(速さ)に着目し、速さと時間から道のりを求める方法について考えている。(思考・判断・表現)

本時の展開


時速220で走る新幹線があります。この新幹線が2時間30分走り続けると、何進みますか。

※問題場面「時速220㎞で走る新幹線があります」まで提示する。

あれっ? 今日の問題には、もう速さが書いてあるよ。

昨日は速さを求めたけど、今日は何を求める問題かな。

昨日までの学習との違いを見付けることができましたね。ところで、速さとは何でしたか。

速さは、「単位時間あたりに進む道のり」で表すことができます。

そうそう。速さも混み具合と同じようにならして考えて、単位量あたりの大きさで比べることができました。

スタートからゴールまで同じ速さで走ったと考えるんだったね。

例えば、80mを16秒で走ったとすると、80÷16=5で、1秒間あたり5m進むことが分かるから、速さは、秒速5mになります。

速さ=道のり÷時間で求められるとまとめました。

今日の問題は、速さが分かっているから、道のりか時間を求める問題ではないかな。

時間が分かっていたら、道のりを求めることができそうだね。反対に、道のりが分かっていたら、時間を求めることができそう。

それでは、問題の続きを見せますよ。(問題場面の残りを提示する)

2時間30分走り続けるということは、時間が分かっている。今日は、道のりを求める問題ね。

時速220㎞だから、1時間に220㎞進むということだよね。

その速さで2時間30分進むから……。

2時間分の440kmよりは多いし、3時間分の660kmよりは少ないはずだね。

道のりを求める方法が、分かりそうです。


速さと時間から、道のりを求める方法を考えよう。

見通し

時速220kmだから、1時間で2260kmの道のりを進む。(時速の意味から考える/方法の見通し)

時間が2.5倍になると、道のりも2.5倍になる。(比例の考え方を使う/方法の見通し)

道のりは、220kmよりも長くなる。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子

・前時の速さを求める学習がわり算だったので、今回もわり算になると考えている。

(式)220÷2.5=88
(答え)88km


B 素朴に解いている子

・時速の意味から考えている。

時速220kmだから、1時間に220km進む。2時間30分でどれだけ進むかを求めるから、1時間+1時間+30分(1時間の半分)と考えると、

(式)220+220+110=550
(答え)550km


C ねらい通り解いている子

・時速の意味から、「時速220kmだから、1時間に220km進む」と考えている。その後、数直線から、道のりが時間になって比例していることに気付いている。

時速220kmだから、1時間で220kmの道のりを進む。2時間30分=2.5時間。道のりは時間に比例しているので、時間が2.5倍になると、道のりも2.5倍になる。

(式) 220×2.5=550
(答え)550km

・前時の学習でまとめた「速さ=道のり÷時間」という公式に、当てはまる数字(220、550、2.5)を入れて、220=550÷2.5という式が成り立つことを確かめている。
・「道のり=速さ×時間」の公式を見いだしている。
・「速さ=道のり÷時間」と「道のり=速さ×時間」は、同じ関係を表していることに気付いている。

学び合いの計画

本時は、速さと時間が分かっていて、道のりを求める問題場面です。前時で学習した既習事項と本時の問題場面の似ているところや異なるところを明確にしたり、数直線で道のりと時間の関係を表したりしていくことで、本時の問題場面も単位時間あたりの道のりを基に、比例の考え方で求められることを見いだしていきます。

また、道のりを求めた後、既習の公式「速さ=道のり÷時間」に数値を当てはめて、式が成り立つことを確かめることも大切です。

そうすることで、本時でつくった公式「道のり=速さ×時間」と、既習の公式「速さ=道のり÷時間」が同じ関係を表していること(割られる数の「道のり」を求めるから、わり算の逆算のかけ算になっていること)に気付いていきます。

ノート例

A つまずいている子

B 素朴に解いている子

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

どのように道のりを求めましたか。

時速の意味から考えました。時速220kmは、1時間に220km進むということを表しています。問題は、「2時間30分走り続ける」だから、「1時間で進む道のり+1時間で進む道のり+1時間の進む道のりの半分」で求めました。

そうそう。だから式は、「220+220+110」になって、答えは550㎞になります。

確かにたし算でも求められるけど、私はかけ算で求めたよ。

どういうこと?

数直線に表すと分かりやすいよ。時速220kmだから、1時間で220キロメートル進みます。2時間30分を時間に直すと2.5時間になります。2.5時間進んだときの道のりが知りたいから、□にします。

分かった! 時間と道のりが比例の関係になっているんだ!

時間が、1時間から2.5時間になったということは、2.5倍。時間が2.5倍になると、道のりも2.5倍になるから、220×2.5で求められるんだね。

計算すると、220×2.5=550になるから、たし算の考え方と同じ550kmの道のりになるね。

かけ算の「2.5倍」という見方とたし算の「2つと半分」という見方は、つながっていると思います。

式の表し方は違うけれど、考え方は同じなんだね。

僕は、昨日みんなでまとめた公式「速さ=道のり÷時間」に、問題の数字を当てはめてみたよ。

式が成り立っているね。

道のりを求める公式もつくれそうだね。550=220×2.5だから「道のり=速さ×時間」になるね。

割られる数の「道のり」を求めるから、わり算の逆でかけ算になっているんだね

「道のり=速さ×時間」は、「速さ=道のり÷時間」と同じ関係を表しているのね。

学習のまとめ

時速220kmというのは、1時間に220km進むということ。

(式)220×2.5
(答え)550km

時間が2.5倍なら、道のりも2.5倍になる。

○ 「時間」と「道のり」は、比例している。(時間が2倍、3倍、4倍……になれば、道のりも2倍、3倍、4倍……になる。)
○ 道のりを求める公式 「道のり」=「速さ」×「時間」(「速さ=道のり÷時間」と同じ関係。)

評価問題

分速70mで歩く人がいます。この速さで20分歩き続けると何m進みますか。  

子供に期待する解答の具体例

(式)70×20
(答え)1400m

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿

速さの意味に着目し、速さと時間から道のりを求める方法について考えている。  

感想

  • 速さの意味を考えて、時間が2.5倍なら道のりも2.5倍になると考えたら、道のりを求めることができました。意味を考えてみることが大切なんだなと思いました。
  • 数直線で「道のり」と「時間」の関係を表すと分かりやすかったです。
  • 「速さ」は目に見えないけど、数字で表すと計算できるので、いろんなことが分かるのだなと思いました。
  • 「速さ」の考えは、「単位量あたりの大きさ」の考えによく似ているなと思いました。
  • 「速さ」と「時間」から「道のり」を求めることができたので、「速さ」と「道のり」から「時間」を求めることもできるのかなあと思いました。挑戦してみたいです。

ワークシート(ダウンロード可)

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板書例

イラスト/横井智美

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