視写で文章の組み立てをつかむ【ノート指導7】
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視写をすることのメリットはたくさんあります。ここでは、文章の構造を理解するのに効果的な視写のやり方の工夫についてご紹介します。
執筆/北岡隆行

目次
視写の効果
視写の効果として
・やることがはっきりしているので、集中力がつく。
・書くときの約束事がわかってくる。
があります。もう一つ発問するのと同じ効果を生むのです。
読んだだけではわからないことも、気づくことができる
「平和のとりでを築く」(光村6年下)の11段落を視写させるとき、下の例のどちらで視写させますか?
次のように書くと、文章というひとかたまりでとらえてしまい、気づくこともなくなります。

ところが、次のように手本を書き(あるいは板書し)、それを視写させると、文と文の間をあけているため、読んだだけでは飛ばしてしまいそうな言葉にも気づくようになります。
たとえば、
▶この段落は5つの文で書かれている。
▶文頭の言葉に目がいく。
「それは」「そして」と続いているから、最初の文の説明だな。あるいは理由だな。「しかし」となったから、これまでの3つの文と逆のことだな。
▶文末表現に目がとまる。
「〜のだった。」になっているから、筆者の言いたいことはここに表れているな。
▶「ちょっぴり不安」だったのは、2つの理由なんだ。
1つは、戦争の被害を強調する遺産だからだ。もう1つは、規模が小さく、歴史が浅いからだ。
▶ 「不安」は「認められるかどうか」で「心配」という言葉で表現しているんだ。
文の構造をスッキリと理解させることができる
教科書どおりではなく、ちょっと工夫して視写してみると、文章の組み立てがわかってきます。
たとえば、「くらしと絵文字」(教出3年下)の文章があります。
文章①を②のように視写させます。
すると子どもたちは、
▶まず、はじめにある「このように」に目がいき、「あぁ、まとめているんだ」と気づく。
▶次に高くなっている言葉を見て、「見ただけでわかるのが絵文字なんだ」とわかる。
▶さらに「わかるのは、つたえたいことなんだ」と理解する。
▶そして、「『色』と『形』の2つでわかるようにしているんだ」ととらえるようになる。

「生きている土」(教出6年上)の文を視写してみましょう。
④のように視写すると、
▶土は鉱物だと思われている。
▶その鉱物は、2つのことによってできた。1つは〜で、もう1つは〜だ。
さらに、
▶それは常識で思われたこと。では、本当はどうなんだろう?
▶ 「けずられた」と「くずされた」、「流れ」と「作用」の言葉の違いに気づき、いったい、どう違うんだ? と言葉にこだわるようになる。
ただしこの方法は、何にでも使うのではなく、子どもがスッキリわかる文章にしぼって扱いましょう。
イラスト/相澤るつ子
「COMPACT64 ノート指導 早わかり」より
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