AI初心者でも安心!子どもたちが初めて生成AIを活用して学ぶ算数授業~小2「繰り下がりのある引き算」を一例として

公立小学校で生成AIと共に先駆的実践に挑む鈴木優太先生による、2026年春の渾身の提案、第2弾です。子どもたち自身が生成AI(Gemini)を活用し、オリジナル学習アプリを開発して学ぶ、全学年で実践可能な算数科の授業実践をご紹介します。恐縮ながら具体的ノウハウの最後の部分は、課金公開とさせていただきました。子どもたちの豊かな学びのため、よろしければご購入ください。
執筆/宮城県公立小学校教諭 鈴木優太
目次
はじめに
「また復習プリントか…」
そんな子どもたちの心の声が聞こえてきそうな、学期始めや学期末の教科の総復習。プリント学習も大切ですが、少し目先を変えたこんなアプローチはいかがでしょうか。
子どもたち自身が「オリジナル学習アプリ」の開発者になる。
コーディングなどの専門知識は一切不要です。生成AIとちょっぴりやりとりするだけで、ワクワクする学習活動が瞬く間に実現します。
小学2年生の教室で実践しましたが、子どもたちは大盛り上がりでした。1〜6年生まで全学年、全教科で明日から応用できる、とっておきの手法です。
今回は算数を題材に、自分の得意をさらに伸ばし、苦手をピンポイントで克服するための「オリジナル学習アプリ開発」の実践をご紹介します。
まずは、「遊んでみる」からスタート!
教師「まずは、先生が作った算数アプリに挑戦してみよう!」
何事も、まずは体験してみることです。事前に教師が作成したオリジナル学習アプリを貼り付けた「公開用Googleサイト」のURLを子どもたちの端末に送ります。(※作り方やGoogleサイトへの貼り付け方は、後述する1~4の手順通りです)。
端末の画面に現れた学習アプリに、子どもたちは夢中になります。

ひとしきり遊んで教室の熱気が高まったところで、種明かしをします。
教師「実はこれ,AIとやりとりするだけで誰でも作れるんです」
子ども「えっ,そうなの!?」
教師「今日は、みんなに『アプリ開発者』になってもらいます!」
子ども「やったーーー!」
子どもたちの目の色が変わります。教師にやらされる復習から、自分たちで創造する復習へと大きく転換する瞬間です。
1 作ってみよう! Gemini「Canvas」へ音声入力
さあ、いよいよアプリ開発に挑戦です。まずは、AIが生成したイラスト(下図)で、授業のゴールを共有します。印刷して黒板に貼っておけばOKです。子どもたちの見通しと期待感を一気に高めます。
【オリジナル学習アプリ開発の手順】
- Geminiの「ツール」から「Canvas」を選び、作りたいアプリのイメージを「音声入力」する。
- イメージに近づくように「修正」を何度もする。
- ペアで「もっと学力が伸びるには?」と聞き合う。
- 「編集用Googleサイト」に貼り付ける。
アプリ開発の相棒として使用する生成AIは、「Gemini」です。特別な知識は一切不要ですので、安心してください。 Geminiの画面を開き、「ツール」のアイコンから「Canvas(キャンバス)」を選択します。コードや文章を、AIと横に並んで一緒に編集しながら作り上げていくための、強力なツールです。
キーボード入力に不慣れな低学年でも全く問題ありません。マイクボタンを押して、作りたいアプリのイメージを直接AIへ「音声入力」します。
子ども「くり下がりのある、2けたの数ー1けたの数の引き算アプリを作りたいです」
するとどうでしょう。画面右側のキャンバスに、アプリのベースとなるコードが生成されます。

コードの文字の羅列に思わず身構えてしまいますが、大丈夫です。上部の表示の「コード」を「プレビュー」に変更すると、生成された「オリジナル学習アプリ」が画面に表れます。もう、その場で遊べてしまいます。
「本当にできた!」という驚きと歓声が、教室のあちこちから上がる瞬間です。
2 最大の学び場! イメージに近づくように「修正」を繰り返す
できあがったものは、あくまでも「試作版」と位置づけます。ここが、本実践の最大の目玉です。
イメージに近づくように、「修正」を何度も繰り返す。
試作版を触りながら、「もっとこうしたい!」と、AIに注文をつけていくのです。実際のアプリ開発の現場でも行われている「アジャイル開発」と呼ばれる手法そのものです。 意図しない難易度の問題が出たり、少し使い勝手が悪かったりすることもあります。「一回の指示で、どれだけ精度を上げられるか」を追求することも確かに大切なスキルです。ですが、生成AI活用の「入口」としては、一発必中をねらう必要は全くありません。むしろ、AIとの対話を繰り返しながら、よりよいものへと育てていくことの方が、生成AI活用のマインドとして非常に重要です。失敗すらもおもしろがりながら、トライ&エラー、そして「リトライ」できる心を育てていきましょう。
教師「実施にアプリ開発をしている人たちもこうしています。アジャイル開発と言います」
子ども「2桁引く1桁の問題だけ出すようにして」
子ども「3択クイズにして」
子ども「答えには、ブロックを使った解説も入れて」
このやりとりにこそ、深い学びが生まれます。AIに適切な指示を出すためには、「自分は算数のどの部分のアプリを作りたいのか」を言語化しなければなりません。不意の生成結果から偶発的に「あ、私が大切にしたかったのはこれだ!」と気付くことも、ままあります。アプリを改良するためのAIとの対話が、自身の学習内容をメタ認知することに結び付く営みです。これが、本実践の勘所です。
3 ペアで聞き合う「もっと学力が伸びるには?」
さて、自分で作ったアプリの試作版がある程度形になったら、誰かに遊んでもらいたくなります。この「共有」のプロセスこそが学びを深める鍵なのですが、ここで一つの壁が立ちはだかります。
作成したアプリをクラス全体で共有するために最も簡単なのは、「Googleサイト」にURLを集約することです。これは手順の4に示しました。端末操作やGoogleサイトの仕組みに慣れていると、あっという間にアプリを全員で共有することが可能です。
しかし、操作に不慣れだとここでつまずいてしまうこともあり、せっかくの生成AIとのやりとりの熱量が冷めてしまいます。そこでまず提案したい方法があります。
ペアで端末を丸ごと「交換」する。
とても原始的な方法です。自分の端末を、ペアの友達の端末と物理的にマルッと交換するだけ。授業のテンポは損なわれません。

