自分の感情を出すとは?【伸びる教師 伸びない教師 第63回】
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豊富な経験によって培った視点で捉えた、伸びる教師と伸びない教師の違いを具体的な場面を通してお届けする人気連載。今回のテーマは、「自分の感情を出すとは?」です。教師として感情を抑えることも必要なときがあります。しかし、ときには自分の感情を子供たちに素直に伝えることも重要だという話をお届けします。
執筆
平塚昭仁(ひらつか・あきひと)
栃木県公立小学校校長。
2008年に体育科教科担任として宇都宮大学教育学部附属小学校に赴任。体育方法研究会会長。運動が苦手な子も体育が好きになる授業づくりに取り組む。2018年度から2年間、同校副校長を務める。2020年度から現職。主著『新任教師のしごと 体育科授業の基礎基本』(小学館)。
目次
子供の前で涙を見せた
その当時、教師1年⽬だった娘からこんな相談を受けたことがありました。
「今⽇、クラスが騒がしかったから⼦供たちを叱ったの。叱りながら、『⾃分がもう少ししっかりしていれば⼦供たちを叱らずに済んだかもしれない』と思ったら涙が出てきちゃって。そうしたら、⼦供たちが⼼配して『先⽣、⼤丈夫?』って慰めてくれるから余計に悲しくて」
娘は、相談というよりただ話を聞いてほしかっただけなのだと思います。私は、そんな娘の気持ちに共感しながらも親としてこれからのことを⼼配し、⾔わなくていいことまで⾔ってしまいました。
「⼦供のことを思う気持ちはよく分かるよ。でも、先⽣が急に泣いたりすると⼦供たちが情緒不安定になるからそのあたりはプロとして⾃分を抑えることを覚えていくといいね」
娘の顔が急に曇ったのを⾒て、やっぱり⾔わなければよかったと後悔しました。
危ない遊びを注意してほしい
それから1か⽉が過ぎたある⽇、近隣の⽅が校⻑室を訪れ、こんな話をされました。
「放課後、⾃分の家の周りで⼦供たちがスケートボードやキックスケーターで遊んでいるので注意をしてほしい」とのことでした。実際に⼦供たちがスケートボードやキックスケーターで遊んでいる様⼦の動画も⾒せてくれました。遠くからの撮影のため⼦供の顔ははっきり分からなかったのですが、お話のとおり危ない様⼦は確認できました。
近隣の⽅がお帰りになった後、どのように⼦供たちに指導するか、教頭、教務主任、児童指導主任で話し合いました。命に関わることなので遊んでいた⼦供たちだけでなく、他の子供にも道路で遊ぶことがどれだけ危険なことなのか伝えたほうがよいということになりました。
実は、この数週間前にも低学年の下校の仕⽅がよくないとのことで児童指導主任が低学年の⼦供たちを集め、指導をしたばかりでした。学校全体として続いているので、校⻑の私から⼦供たちに今回のことを含め安全について注意を促すことにしました。
⼦供たちにどんなことを話すかとても悩みました。
学校のきまりだからと⾔えば⼀⾔で済むのですが、なぜ道路で遊んではいけないのか、どうしてそのきまりがあるのかを⼦供たちの⼼に届くように伝えなければ、同じようなことを今後も繰り返す可能性があります。その晩遅くまでかかって⼦供たちに伝えたいことを⽂にまとめました。

