未履修単元どうする?:保護者の悩みにベテラン教師が回答
臨時休校により、小学生の保護者からは「未履修の学習内容が何なのかがわからない」「どう指導すれば良いかわからない」という悩みが寄せられています。
そんな悩みに、小学校教師として30年以上勤務され、保護者の育児相談に乗る『親塾』も主宰する教育のプロである多賀一郎先生が答えます。
執筆/追手門学院小学校講師・多賀一郎
目次
Q.未履修の学習内容がわからず不安なのですが、学校への問い合わせは控えるように言われました
A PTAの役員に代表して問い合わせてもらい、未履修の学習内容は学校ホームページで示してもらうなど、対応を要請してみてはいかがでしょうか?
学校も混乱していますので、学校への問い合わせは控えるようにと連絡がきた自治体もあることでしょう。保護者のみなさんは、不安ですよね。
こういうときこそ、PTAの連携が力を発揮するのではないでしょうか。
例えば、PTAの役員が代表して学校側に、
「未履修の単元は教科書の◯ページにあたるのかを示してほしい」
「学年と教科ごとにまとめてプリントにするなどして、学校のホームページに掲載してほしい」
など、学校の事情に配慮しながらも、保護者を代表して要望してもらうといいかもしれません。
保護者からバラバラに問い合わせがいくのは学校にとって負担になるかもしれませんが、こうしたやり方ならば、そこまで拒否されることはないでしょう。
こんなときこそ、保護者と学校の知恵の出しあいが大切です。
Q.三月に通常の授業を受けられなかった分について、家庭でフォローする際のポイントは?
A 未履修単元でフォローが必要になるのは、算数、理科、社会です。
教科によって、考え方は変わります。
まず、一番時数の多い国語については、何かの単元が抜けたからと言って、次年度に困るということは、ほとんどありません。
教材文も『ごんぎつね』のような人気の教材以外は、全国で同じ内容があるわけではないのです。
三月は、国語の基礎基本の力を見直していくという考えで大丈夫です。
算数、理科、社会については、子どもに教科書のどこまで学習しているかをたずねて、残った単元を一緒にやっていきましょう。
これらの教科は、一つでも単元をとばすと、どこかで影響の出てくることもあります。
臨時休校の家庭学習をサポートできるよう、塾などが無料で授業を公開していたり、民間企業が教材を無料提供しています。
それを活用するのもいいでしょう。
文科省は残した単元を小学校と中学校と連絡しあって、補助するように通達しているものの、実際はどの程度のフォローになるかわかりません。
中学は中学でやり残している単元もあり、次年度はいっぱいいっぱいになることが予想されます。
中学校でのフォローを期待することなく、小学生の学習内容は、小学生の間にやっておいた方がよいのは、間違いありません。
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追手門学院小学校講師。神戸大学附属住吉小学校を経て私立小学校に30年以上勤務。「親塾」を各地で開いて保護者の相談に乗ったり、公私立小学校で指導助言や全国でのセミナーを通して教師を育てることにも力を注いでいる。 著書に『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』(小学館)『危機に立つSNS時代の教師たち―生き抜くために、知っていなければならないこと』(黎明書房)『全員を聞く子どもにする教室の作り方』(黎明書房)他多数。
〜編集部より〜
突然の休校要請で、学校現場はこれまでにない対応を迫られていることと思います。
「みんなの教育技術」編集部は、皆さんがご自身の状況に合わせて情報を得られるよう、この時期をどう乗り越えるのかについての様々なアイデアをシェアしていきたいと考えています。
臨時休校時の対応で教師間でシェアしたいこと、小学生保護者に伝えたい3月の単元の指導方法など、募集しています。
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※ 先生や子どもたちの状況、自治体や学校の方針によって、考え方は様々です。一つ一つの提案の是非を問うのではなく、多様な情報をシェアすることによって、困っている先生や保護者がご自分の状況に合わせた選択ができる場づくりを目的としています。 ご理解をお願いします。
先生におかれましても、どうかご自愛ください。