ページの本文です

予防的な生徒指導「プロアクティブ指導」のすすめ #01|プロアクティブの基本と、ろうか歩行の指導 ~「また叱ってしまった」をなくすために~

執筆/奈良市公立小学校教諭 吉水崇

はじめまして。奈良市の公立小学校で教員をしている吉水崇(よしみず・たかし)です。教員歴16年、生徒指導主任を10年以上務めてきました。

25歳で生徒指導主任を任されたとき、私は毎日のように同じ子に同じ注意をし、それでも改善しない日々が続きました。「私の指導力が足りないのだろうか」と悩んでいたある日、ふと気づいたのです。私は「起きたこと」への対応にはさんざん力を注いできたのに、「起こさないため」に何をすべきかをほとんど考えてこなかった、ということに。そこから「予防」という視点で生徒指導を見直すようになりました。

この連載では、その10年以上の試行錯誤から生まれた「予防的な生徒指導=プロアクティブ指導」の技術を、全6回にわたってお届けします。

※関連動画もぜひご覧ください!↓↓↓

プロアクティブとは「予防的な生徒指導」

「プロアクティブ」。まだまだ耳馴染みのない言葉ではないでしょうか。(某肌ケアの商品ではありません。)

生徒指導提要によると、プロアクティブとは一言で言えば「予防的な生徒指導」です。もちろんゼロにはなりませんが、叱る回数や生徒指導事象を減らすことはできます。それは、働き方改革の要にもなり得ます。

プロアクティブを理解するには2つの要素があります。「発達支持的生徒指導」と「課題未然防止教育」です。しかしこれだけではよくわかりませんね。ですので私はこの理論の提唱者である八並光俊氏の書籍を読み込んだ上で、小学校現場で使えるようにこう訳してみました。

「発達支持的生徒指導」= 支える

「課題未然防止教育」= 防ぐ

さて、一体、何を支え、何を防ぐというのでしょうか。

『生徒指導提要』に示されている生徒指導の「2軸3類4層」の構造図。すべての児童生徒を対象とした「発達支持的生徒指導」を土台に、課題の深刻度に応じた4つの層を定義。さらに常態的・先行的な「プロアクティブ」と、即応的・継続的な「リアクティブ」の2つの時間軸を組み合わせた、生徒指導の体系的な理念を示しています。(令和4年改訂版、生徒指導提要より筆者作成)

「叱る」回数を減らすプロアクティブ

「廊下を歩きましょう。」「あいさつしましょう。」「忘れたのになぜ言わないのですか?」「スリッパをそろえましょう。」「食器を丁寧に重ねましょう。」

 控えめな言葉でまとめましたが、実際はこんなテンションで指導できることは稀でしょう。「。」の代わりに「!」が複数つくのではないでしょうか。難しい学級を持つと、一日中このような言葉が教室に響き、先生も疲弊の一路をたどります。

ちなみに、これらの指導はすべてプロアクティブと対局の位置にある「リアクティブ」=「起こってからの生徒指導」です。プロアクティブで大切なのは、「起こさないようにする」です。古くは「問題事象の芽を摘む」と言われていたことですね。

しかし、今は芽を摘むにとどまらず、芽すら出させないということに焦点が当たっています。そのために、支え、防ぐのです。

私がこの2つの言葉に主語を与えるならこうなります。

「児童の自己指導能力を」支える
「事故や問題を起こさない環境で」防ぐ

では、小学校現場にあてはめて考えてみましょう。

「みつけ、おうじる」から「ささえ、ふせぐ」へ

この記事をシェアしよう!

フッターです。