小5算数「図形の面積」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校教諭・依田理恵子
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都公立小学校校長・長谷豊
目次
本時のねらいと評価規準
本時の位置 7/13
ねらい
既習の面積の求め方を用いて、台形の面積の求め方を考える。

評価規準
既習の図形に帰着して、台形の面積の求め方を考え、既習の公式を活用して面積を求めることができる。

今日はこの図形の面積の求め方を考えましょう。どんな図形ですか。
台形です。
平行な線が一組ある四角形です。
面積の求め方は、まだ学習していないな。
本時の学習のねらい①
これまでに学習した形を使って、台形の面積の求め方を考えよう。
見通し
どうすれば、台形の面積が求められますか。
平行四辺形や三角形の面積を求めたときと同じように、面積の求め方を知っている形に変えればよい。
平行四辺形や三角形に形を変えられるかな?
できる、できる!
面積を求めることができる図形に形を変えて、台形の面積を求めましょう。どのようにすると、形が変えられそうですか。
2つに分ければ、三角形が2つできる。
2つ合わせれば、平行四辺形ができそうだ。
平行四辺形に変える方法は、他にもありそうだよ。
本時の学習のねらい②
面積を求めるために必要な長さだけを測って、計算で求めよう。
台形を平行四辺形や三角形に変えることができれば、面積は求められますか。
できる。でも、面積を求めるためには、長さが必要だよ。
すべての長さが必要ですか。
平行四辺形でも三角形でも、(底辺)と(高さ)だけわかればよい。
では、実際に台形をどのように形を変えたのか、面積を求めるために必要な長さはどこなのかを考えながら、この台形の面積を求めましょう。
自力解決の様子



学び合いの学習
どのように形を変えたのか、全体発表の場で視覚的に捉えやすいように、台形の図を子供に配付し、補助線を引くなどして図形に書き込むんだり、切って貼り合わせたりして、過程を残すように伝えましょう。
見通しをもって自力解決に入ったとしても、どうすれば平行四辺形や三角形に形を変えられるのかと戸惑い、手が止まってしまう子供もいます。その際、友達の活動の様子を見て回ってよいことを伝えます。平行四辺形への変形や三角形に分割ができたものの、必要な長さを自分で決められずに手が止まってしまう子供には、前時までのノートや教科書を振り返り、(底辺)や(高さ)について振り返ることができるようにしましょう。
自分の考えがひとつできた子供には、同じ平行四辺形や三角形でも、他に分け方はないか調べたり、違う図形に変形できないかを新たに考えたりするよう助言します。また、その際に面積を求めた式を簡潔に表すように助言します。
全体発表とそれぞれの関連付け
まず、対角線で2つの三角形に分割する考えを取り上げます。三角形ADB及び三角形ADCは辺ADを底辺とし、また、高さが三角形の外にある図形となるため、前時までの学習を振り返りながら確認します。そして、2つの三角形の面積の求め方をひとつの式で表し、板書に残しておきます。
次に、平行四辺形に変形する考えを取り上げます。移動する過程は、デジタル教材を活用し、アニメーションで視覚的に見せると効果的です。
最後に、次時に台形の面積の公式を作りだすために、式の共通点を見いだすことができるようにします。

出てきた式に、似ているところはありますか。
9㎝と3㎝が必ずある。
辺ADの長さと辺BCの長さは必要みたいだ。
どの式でも、「×4」をしている。
どの式にも、「÷2」がある。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
台形の面積は、平行四辺形に形を変えたり、三角形に分けたりして、今まで習った公式を使えば、計算で求めることができます。

子供に期待する解答の具体例
既習の公式が活用できるように、平行四辺形に変形したり三角形に分割したりして、底辺や高さにあたる長さを調べて、台形の面積を求めることができる。
本時の評価規準を達成した子供の姿
台形を変形し、既習の公式を活用して、面積を求めることができる。
『教育技術 小五小六』 2019年10月号より