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「物語(ナラティブ)」は、新たな時代の新たなる武器!!~教師のためのナラティブ・コミュニケーション~

連載
シン・コミュニケーション~教師というプロコミュニケーターになるために~
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岡田芳樹

様々な媒体によって、毎日目にしたり、耳から入ってきたりする数々の言葉たち。その中で、「おやっ?」と気になることが、よくあるのではないかと思います。それらの言葉の共通点を探してみましょう。きっと、あなたの心のフィルターに引っかかる=あなたの心に響き、共感している、ということに気づかれるのではないかと思います。受け手に関心を持たせるためには、ただ情報を提示するだけではなく、心に響くような物語に載せて発信することが大切です。今回は、そんなお話をしていきたいと思います。

執筆/株式会社電通総研 研究員・慶應義塾大学SDM研究所 研究員・元横浜市公立小学校教諭
岡田芳樹

シン・コミュニケーション#6

高市首相の「ナラティブ」から教師が学ぶこととは?

高市政権が発足してから早3か月(2026年1月時点)。近年の政権と比較すると圧倒的な高支持率をキープしていることは疑いようもありません。時事通信社の調査によると、支持する理由は「リーダーシップがある」(26.4%)、「首相を信頼する」(20.3%)、「印象が良い」(18.2%)が上位3つに並びますが、もう少し深掘りすると、筆者はその高支持率の要因は高市首相の「ナラティブ」だと考察します。「ナラティブ」とは、「自分の視点で発信する物語」のことです。
人間は、ただ単に情報を提供されるよりも、共感できるような物語に載せて訴えかけられたほうが、圧倒的に理解し、受け入れてくれるという特徴をもっています。
高市首相の場合は、その言動や態度のすべてを通して、「今、日本は強くあらねばならない」というナラティブを発信し続けています。
女性としてのソフトな物腰や細かい気配りを見せつつも、明快な保守カラーと批判を恐れない姿勢を示すなど、御自身の特徴を一貫性をもって前面に出し、強い日本にする物語を構築しようとしていると見えます。周到なナラティブ戦略を練られていることを感じるしかありません。

この高市首相の姿には、教師として学ぶものが多くあるように思います。イデオロギーはさておき、一貫性ある言動をすること、TPOに適した言葉を発すること、聞き手の共感を得ようとすることは、常に頭に入れておくべきではないでしょうか。
ナラティブという自分視点の物語を発信することは、多くの国民の心すら動かす力があるのです。教師も一つの学級を導く上で、このナラティブを用いたコミュニケーションを学ぶ価値は大いにあると考え、今回はナラティブ・コミュニケーションをテーマにしてシン・コミュニケーションに触れてもらえたらと思います。

戦略なくしてナラティブ成り立たず

第2回記事でも少し触れましたが、ナラティブは語り手の経験や主観に基づいて変化する物語を示し、受け手の感情を揺さぶる効果がある、強力なコミュニケーション手段の一つです。
そのため、国家戦略で用いられることが多く、陰謀論という強力なナラティブにより理論や信念を覆そうとする国家間の戦いは「ナラティブの戦い」とも呼ばれています。国家安全保障の領域では軍事戦、情報戦に続く「認知戦」が近年注目されており、その手段としてナラティブが用いられているのです。
ある政府が公式的に感情のこもった発信をすることで、自国民からの支持を得ようとしたり、批判を避けようとしたりする例を、皆さんもニュースなどで目にすることがあるのではないでしょうか。

そして、多くの企業もまた巧妙にナラティブを活用しています。
特に製品やサービスを市場に送り出す際、「物語」を通して顧客の感情を動かすといった「マーケティング戦略」で用いられることが多く、このようなナラティブにおける戦略を「ナラティブ戦略」と言います。企業は戦略的に動画や記事など多種多様な方法を用いて、顧客にストーリーを発信しています。
中でも動画は視覚で訴えることができるため、ナラティブ・コミュニケーションにおいて非常に強力なツールであり、テレビコマーシャルはその代表例といえます。現在では、テレビだけでなくSNSをはじめとした様々なWeb媒体でナラティブは用いられており、企業だけでなく一般の生活者もナラティブを発信できる時代になりました。

さらに、対面でのナラティブ・コミュニケーションには、動画などをはるかに凌駕する効果があります。例えば企業において、対面での1on1ミーティングは組織活性化につながるため、上司は部下の価値観を掌握したうえで、最適な形のナラティブに変えて、会社の方針やミッションを伝えます。
例えば、自分の目標達成より人と人の和を大切にしたい人に対してなら、「会社を大きな家族のように和気あいあいとした組織にしたいから、あなたの力を借りたい」というようにナラティブを作るわけです。

ナラティブを使いこなして、教育現場の感動的なストーリーテラーになるべし!

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