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子供の「豊かな発想」を引き出す学級経営とは?【事例から学ぶ 学級経営の極意Ⅴ③】

連載
事例から学ぶ 学級経営の極意Ⅴ

埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
事例から学ぶ 学級経営の極意Ⅴ

本連載では、学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、今まで出合った子供の事例をもとに、学級経営を行う上で大切なことを解説します。第3回は、5年生の女児のエピソードから、子供の豊かな発想を引き出し、生かす学級経営の在り方について考えていきます。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章

「競争」から「協働」への転換

「旗は両面ではいけないの?」
この言葉は、「クラスの旗を作りたい」と子供たちが学級会で話し合っていた時に、5年生の女児Aさんが発した言葉です。
旗のデザインについて話し合っていた時、2つの案が出されました。それぞれの案によさがあり、決定しきれなかった時、Aさんが先の発言をしました。学級担任としては、このような発想はありませんでしたが、Aさんの発言で表裏のある旗を作ることになりました。この言葉の背景にあるAさんの心情や学級会での合意形成の考え方から学級経営の在り方を再確認していきたいと思います。

年度当初、このクラスの子供たちの人間関係は固定化されていました。5年生に進級しても4年生での人間関係が改善されず、友達同士のトラブルが絶えませんでした。4年生までの学級内での様々な活動は、「競争」することによって活動意欲を喚起していく手法がとられていました。グループ学習や係活動も、出来栄えや勝ち負けにこだわることが多く、子供たちの中には「排他的な意識」が高くなっている様子がみられました。 まずは、このような競争意識の強い排他的な子供たちの意識を改革する取組が必要であると思い、具体的な指導の手立てを構想しました。

4年生までの「競争」によって活動を喚起する手法は、子供たちが一見活発に活動しているように見えます。しかし、それは、他に負けないようにしようとするため、「自分さえよければという意識」になり、その意識からどうしても「排他的な人間関係」になりがちです。まさに、このクラスがそうでした。

まずは、「係活動の改善」を行いました。それまで、活動の活発でない係は、係の社長が集まって行う株主総会で倒産させられ、行き場のなくなった子供たちは、他の係にアルバイトで雇ってもらうといった活動だったようです。 
「競争意識」による活動意欲の喚起から、支え合い、補い合う「協働意識」への活動に転換しました。活動が活発でない係があれば、活動のアドバイスをしたり、いくつかの係が協働して活動を展開したりするようにしました。また、他の係に対して、活動へのお礼のカードを書くなど、互いに承認し合う活動を重視しました。その結果、少しずつ子供たちの中に支持的な雰囲気ができていきました。

イラスト/池和子(イラストメーカーズ)

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