ICTで解決! 顕微鏡の正しい使い方の指導と評価【理科の壺】

実験器具の扱い方のような“技能”は、どのように育ち、どのように確かめられているでしょうか。知識の理解とは異なり、技能は実際の操作の中でこそ見えてくるものです。そして同時に、安全性とも深く関わる重要な力でもあります。限られた授業時間の中で、一人ひとりの技能を丁寧に見取ることは、決して簡単なことではありません。しかし、子供同士の関わり方やICTの活用法を工夫することで、その課題に新たな道筋が見えてきます。今回は、顕微鏡の指導場面を入り口に、「技能指導」と「評価」をどのようにつなげていくかを探っていきます。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような“ツボ”が見られるでしょうか?
執筆/宇都宮大学共同教育学部附属小学校教諭・渡邊雅浩
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
一斉授業でもできる! 個別最適化された「技能指導」&「技能評価」
みなさんは、理科の実験道具を扱うときの技能的な指導と、評価をどのように行っていますか?
例えば、顕微鏡の指導を例に考えてみましょう。顕微鏡の正しく安全な使い方には、たくさんの注意事項と指導事項があります。
顕微鏡の部位の名称と説明、安全な持ち運びの方法や置く場所、置き方、正しい使い方の指導に加えて、子供一人ひとりが正しく扱うことができているかの評価…⋯。
教えること、指導すること、注意することが多く、正しく扱えているかの評価にも時間がかかります。1時間の授業の中で、35人の児童全員が正しく顕微鏡を使えているかを評価することができるでしょうか。一人ずつ先生の前に呼んで、顕微鏡の技能の評価をしてしまうと、それだけで2時間くらいかかってしまいます。しかし、もちろん一人ひとりが正しく顕微鏡を扱い、どの子もきちんと扱えているかをチェックすることは大切なことです。
そこで、先生の使い方の説明の後、実際に子供が顕微鏡を使う際に、自己評価に加えて、他者評価をとり入れる指導を紹介します。
①一斉指導で顕微鏡の使い方を演示で見せる
先生が実際に顕微鏡を使いながら、安全に扱う方法を示したり、教科書に付いている二次元コードから視聴できる動画を見せたりしながら、顕微鏡の指導を行います。
②「けんび鏡の使い方チェックシート」で友達に見てもらいながら、顕微鏡を使って物を見る
子供が実際に顕微鏡を使って物を見るとき、先生の作ったチェックシートを基に、「自分ができていると思うか」を『自己評価』の欄に◎〇△で自己評価させます。それと同時に、同じグループで見ている子供に、その子の操作を『友達からの評価』欄に評価させるのです。
教師は、「自己評価◎」「友達からの評価◎」の子供に対しては、簡単な声掛けと見取りで、その子の評価をとることができます。逆に、「自己評価△」「友達からの評価△」の子供には、手厚い支援を行えばよいわけです。また、「自己評価◎」「友達からの評価△」の子供には、自分はできていると思っても、友達から見るとできていないという評価なので、対話をしながら思い込みを修正する指導を行います。また、「自己評価△」で、「友達からの評価◎」な子供には、自信をもって操作を行えるようなフィードバックを行います。

