小1生活「いきものとなかよし」指導アイデア
執筆/神奈川県公立小学校教諭・田中惠理
編集委員/文部科学省教科調査官・渋谷一典、神奈川県公立小学校校長・二宮昭夫
目次
期待する子どもの姿
知識及び技能の基礎
生き物を飼育する活動を通して、生き物は生命をもっていることや成長していることに気付く。
思考力、判断力、表現力等の基礎
生き物を飼育する活動を通して、生き物が育つ場所、変化や成長の様子に関心をもって働きかける。
学びに向かう力、人間性等
生き物を飼育する活動を通して、生き物への親しみをもち、大切にしようとする。

子どもの意識と指導の流れ
(9時間)

こんな声や姿を学習につなげたいですね


○学校たんけんをおもいだそう
(1時間)
●学校探検で見付けた生き物を思い出し、また行きたいという気持ちをもつ。



目指したい子どもの姿・気付き

○ 生き物にあいにいこう
(2時間)
●ウサギや虫とふれ合う。



目指したい子どもの姿・気付き

○生き物をかってひみつを見つけよう
(3時間+常時活動)
●生き物の秘密を見付ける。



目指したい子どもの姿・気付き

○どんなしょうかいにしようかな
(1時間)
●見付けたことや感じたことを紹介する計画を立てる。


目指したい子どもの姿・気付き

○なかよくなった生き物のひみつをしょうかいしよう
(2時間)
●仲良くなった生き物を紹介する。


目指したい子どもの姿・気付き

活動のポイント1
継続的な活動を取り入れ、気付きの質を高める。
生活科は、身近な環境と直接関わる活動や体験を通して考えたことから生まれる気付きを大切にします。継続的に繰り返し工夫して関わる過程で気付きが生まれ、その質が高まるような多様な活動を行う必要があります。

〇学校の実態に合った活動の工夫をする。
学校で飼っている生き物の種類、数、飼育場所、飼育担当学年(者)、個体の状況(健康・抱卵・ヒナの有無・雄雌)、活動を予定している場所などを活動前 に把握し、適切なものを取り上げることが大切です。飼育する生き物としては、身近な環境に生息しているもの、子どもが安心して関わることができるもの、えさやりや清掃など子どもの手で管理ができるもの、成長の様子や特徴が捉えやすいもの、子どもの夢が広がり多様な活動が生まれるものなどが考えられます。

〇子どもたちの関心を生き物に向ける。
生き物が出てくるお話を読み聞かせたり、学級に生き物の本を置いたりします。



〇多様な活動を工夫して、変化や成長の様子に気付くようにする。
見付ける
• 生き物の写真を掲示する。
• 子どもたちが気付いたことを絵や文字で残しておく。

比べる
• 同じ生き物同士を比べる。
→大きさ・動き
• 比べるポイントを示す。
→色・大きさ・形・あたたかさ
• 違う生き物と比べる。
• 生き物と自分を比べる。

例える
• 生き物の形や動きを他のものに例えて表現する。
見通す
予想する
多分そうだろう。
生きものの立場に立って考える
どうしてほしいのかな。
働きかけに対する反応や結果を考えたり、 活動を振り返って自分とつなげて考える
このまま飼い続けようかな。もとの場所に返した方がいいかな。
活動のポイント2
〇他教科・他単元等と関連させ、指導の効果を高める。
生き物とふれ合ったり、世話をしたりする活動を通して生まれた気付きを、他教科・他単元等と関連させることが大切です。
〇各教科等の学習と意図的に関連させ、学びを深める。
国語
初めて経験して驚いたことや感動したことを作文に書く。手紙に書いて家族に知らせたり、友達や上級生に知らせたりする。

図工
絵や粘土で表現して、自分の思いを友達に知らせる活動をする。

道徳
思いやり・親切、生命尊重、動物愛護の教材
活動のポイント3
〇飼育活動における安全面・衛生面への配慮をする。

• アレルギーや喘息など、体質に合わない子どもへの配慮と周囲の理解を徹底する。
• 活動前後には必ず手洗い、うがいをする。
〇飼育活動中の変化を逃さない。
• かまれたり、ひっかかれたりして傷が付いたら、必ず消毒し、傷の程度によっては医師の診断を受けること。
• 共通感染症の原因となる生き物のふん、尿、体液などから、生き物の体調を普段からチェックしておく。
• 口移しでえさを与えるなどの過剰なふれ合いは絶対に避ける。
• 室内で飼う時には、換気に十分配慮する。
• 体調の悪い時には、動物との接触は避ける。
• 動物の排泄物や排泄を行いやすい場所に注意する。
• アレルギーの有無などを十分に把握しておき、適切な飼育活動や飼育環境に配慮する。
イラスト/熊アート、 横井智美
『教育技術 小一小二 』2019年9月号より