簡単便利! 小6算数「ラグビーボール型の面積」の検算法

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松下隼司の笑って!!エヴリディ
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大阪府公立小学校教諭

松下隼司

小6の算数「円の面積」の単元で、ラグビーボールのような形をした面積を求める問題があります。どのようにして求められるのかを筋道立てて考えることに加えて、円周率3.14を使った計算が大変ゆえに、算数が得意でない子どもにとっては、大変しんどい活動となってしまいます。そこで今回は、子どもの負担感を軽減させるのに有効な、「円の面積(ラグビーボール型)の検算法」を紹介します!

【連載】松下隼司の笑って!!エヴリディ

算数の問題を解いている子

【しくじり】円周率3.14を使って計算するのが大変で、子どものやる気が無くなる…

小6の算数に「円の面積」の単元があります。円の面積=半径×半径×3.14の公式を使って、色を塗ってある部分の面積を求める問題が教科書に載っています。中でも、ラグビーボールのような形をした面積を求める問題は、大人でも難しいものです。

ラグビーボールのような大きさの面積を求める問題

教科書には、いくつかの解き方が載っていますが、難しいのです。

教師がいくら丁寧に説明しても、理解するのが難しい子もいます。

そしてまた、円周率3.14を使った計算が面倒くさい! 電卓を使わせて検算しても、考え方に自信がもてないので、正解かどうか不安に感じてしまうのです。

そこでここでは、簡単に「ラグビーボール形」の面積の値を検算できる方法を紹介します。

【しくじり回避法】「正方形の面積×0.57」で確認

中学の数学教師だった母から、ラグビーボールのような形をした面積は、「正方形の面積×0.57」で求められることを教えてもらいました。確かめてみると、本当にその通りでした。

上の問題だったら、正方形の面積は(10×10)100㎠で、100×0.57をして、57㎠になります。他の大きさの正方形の図形でも試しましたが、答えと合っていました。

「ラグビーボールのような形の面積」が、なぜ「正方形の面積×0.57」で求められるのかを理解するのは難しいので、子どもたちに伝えるかは子どもの実態に合わせる必要があります(記事の最後で解説します)。

でも、答えを簡単に確認できることで、子どもは心強さを感じます。ゴールが分かっていたら、後はスタートからゴールへの道筋を考えるだけです。ゴール(答え)が分からない中で、ゴール(答え)への道筋を考えるより、随分ハードルが下がります。問題を解いてみようという意欲が上がるのです。

ただし、次の注意をすることが必要です。

検算で、「正方形の面積×0.57」を使うのはいいけれど、式に「正方形の面積×0.57」と書いたらダメだよ。

すると、子どもからは、

え~! なんで~!!

と反応があります。ここで怒ってはいけません!

どうして、「正方形の面積×0.57」の式を書いたらダメだと思う?

と、子どもたちに考えさせましょう。

子どもから、

「正方形の面積×0.57」の式になる理由が分からないからです。

と、返答があったところで、

その通り! 先生は、答えだけでなく、考え方を知りたいからね。

と言って、褒めましょう。

「ラグビーボールのような形」というネーミングも、子どもたちに考えさせると楽しくなります。「オムライスみたい」「猫の黒目みたい」と、子どもたちから出てきます。自分たちで名付けた図形だと、問題に親しみをもって取り組むことができます。

なぜ「正方形の面積×0.57」で求められるのかを解説

なぜ、ラグビーボールのような形の面積は「正方形の面積×0.57」で求められるのかを説明します。難しいので、子どもたちに伝えるかはその実態に合わせてくださいね。

「ラグビーボール形の半分」の面積は、「おうぎ形」の面積から「三角形」の面積を引くと求めることができます。
「おうぎ形ー三角形」の面積は、例えば、正方形の1辺の長さを1(cm)として計算すると、
(1×1×3.14÷4)ー(1×1÷2)=0.785ー0.5=0.285
0.285を2倍すると「ラグビーボール形」の面積は、0.57(㎠)となり、正方形の0.57倍になります。
元の図形として正方形があるので、その1辺が1cmのときに計算して出てくる0.57さえ知っておけば、あとは正方形の1辺の長さが何cmであっても、この0.57をかければ求められます。

(参考)
『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』P.84~85、P.157(著:松下隼司/フォーラムA企画)
https://amzn.to/4aYGzQg

(参考)
▼小6算数「円の面積」指導アイデア《正方形と四分円を組み合わせた形の面積》
https://kyoiku.sho.jp/249636/
▼小6算数「円の面積」指導アイデア(2)
https://kyoiku.sho.jp/27249/


松下隼司先生

松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。

イラスト/したらみ

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