小2算数「かけ算⑵」指導アイデア《物の数の求め方をかけ算を用いて解決する》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小2算数「かけ算⑵」指導アイデア タイトル

執筆/さいたま市立大成小学校教諭・山本珠愛
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

年間指導計画 かけ算⑵

単元の展開

第111時 6~9、1の段の構成の仕方を考え、説明する。1~9の段の九九を確実に唱え、適用する。 

第12時 九九表からきまりを見付ける活動を通して、乗法と積の関係や乗法の交換法則について理解する。

第13時 情報の性質やきまりを用いて、簡単な場合の2位数と1位数の乗法の答えの求め方を考え、説明する。

第14時 「倍」についての理解を深める。

第15時(本時)乗法九九を総合的に活用して、物の数の求め方をかけ算を用いて解決できるように工夫して考え、説明する。

第16時、17時 学習内容の定着を確認する。

本時のねらい

乗法九九を総合的に活用して、物の数の求め方をかけ算を用いて解決できるように工夫して考え、説明することができる。

評価規準

ものの数の求め方を、かけ算を用いて解決できるように工夫して考え、説明することができる。

本時の展開

今日はある食べ物を使って学習します。

チョコレートだ! 中身を見せてほしいなぁ。

中身が気になりますね。いくつ入っているんだろう。今日の問題にしましょう。

問題
はこの中のチョコレートは、ぜんぶで何こありますか。
図表1

少しずつ見せていきますね。

図表2

あ! 5個入っているね。

5個ずつ入っているよ。あといくつ分かが分かればいいです。

なるほど。では、これで分かりますか。

図表3

分かりました。5×6で30個です。

なぜ30個と分かったのですか。

縦に5個ずつ6列あるからです。

なるほど。では全部見てみましょう。

図表4

あれ。いくつか食べられていて30個ではないね。

きれいに並んでいないね。

これじゃあ、かけ算が使えないよ。

でも、数えることはできるよ。

1、2、3、4……、24個だ。

でも、それはめんどうじゃないかな。

まとめられないかな。

まとめるとは、どういうことですか。

かけ算ができるようにきれいに並べるということです。

今までの形にする(アレイ図)ということです。

図表5

これならかけ算でできそうです。ほかにもできると思います。

本当にきれいに並んでいなくても、かけ算で数えられますか。では、チョコレートの数のいろいろな求め方を考えましょう。

学習のねらい
きれいに並んでいなくてもかけ算が使えるか、いろいろな求め方を考えましょう。

見通し

同じ数ずつまとめていくと、かけ算が使えると思う。

移動したり分けたりすると、かけ算が使えると思う。

あると見て、あとから増やした分を取ると、かけ算が使えると思う。

自力解決の様子

A つまずいている子
24という数字から、3の段や8の段でできると考え、3や8のまとまりを不規則に囲んでしまう。


B 素朴に解いている子
まとまりで考えられるように分けたり、移動したりして、かけ算で求めている。


C ねらい通り解いている子
●を移動したり空いているところにつけたりすれば、かけ算が使えることに気付き、さまざまな方法を考えている。

学び合いの計画

自力解決では、今まで学んだかけ算のきまりや性質を活用して、「どれが一番手際がよいか」など効率的な解決方法を探るのではなく、いろいろな方法で数を求めることが大切です。

しかし、「まとまりをつくって数を求める」というやり方であっても、不規則な「まとまり」のつくり方をしている子供には、「ほかの人が見ても分かりやすいようにまとまりをつくろう」などの支援が必要です。

学び合いの時間には、はじめに子供が考えた式を提示します。その式からどのような図で考えたのかをほかの子供に問うようにします。そうすることで、同じ式でも、図の分け方が違うことやまとまりの分け方が違うことに気付きやすくなり、学習のめあてに向かわせることができます。

また、考えを発表させる際に、「まとまり」や「かたまり」という発言があったときには板書で残しておくとよいでしょう。そうすることにより、考えを出し合った後、求め方の共通点を問うた際のヒントになります。そして、「まとまり」に注目して分けていくことで、●の並び方が長方形や正方形になることに気付いていきます。

既習とのつながりとして、6~9の段の九九を2~5の段の九九でつくった際の考え方と関連付けることもできます。

図表6

ノート例

A つまずいている子

※3個ずつや6個ずつのまとまりをつくろうとしているが、不規則にまとめているため、アレイ図がうまく使えていない。

つまずいている子ノート

B 素朴に解いている子

素朴に解いている子ノート

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

(アの式を示して)この式はどのような図になっていると思いますか。

2つの式があるので、2つに分けていると思います。

3のまとまりと、5のまとまりをつくっていると思います。

このような図になっていました。3のまとまりや5のまとまりとはどういうことですか。

図表7

左側が3個ずつ3個分なので、3のまとまりが3つあります。なので、3×3になります。残った右側は5のまとまりが3つ分だから、5×3です。それを合わせて24になりました。

(イの式を示して)上下に分けるやり方もできました。

(ウの式を示して)この式はどのような図になっていると思いますか。

ひき算を使っているね。どうやって考えたらいいんだろう。

5×6は、最初にチョコレートがあると思ったときの式じゃないかな。

そこから6を引くということは……、分かった。●が全部あったと考えて、そこから食べた分を引いたのだと思います。

図表8
図表9

(エの式を示して)この式はどんな図になっているでしょう。

3個ずつだから、僕と同じかもしれない。(オを示してくる)

※子供の図を示す。

でも、この図も3のまとまりが8個分だから3×8になったよ。

どちらも3×8だけれど、まとまりのつくり方が違うんですね。

図表10
図表11

(カを示して)これも3×8になったよ。移動したら、3の段のときと同じような形になったよ。

図表12

動かして考えたんですね。(キ 6×4=24を示して)この式はどんな図になっているでしょう。

6個のまとまりが4個分だから……。こんな感じになっていると思います。(自分が考えたカードから示したり、黒板で説明したりする)

(クを示して)このように考えても、6×4になりました。

図表13
図表14

かけ算で考えることができましたね。どんな考え方が出てきたかまとめてみましょう。似ている考え方はありますか。

全部まとまりのいくつ分で考えています。

動かして考えているものがあります。

分けて、あとから足しているものがあります。

全体から空いている部分を引いているものがあります。これは似ているのはないけれど……。

四角形の形で考えているのは全部同じだと思います。

でこぼこになっていても、こうすると考えやすくなるね。

長方形や正方形の形にしてまとまりのいくつ分と考えると、かけ算がうまく使えそうですね。

学習のまとめ
●がきれいに並んでいなくても、まとまりを見付けて、そのいくつ分と考えるとかけ算で求められる。
長方形や正方形の形に並べると、かけ算で求められる。

評価問題①

げたばこを見て、上ばきの数をもとめよう。
(本時の適用問題)

図表15

子供に期待する解答の具体例

図表16
図表17
図表18

評価問題②

げたばこを見て、上ばきの数をもとめよう。
(本時の発展問題)

図表19

子供に期待する解答の具体例

図表20
図表21
図表22

感想例

  • きれいに並んでいなくても、長方形や正方形の形にすればかけ算が使えることが分かった。
  • 工夫して計算すれば、1つずつ数えるよりも早く計算できることが分かった。
  • 3つの作戦があった。考え方は1つじゃない。

ワークシート(ダウンロード可)
かけ算(2)ワークシート見本
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板書例

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イラスト/横井智美、やひろきよみ

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