「書く」ことで自分の考えを深めていく授業とは【ノート指導10】

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しっかり「書く」ことで、なんとなくわかった気になっていたことも筋道正しくスッキリと理解できます。理科の「電気の通り道(3年)」の授業を、自分の考えを「書く」ことを通して、どのように子どもの理解が深まっていくのかを探っていきます。

執筆/北岡隆行

子どもたち

わからないことをはっきりさせる

授業は、わからないことは何かをつかむことから始まります。そのもっとも効果的な方法は、ノートに書かせることです。

「電気の通り道」(3年理科)の授業です。

実験セットに入っているものを確認しながら、その名称を教えました。一つひとつ持ち上げて「これが豆電球。」「これがソケット。」「これが乾電池。」「これが導線。」と、名称を言います。子どもも同じように、手に持って確かめます。

「ソケットと乾電池と豆電球を使って、豆電球をつけてごらん。」と言うと、わけもないことだったようで、どの子も成功しました。

これは、電池が使えることと豆電球がこわれていないことが大切です。そして、ソケットは電池と豆電球をつなげる役目をし、確かに光はつくということを確認するためです。

ここで、入っていた導線(エナメル線)を10cm くらいの長さに切らせ、こう問いかけました。

乾電池と、この導線1本を使って、豆電球をつけることはできないかな?

予想をノートに書かせてみると、ほとんどの子どもが「つかない」と答えましたが、「つく」と答えた子もいました。

豆電球は「つかない」と言う子ども3人
豆電球は「つく」と言う子ども2人

そこで、

ひょっとしたら「つく」と思う方法をノートに一つ書いてごらん。それから、いろいろな方法でためしてごらん。

と言って、次のように書き方を指定しました。

簡単な絵にした乾電池・豆電球・導線

書く時間を短く、実験する時間をたっぷりとるためです。

しばらくすると、H子が成功したと言い、持ってきました。わざと子どもたちから見えないようオルガンの後ろでつけてみると確かにつきました。「できた。おめでとう。」

「 えっ!」が広がります。今までできないと思っていたのに、できた子がいる。しかも、自分の豆電球もさっきはたしかについた。とたんに、どの子も意欲的になりました。

10通りの配線図
クリックすると別ウィンドウで開きます。

わかっていることは、乾電池についていると豆電球はつくこと。
わからないことは、乾電池に導線をつける場所。
導線をつけるのは、1か所か、2か所か。

わからないことをわかるようにするために条件をあたえました。

→導線1本で豆電球をつけられないかな。

やる気をだすために書かせました。次に、できた子のつなぎ方をわざと見せませんでした。

→なぜ、あの子だけ豆電球をつけられたんだ。

⑨の方法で実験していたT子が、「先生、熱い。」と言い出しました。すると、ほかの子どもも⑨の方法を始めました。確かに熱くなります。このことから、乾電池の飛び出ているところと反対側の2か所をつけると電気が流れることを見つけたのです。

しばらくするとN君が成功しました。授業の最後でN君は自分の気づきを書いています。

N君ができた方法

「何でこのやり方でわかったかというと、(飛び出ているところと反対側の2か所を)くっつけていたら熱くなったので、(豆電球を間に入れて)やってみたら、光がつきました。このやり方に気づくのにすごく時間がかかったから、うれしかった。」

配線図を書かせたのは、わかっていることとわからないことを確認したかったのと、自分の考えた方法と理由を残したかったからです。子どもの考えは、活動のたびにどんどん変わりますから。

考えの違いを浮きぼりにする

答えが合っていても、本当にわかっているとは限りません。その答えが導き出された理由を聞くと、全然違うことだってあります。ですから、「なぜ?」と聞くことが大事なのです。

どこまでわかっているか、その理由はなにか、といったことをつかまなくてはなりません。そのもっともよい方法が、ノートに書かせることです。

「電気の通り道」(3年 理科)のつづきです。

この前の時間に子どもは、

・(①のように)つなげると、豆電球がつくこと
・導線は、電気をじゃまするもの(エナメル・ビニル)がついていること
・紙やすりで、電気をじゃまするもの(エナメル・ビニル)をとると豆電球がつくこと

を知りました。

さて、本時の問題は、

導線を切っても、豆電球はつくか

さらに

導線を結んだら、豆電球はつくか

というものです。

導線を切っても豆電球はつくか?
導線を結んだら、豆電球はつくか?

さっそく書かせました。

まず、「つく」と答えた理由は、

豆電球は「つく」という意見の子

一方、「つかない」と答えた理由は、

豆電球は「つかない」という子

「つく」と答えた子どもは、電気を熱と同じように考えています。「つかない」と答えた子どもは、電気をホースの中を流れる水のように考えているのです。おもしろいと思いませんか?

さて、次のように展開の方法が考えられます。

導線を結んだ図

③の絵の〇の部分を拡大してかかせ、「電気の流れ道を、赤い線でかいてごらん。」と言うと、

「つく」と答えた子は

「つく」と答えた子が電気の流れ道を赤い線で結んだ図

「つかない」と答えた子は

「つかない」と答えた子が電気の流れ道を赤い線で結んだ図

とかきます。ねらいは、かくことで、違いを際立たせることです。

子どもたちが③のようにやってみると、豆電球はつきません。

「 つく」と答えた子も、前の時間に紙やすりで(エナメル・ビニルを)とると豆電球がつくことを知ったのですが、わかっていなかったのです。

「 つかない」のを見て「あれ?」と思い、やっと思い出しました。「エナメルを紙やすりで削りとるんだ。」

それでようやく、豆電球はついたのです。

書くことの目的は、わかっていないことを教師がとらえることです。そして同時に、わかっているようでじつはわかっていないことを浮きぼりにし、違いを際立たせることです。

子どもは、表面的だった理解や一部分だけしか知らなかったこと、つじつま合わせだったことなどに気づき、真剣に考えるようになります。初めて「わかった」と感じることでしょう。


イラスト/相澤るつ子

「COMPACT64 ノート指導 早わかり」より

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