ダメなペア学習、よいペア学習とは?【先生のための学校】

連載
久保齋の「先生のための学校」【月1回不定期更新】

学力研 先生のための学校校長

久保齋

ペア学習やグループ学習を一斉授業の中に組み入れて活発な授業展開、多くの子が活躍する授業を創ろうという取り組みは昔から多く行われてきましたが、その教育技術が伝わっていないようです。ペア学習やグループ学習が始まると、授業のテンポが落ち、一体感のないがさつな授業になってしまっているのです。
今回は、教育技術ムック『予習展開による国語科授業づくり』を活用して、明るく輝くペア学習をどのように展開すればいいのかお教えしましょう。

執筆/「先生のための学校」校長・久保齋

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 8da081691abc7b7313fc1cf46098da95-200x300.jpg です

くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。

ペア学習と主体的で対話的な学び

授業者に「なぜペア学習を取り入れたのですか?」と質問してみると、主に次のような答えが返ってきます。

  • 全体に話すのが苦手な子もペアだと自信をもって話せるから。
  • 二人で聞き合うことで、お友達の意見をより深く理解できるから。
  • 全体へ話す練習の場として。

要するに、個人の全体発表への補助的機能と考えられていることが多いように思えます。しかし、私はこのような教師の、ペア学習への消極的な位置づけこそがペア学習をダメにしていると感じるのです。

「主体的、対話的で深い学び」とはどういうことでしょう。まず、教師の発問に対して、しっかりとした自分の考えをもつことです。次に、 それをお隣さんにしっかりと伝えます。お隣さんはそれを自分の考えと比べながら聞き、次に自分の考えをお隣さんに伝えます。実は多くの子供たちのペア学習はここで終わっているのです。私に言わせると、これではペア学習で子供が賢くなる機能の3分の1しか生かせていないことになるのです。

ペア学習の神髄とは何か?

ペア学習で子供が賢くなるわけは、ペア学習が終わった次の過程にあります。ペア学習の内容を全体に発表する行為の中にあるのです。もし、子供たちがペア学習での成果を発表し、クラス全体の授業に積極的に参加しようとすると、 次のような頭の働きが必要です。

  1. 自分の考えを確実に自分のものにしている。
  2. お隣さんの考えを確実に自分のものにしている。
  3. 二人の考えの違いや類似点を踏まえ、自分の考えをブラッシュアップして発言できる。
  4. 授業の流れに合わせて、(3)を臨機応変に発言し、授業を盛り上げることができる。

もちろん、ペア学習のあとの授業展開で、すべてのペアに学習内容を発表させることはできませんが、すべてのペアが全体学習への準備として、この4つのことができるように心がけてペア学習を指導するならば、ペア学習の意義は計り知れなく大きいのです。お分かりいただけたでしょうか。

『予習展開による国語科授業づくり』を活用して

『予習展開による国語科授業づくり』で、私は次のような授業展開を提案しています。

まず授業の中心課題を予習として出します。二年生の子供たちにもノートに200字から300字程度で自分の考えを書くように指導します。長く書かせるのは結論ではなく、思考過程を展開させるためです。

授業を進め、ペア学習に入ると、子供たちはどちらかが凛々しき司会をして、自分たちの考えをお隣さんに大きな声で話しますが、このとき、話す人は自分のノートを閉じて教科書を指さしながら、説明的に話します。これが賢くなるためのステップ①です。自分の考えを語るのであって、ノートを読むのではない。このとき、ノートに書かれた自分の考えが臨機応変にどこでも展開できる思想へと転化していきます。

聞く人は自分のノートを見て、お隣さんの意見と比較しながら聞きます。このことで自分の意見だけでなく、お隣さんの意見も自分の頭の中に批評的に入っていくのです。これがステップ②です。  

ペア学習の次には、全体学習という意識を植えつけ、実際にペア学習の次には全体学習を行い、ペア学習でブラッシュアップした意見で授業を深めていくことにしておくと、子供たちは先ほどの4つの過程をしっかり踏まえるペア学習を始めます。これがステップ③ということになります。

ペア学習を使った公開授業を見ていて気になることは、ペアで話す課題がとても薄っぺらだということです。それは先生がその場で出した課題をすぐに考えさせ、ペア学習させるからです。その点、予習展開させておくと、子供たちがしっかり準備したうえでの話合いができるのです。

1時間に1問だけでも準備した課題でペア学習させ、全体にもち出す過程を入れることで、クラスのペア学習の質を高めていきましょう。 二年生は乗りやすい子供たちですから、かなり深いペア学習が可能です。お試しください。

久保校長からひと言
予習展開による国語科授業づくり』を出版し、先生方にお話をしていると、「予習展開で授業をやってみたら、子供たちがとても乗ってきました」という声をかけてくださる先生が多くなりました。特に二年生の先生方が多いようです。この本では『お手紙』を例に載せていますが、どんな単元でも楽しく取り組めると思います。

久保齋先生の本・・・

『予習展開による国語科授業づくり』
久保齋 ・著 小学館刊 1700円+税
試し読みはコチラから 

編集協力・デザイン/カラビナ 写真/町田安恵

『小二教育技術』2019年1月号より

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

授業の工夫の記事一覧

雑誌最新号