「最後の授業参観&懇談会アイデア」保護者を味方にする学級経営術 #12

連載
保護者を味方にする学級経営術

千葉県公立小学校校長

瀧澤 真
連載 保護者を味方にする学級経営術

学級担任なら、一度は保護者対応に悩んだ経験があるのではないでしょうか。しかし、保護者が味方になってくれたら、こんなに心強いことはありません。この連載では、保護者が担任と学級を応援したくなるような学級経営について、その月の学校状況に合わせたアイデアを紹介します。第12回は、「最後の授業参観&懇談会」を取り上げます。

執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真

最後の授業参観は「学習成果の発表会」をしよう

授業参観

4月、1回目の授業参観は、わが子のことはもちろん、担任がどんな人なのかを見に来る保護者が多いでしょう。

2回目はどうでしょうか。比率は少し子供に寄ります。わが子がしっかりとやっているのか。授業に参加しているのか、友達とのコミュニケーションはとれているのか。そういう姿を見に来るでしょう。また、とてもよい担任、もしくは逆の評判がある場合には、担任への興味が高まるかもしれません。

そして、3回目。3回目は、たいてい年が明けてから行われます。ここまでくると、担任のことよりも、わが子第一です。この1年の成長を見ることができれば、親は満足し、担任に感謝するでしょう。

ですから、この3回目の授業参観を、教師主導型の授業でやるのはいただけません。それなのに、相変わらずの教師主導で、先生が主に話をしているようなスタイルで授業する方が結構います。これでは、せっかく参観に来た保護者も残念に思うでしょう。

では、最後の授業参観に何をするか。

あれこれ工夫してもいいのですが、私は「学習成果の発表会」がよいと思います。

なんだかありがちだなあと思われるかもしれませんが、保護者は別に奇をてらった授業、斬新な授業を見たいわけではないのです。わが子がこの1年でどんなことができるようになったのかを知りたいのです。そしてがんばっていることが伝われば、満足するのです。

そこで大切になってくるのが、どんな発表会にするのかということです。

各自が得意なことを発表する会での注意点

個人発表する子と担任

まず考えられるのは、自分の得意なことを発表する会です。

国語でいろいろな古典を暗記した子は、暗唱の発表をします。
算数でそろばんをがんばった子は、みんなの前で計算に挑戦します。
リコーダーで演奏する子、縄跳びを発表する子もいます。
調べ学習で特に力を入れた内容を紹介する子もいます。

そうやって、この1年で特にがんばったことを発表する会をすると、とても盛り上がり、また、それぞれのがんばりを認め合う場となるでしょう。

このような会をやるときに重要なのは、習い事でやっていて得意であるということではなく、あくまでも学校でがんばったことを発表するということ。それから、特に発表することが見付からない子や発表が苦手な子をどうフォローするかということです。そういう子がみんなの前で恥をかかないようにしなければなりません。

その解決策は2つです。

1つは、その子ととことん話し合い、何を発表するか決めることです。そして、その子の許可を得ながら、教師が事前にかなり手伝うのです。そしてしっかり発表できるようにします。国語の物語で学んだことを発表するならば、発表シナリオを一緒に作り、何度も練習させます。資料作りも手伝いましょう。このようにすれば、それなりの発表になるでしょうし、そのことで自信をつけてもくれるでしょう。

そんなに手伝ったら、その子は何もしていないことになるのではと思うかもしれませんね。でも、そうやって教師が手伝いながらやること自体が、その子にとっては学習の復習になるわけです。そして、最終的には自力でやり遂げたような気にさせることも大切です。それが、次もがんばろうという原動力になります。

そうはいっても、子供のことをそんなに手伝う時間がないという方がいるかもしれません。しかし、ここまで手厚くフォローしなければならない子は、そう多くはいないはずです(いや、たくさんいる、という場合は違う発表会にしましょう)。

極端な話、できる子は自力で発表の準備をさせておけばいいのです。指導も個別最適化しましょう。放っておいても大丈夫な子は自由にさせ、少しの手助けが必要な子には、得意な子にその任を任せればいいのです。そして、教師の助けが必要な子に力を注ぎます。

もう1つは、グループ発表にすることです。1人では厳しくても、助け合いながらだと大丈夫なことも多いのです。

例えば、リコーダーを4人で発表する、社会科で調べたことを3人で発表するなどです。こちらも、発表が苦手な子がいるグループに教師がついて、徹底的に支援しておきましょう。

全員で共通のことを発表する会での注意点

ここまで個々で発表するものを選ぶやり方を述べてきましたが、もう1つの方法は、全員で共通のものを決め、それを発表する会です。

例えば、この1年間の思い出、という題で全員がスピーチするのです。1人1分程度でかまいません。全員が事前に原稿を書き、練習をして、本番に臨みます。授業としては単調なものになります。そこで、合間にスライドで1年を振り返ったり、合唱発表を入れたりするとよいでしょう。

全員が個々に違うものを発表するよりは、こちらのほうがハードルは低いかと思います。発表が苦手な子には教師が付いて、一緒に発表原稿を書き、練習も付き合うようにすることは、先ほどの個人の発表会と同じです。

今回は、主に2つの発表方法について述べましたが、事前に子供がおおよそ何時頃に発表するのかを、保護者に忘れずに伝えましょう。せっかく発表しても、そのときに保護者がいなかったら、子供も保護者も残念に思うでしょう。

また、保護者が見やすいように席のレイアウトなども工夫しましょう。そういう心遣いがあるかないかによっても、保護者は担任の評価を決めるものです。味方になってもらうには、それなりの気配りは必要ですよ。


千葉県公立小学校校長・瀧澤真先生

瀧澤真(たきざわ・まこと)●千葉県公立小学校校長。1967年埼玉県生まれ。千葉県公立小学校教諭、教頭、袖ヶ浦市教育委員会学校教育課長などを経て現職。木更津技法研主宰。著書に『WHYでわかる!HOWでできる!国語の授業Q&A』(明治図書出版)、『道徳読み活用法』(さくら社)、『職員室がつらくなったら読む本。』(学陽書房)など、多数。

イラスト/いらすとや

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学級担任の時短術(全12回)

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