友達の端末を受け取ったら、そこに表示されているGeminiのプレビュー画面上で、実際にそのアプリで遊んでみます。
私はこれを、タイマーで区切りながらテンポよく進めるようにしています。
例えば、「3分間遊んで、1分間でフィードバックを聞き合う」といった具合です。時間が来たら、フィードバックをもとに修正する時間を取ります。修正後、また別の友達とペアを変えて、できたところまで遊んでみてはフィードバックし合う……。これを何度か繰り返していきます。
AIという優秀なアシスタントとの「壁打ち」によってアプリを形作るだけでなく、生身の人間との「壁打ち」を通して使い勝手や面白さを検証していく。生成AI活用授業の欠かせない視点だと感じています。
友達からのフィードバックを受けて、子どもたちは自分のアプリをどんどん改良していきます。Geminiに追加の指示を出して、より良いものへとアップデートしていくわけですが、ここで多くの子どもたちが陥りがちな、あるあるの現象があります。
子ども「背景をレインボーにして!」
子ども「正解したらモンスターを倒すようにして!」
子ども「全問クリアしたら、カピバラがメダルをくれるようにして!」
このように、機能や学習内容よりも、見た目やゲーム的な演出の修正ばかりに夢中になってしまうのです。これは、プレゼンテーション資料を作成する際に過剰なアニメーション効果ばかりに凝ってしまうあの現象ととてもよく似ています。この授業は「入口」ですから、それも決して悪ではないと私は考えます。「自分の思い通りに動いた!」「楽しい!」という体験、学びのモチベーションの源泉です。

しかし、私たちは教師です。楽しい「だけ」で終わるのではなく、そこからさらに「教科の本質的な力」が身に付くように、もう一歩深く踏み込みたいところです。そこで、ペアの相手と次のテーマで話し合います。
もっと学力が伸びるには?

このようにペアで聞き合うのがコツです。この問いによって、子どもたちの視点は「プレイヤーを楽しませるゲームクリエイター」から「確かな学びを提供する教材開発者」へと一段階引き上げられます。
子ども「2桁引く1桁なら、筆算で解いた方がいいんじゃない?」
子ども「お金の図があると、買い物の時に困らないための勉強になりそうだよ」
子ども「数字ボタンを押すと、物差しの目盛りの上に数字が出るっていうアイデアがおもしろかったから、そのアイデアを取り入れて、長さの引き算アプリにしてみるのはどう?」
「学力を伸ばす」という明確な目的を持つことで、子どもたちはGeminiに対してより高度で具体的なプロンプトを考え入力するようになります。そして何より素晴らしいのは、この自他の「学力を伸ばすための仕組み」を考えている時間こそ、最高の復習になっているという事実です。
どのような問題につまずきやすいのか、どう解説すれば分かりやすいのかを考えるプロセス自体が、教科内容の深い理解を要求するからです。
4 Googleサイトに貼り付ける
アプリが十分に洗練されたら、最後の最後に、いよいよクラス全員に公開します。

Googleサイトの活用法に関しては、過去記事『「Googleサイト」を使って学習サイトを作成しよう』も参照ください。
子どもたちは友達の作成したページを次々と訪れ、夢中になって学び合います。このアプローチは、どの学年の子どもであっても、どの教科であっても応用が可能です。Googleサイトに貼り付けて公開するための具体的なノウハウについては、以下の有料パートをお読みください。
公開後は、休み時間でも、家庭でも取り組む子がいます。自学や、係活動にも発展していくでしょう。
年度始めや年度末に限らず、年度内のいつでも取り組むことができます。単なる知識の確認作業だった復習が、やらされるものから、「自分たちで創り出すもの」へと大きく転換します。
生成AIを使ったこの実践が、先生方の教室に新しい風を吹き込む一つのヒントになれば幸いです。
**↓↓↓ 続きは有料記事でお読みください(Googleサイトにコードを貼り、全員が作ったオリジナル学習アプリが遊べるようになる具体的な手順を写真付きで解説します)。 ↓↓↓**
〈参考文献)
鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)
鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)
鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)
鈴木優太『クラス全員が「聴ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房)
鈴木優太編『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク (ロケットスタートシリーズ) 』(明治図書出版)
鈴木優太編『小学6年の学級づくり&授業づくり12か月の仕事術(ロケットスタートシリーズ) 』(明治図書出版)
鈴木優太編『どの学年でも通用する学級づくりのワザだけ集めました。 』(明治図書出版)
鈴木優太(すずき・ゆうた)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1985年生まれ。2013年より教育サークル縁太会を主宰し、アイデアに富む教育実践と学びの場づくりに定評がある。最近著に『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房・3月31日発売予定)があり、『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)はベストセラーを記録。みんなの教育技術では5年にわたり連載を担当、現在は「子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア」を連載。
鈴木優太先生✕鈴木秀樹先生のオンライン講座、参加者募集中です!







