小6国語「笑うから楽しい」「時計の時間と心の時間」指導アイデア

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教材名:「笑うから楽しい」「時計の時間と心の時間」 光村図書

指導事項:読むこと イ、ウ、オ

執筆/新潟県公立小学校教諭・相澤勇弥
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、新潟県公立小学校教諭・井上幸信

題名から立場を決め、筆者の意図を考えようとする気持ちを引き出します

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

本単元では、説明的な文章を読んで文章全体の構成の特徴を捉える力と、論の進め方について、自分の考えをもつ力を育むことを目指します。

また、筆者の主張と事例の述べ方を捉えるとともに、筆者の挙げる事例と自分の知識や経験とをつなげ、書き手の意図について自分の考えをもちます。

②言語活動とその特徴

本単元では、文章構成が似ている二つの説明的な文章を扱います。はじめの短い教材文で考え方を獲得し、それを生かして、次の長い教材文を読んでいきます。

「笑うから楽しい」は、見開き2ページの読みやすい文章です。この教材では、主張を伝えるために複数の事例を挙げるという、文章構成の特徴をおさえます。

「時計の時間と心の時間」は、「笑うから楽しい」と構成の特徴は同じなので、主張のために、四つの事例が挙げられていることが容易に捉えられます。この四つの事例が、身近な生活のことを例に挙げたり、理解しやすい順序で示したりして、読者に主張が伝わりやすくなるよう意図されていることをつかませましょう。

読後は、自分の考えをもち、発表し合います。自分の考えをもつために、筆者の挙げている事例と自分の知識や経験とを比べさせる働きかけを行います。

単元の展開(6時間扱い)

主な学習活動

第一次(1~2時)

①「笑うから楽しい」を読み、主張と事例のつながりを考える。
・「はじめ」と「終わり」を先に読み、主張が繰り返されていることを捉えさせる。事例が二つあることをおさえ、主張とのつながりを考えさせる。

②「時計の時間と心の時間」を読み、題名のどちらの時間が大切か考えさせる。
→アイデア1 
・どうしてそのことが大切だと感じられるのか、筆者の述べ方を読んでいこうと学習課題を設定する。

【学習課題】筆者の意図をとらえ、自分の考えをもとう。

第二次(3~5時)

③「はじめ」と「終わり」を読み、筆者の主張を捉える。
・「はじめ」と「終わり」を比べ、繰り返される言葉などから、筆者が最も伝えたいことを短くまとめ、おさえておく。

④⑤いくつの事例があるか、その事例がなぜその内容で、その順に述べられているか、筆者の意図を検討する。
→アイデア2

・四つの事例があることをおさえる。事例の内容や並べ方の意図について問い、検討させる。検討は、グループ活動など学習形態を 工夫し、仲間と対話できるよう工夫する。

・身近で想起しやすい例から述べられることや、理解しやすい順に述べられることなど、子供の発言から、文章構成の特徴について 筆者の意図をおさえていく。

第三次(6時)

⑥捉えた筆者の意図について、自分なりの考えをもたせる。
→アイデア3
・筆者が挙げた事例について、自分はどう考えるか、知識や経験とをつなげて考させる。共感や補足など、自分なりの考えをもたせ書かせる。書いたことを発表し合い、適切に価値付ける。

アイデア1 題名から立場を決め、筆者の意図を考えようとする気持ちを引き出す

五年生で学習するはじめの長い説明文です。導入では、子供に「この文章の内容を読んでいきたい」「事例と主張の関係を検討していきたい」という気持ちにさせることが大切になります。

そこで、題名を利用し、対立や検証したい気持ちを引き出します。初読後、題名にある「時計の時間」と「心の時間」のどちらが大切だと思ったか、立場を決めさせます。多くの場合、「心の時間」に一致するでしょう。

その場合、「どうして、みんなは、こんなにも心の時間が大切だと思わされるのだろう」と問います。 この問いで、筆者の述べ方について考えたいという気持ちを引き出します。 子供の立場にずれが生まれれば、「筆者はどちらが大切だと伝えたいのだろう」と、本文に向かわせていきます。

このように、子供の考えたい気持ちが、本文中の筆者の事例と主張とのつながりという意図に向かうように工夫することで、子供の主体性を引き出します。

なんでこんなに、みんなが「心の時間」が大事だと思うんだろう?

きっと、筆者の書き方に秘密があるんだよね。

アイデア2 筆者が挙げる事例の数とその内容、並べ方の意図を検討させる

交流活動では、筆者の主張と事例のつながりに、目を向けさせることが大切です。 まず、「心の時間」の大切さを述べるために、いくつの事例を挙げていたかを子供に尋ねます。

そして、筆者が四つの事例を、なぜその内容をその順番で挙げたかを考えさせます。このように、事例の全体像をつかませた上で、意図を問うことで、筆者の考えを知りたくなり、交流が生まれる契機となります。

一つ目はゲームで、私たちに身近にしてくれているよ。

一つ目の「心」の次は、朝や夜のことで「体」のことだ。

それから、「環境」とか「感覚」とか難しくなるね。

交流では、まず、三段落目を検討させ、ゲームなどの子供の経験に近い例を想起させて、考えを伝えようとしている論の展開を捉えさせていくとよいでしょう。また、七段落の冒頭に、四つの事例の順で「心」「体」「環境」「感覚」と、まとめが述べ直されていることもおさえると、理解が深まります。

交流を通して筆者の意図に気付かせることで、対話するよさを感じることが期待できます。

アイデア3 筆者の挙げた事例と、自分の知識や経験とを比べて考える場面を設定する

学習のまとめとして、筆者の挙げている事例と自分の知識や経験とを比べ、共感や補足などの自分なりの考えをもつ活動を行います。そのために、これまでの学習を振り返り、筆者の四つの事例と主張とのつながりを簡単におさえます。

・「時間」が早く感じたり、遅く感じたりした場面が他になかったか
・自分のペースと違う進み方で、やりにくかったことがなかったか 

その上で、事例に対する各自の経験を尋ね、自由に発言させます。こうして、筆者の意図と自分の経験をつなげて考えやすくします。その上で、「時間」について自分なりに考えたことを書かせていきましょう。

このような展開で、筆者の事例や主張などの意図に対し、自分の知識や経験をつなげて考えをもつことができます。自分の考えを書いた後は、クラスメートと読み合うなどをして、筆者の事例や主張の述べ方について考えたことを、価値付けてもらう場を設けるとよいでしょう。

低学年では事柄の順序、中学年では段落どうしのつながり方を学んでいます。これまでの子供の学びを思い出させ、大いに使っていきましょう。国語の学びのつながりに気付き、これからの学びを大切にしていくでしょう。

意見を述べる交流活動

イラスト/畠山きょうこ、横井智美

『教育技術 小五小六』2019年5月号より

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