小3国語科「漢字の広場⑥」全時間の板書&指導アイデア

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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科 「漢字の広場⑥」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:漢字の広場⑥(光村図書・国語 三下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都練馬区立向山小学校・岡崎智子

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、2年生で学習した漢字の定着を目指します。場面絵にある言葉を使って文を書く中で、正しく書く力や適切に使う力も育てていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

漢字の広場は年間で6回設定されています。場面絵と2年生で学習した漢字を使用した言葉が書かれており、場面絵の中に書かれた言葉を使って文を書く活動が示されています。お話づくりをしたり日記を書いたり様子を説明する文を書いたりと、様々な文種を書く活動が例示されています。

場面絵に書かれている言葉を使いながら文を書いていく中で、前学年の配当漢字を正しく書いたり文章の中で正しく使ったりできるようにしていきます。書いたものは、自分で読み返したり友達と読み合ったりします。間違いに気付いて正したり、適切な表現になっているかを確かめたりすることで、文や文章を整える習慣を付けることもできます。

今回は、四季折々の自然を楽しんでいる4枚の場面絵です。「絵の中の人になりきって、それぞれのきせつでどんなことをしたかを書きましょう。」と書かれており、場面絵の中の人物になりきって経験したことを報告する文章を書く活動が示されています。
また、「修飾語を使ってまわりの様子をくわしく表しましょう。」という一文もあり、10月に学習した「修飾語を使って書こう」での学びを活用することもできます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 文章の中で使用した言葉を振り返る

「言葉を一つ使うと1ポイント」のようにゲーム性を取り入れ、一つの文章の中にいくつ言葉を使えたか振り返る場を設けると、「できるだけ多く言葉を使ってみよう」「他にも使える言葉はあるのかな」という思いが高まります。場面絵に載っている言葉ではなくても、2年生で学習した漢字を使っていればよいことにすると、巻末の漢字の一覧を見直したり辞書を活用したりする姿が現れます。

〈対話的な学び〉 ペアで文作りを行う

ペアで文作りを行います。場面絵の中のどの言葉を使おうか友達と話し合いながら進めることで、文作りを楽しむとともに、言葉の意味や用法の理解を確かなものにすることができます。
書いた文章を読み返す際も、自分以外の友達に読んでもらうことで漢字や送り仮名などの間違いに気付きやすくなります。

〈深い学び〉辞書を引いたり互いの文章を読み合ったりして語彙を広げる

場面絵に書かれている言葉の中には、辞書を引くことで語彙が広がるものがあります。
例えば、「晴れ」を辞書で引くと、晴天・快晴・五月晴れ・炎天などの言葉が書かれています。
「星」では、「星がまたたく」という用例や星影・星くず・星空などの言葉を知ることができます。

書いた文章を読み合うことで、どのように修飾語を使っているのかを交流することもできます。
風が「ピューっと吹いた」のか「そよそよと吹いた」のか、麦茶を「ごくごく飲んだ」のか「一口飲んだ」のか、修飾語によって場面の様子が変わってきます。「どのような様子が想像できるか」「別の言葉だったらどうなるか」などを話し合うことで、語感の違いに気付かせます。

新たな言葉に出会ったり語感の違いを意識したりする経験を重ねることで、児童の語彙が豊かになっていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)場面絵と言葉のフラッシュカード

オクリンクやロイロノートなどの学習支援ソフトを活用します。
教科書の場面絵を1枚ずつ分けて貼った4枚の絵カードとそれぞれの場面絵に書かれている言葉を一つずつ書いた27枚の言葉カードを作ります。カードに分けることで、漢字の読みを確かめるためのフラッシュカードとして使うことができます。教師がカードを次々にめくり、表示されている場面絵にある言葉を声に出して読ませることで、2年生までに学習した漢字の「読み」を確かめます。
スクリーンなどに投影して全体で行うこともできますし、教師の端末の画面を児童の端末に配信する機能を活用して、手元でカードを見せることもできます。

(2)言葉カードの活用

(1)で作成した絵カードと言葉カードを児童の1人1台端末に配信し、文章を書く際に活用できるようにします。使用した言葉のカードをまとめたり、辞書を引いて新しく出会った言葉や自分で付け足した言葉のカードを作成したりすることで、自分たちがどの言葉を使用したのかが分かりやすくなります。まだ使っていない言葉を何とか使用したいと考えるきっかけにもなるでしょう。

文章をすらすらと書きあげてしまい時間に余裕のあるペアには、修飾語カードを作成したり言葉カードを分類したりさせてみることもできます。言葉の性質や役割などによる語句のまとまりを意識することにつながります。

(3)書いた文章の共有

学習支援ソフトの共有機能を活用し、完成したカードを互いに見合うことができるようにします。
短時間でたくさんの友達の書いた文章を読むことができるため、効率的に共有できます。同じ場面絵から、どの言葉を使って、どのような文章が生まれるのか、違いを楽しんだりよい表現を見つけたりすることで、意欲や言葉への理解を高めることができます。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 漢字の広場⑥

【主な学習活動】
第1次(1時2時
第1時:言葉の読みを確かめ、場面絵に書かれている言葉を使ってペアで文章を作る。
➀ 場面絵に書かれている言葉を声に出して読み、読みを確かめる。〈 端末活用(1)〉
② 場面絵に書かれている言葉を使って文章を考える。〈 端末活用(2)〉
③ 完成した春・夏の文章を読み合う。〈 端末活用(3)〉

第2時:互いの文章を読み合い、言葉から受ける印象の違いについて考える。
① 場面絵に書かれている言葉や集めた言葉を使って文章を考える。〈 端末活用(2)〉
➁ 完成した秋・冬の文章を読み合う。〈 端末活用(3)〉
③ 修飾語による場面の様子や印象の違いについて考える。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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