小3 国語科「修飾語を使って書こう」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「修飾語を使って書こう」(光村図書)の全時間の板書、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:修飾語を使って書こう(光村図書・国語 三 下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都練馬区立大泉学園小学校・浅沼由香里

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、低学年で学習した「主語と述語」を基礎に、修飾語の役割を知ることによって、「文の意味を正しく捉えられる」「言いたいことがより正確に、詳しく相手に伝えられるよう、文を整えて書いたり話したりできる」力を身に付けていきます。

2. 単元の評価規準

 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

児童の普段の発言の中で、「先生、忘れました。」「○○さんが、けがした。」など、言葉が足りないために具体的な状況が伝わりにくいものがあります。
また、作文や日記を書いたときにも、「魚をつりました。楽しかったです。」など、したことだけを書き、読んだ人が様子を思い浮かべにくい文章を見かけることがあります。

教科書p29の本単元の導入では、そのような1年生のときの日記を読み返す設定となっています。教科書p29で示されている「花が、さきました。」の文章に対して、もっとくわしく知りたいことを考える活動から始めていきます。

「いつさいたの?」「どこでさいたの?」「どんな花?」「どれくらいさいたの?」と1年生に質問する活動を行うことで、「修飾語」の役割を考えていきます。併せて、「どの言葉を詳しくしているのか?」確認していくことで修飾と被修飾の関係にも気付かせていきます。

導入で用いた「書かれた文に対して質問する」活動を生かすことにより、自分自身が書いた文や友達が書いた文に対しても「いつ」「どこで」「どんな」「どれくらい」といった質問をすることで、文をより詳しく分かりやすくできることを確かめ、修飾語の役割や修飾と被修飾の関係に対する理解を深めていきます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 スモールステップで意欲を引き出す

教科書p29に示されている「花が、さきました。」と書いた1年生の日記は、3年生の児童にとって、「自分もそうだった。」「そういう文、書いていたかも。」と共感的に受け止められることが予想されます。その1年生が書いた文を生かして、「1年生だったころの自分に質問しよう」と投げかけていきます。
教科書p29で示されている文は、3年生の児童にとって、容易に「この文だけではよく分からない」と理解することができ、分からない点についてたくさんの質問を考えることができるものです。3年生の児童であれば、容易に取り組むことができる単元の導入により、学習意欲を高めます。

導入で用いた「書かれた文に対して質問する」活動は、修飾語の役割や修飾と被修飾の関係を楽しみながら理解していくことに効果的です。加えて、友達の文章を読むときや他の文章を読むとき、自分自身の文章を読み直すときにも生かすことができる活動です。

本単元では、随所に「書かれた文に対して質問する」活動を取り入れ、楽しみながら語句の関係を学ぶことができるようにしていきます。

〈対話的な学び〉 友達と関わりを自分自身に生かす

本単元では、修飾語と被修飾語の役割と関係を理解するために、中心となる活動として「質問する」ことを行います。教科書に示された文に対して「質問する」、友達が書いた文に対して「質問する」活動を通して、修飾語の使い方を知り、修飾と被修飾の関係を捉えていきます。
児童は友達との「質問する」活動による関わりを通して、自身の文が「分かりやすくなった」「伝わりやすくなった」などの実感を得ていくことでしょう。

本単元の最後では、自分自身の文に対して「質問する」ことを通して、自分自身で文をよりよくしていく活動を行います。児童が友達との関わりの中で得た気付きを自分自身の学びに生かし、自分で文をよりよくすることができることを目指します。

〈深い学び〉 書いた文を見直す習慣を発展させ、他の学びでの活用へ

本単元の導入では、2年生までに身に付けた、自分で書いた文章を見直す習慣を生かし、文をより詳しくしていく活動を行います。この活動を生かして、児童が、普段の自分の会話や今まで書いた文が分かりやすかったかどうかを考え、振り返るきっかけにしていきます。
そのために本単元の後半では、児童が自身で書いた文を見直し、質問する場を設けます。

また、本単元で学習する修飾語の役割と、修飾と被修飾の関係は、国語科の学習に留まらず学校生活全体で活用することができる内容です。そのことに気付かせ、活用への意欲をもたせるために、直前で学習した「ちいちゃんのかげおくり」の中の1文を取り上げ、どのような修飾語が何を修飾しているのか、それがあるのとないのとでは、どのように分かりやすさや想像しやすさが変わるかを確かめていきます。この活動を通して、修飾語のよさをより深く実感したり、必要だと感じたりすることにつなげていきます。

これらの活動を通して、書く場面だけではなく、話す場面や今まで読んできた文章では、どんな修飾語が使われていたかを考えさせ、本単元で学習した内容を他教科等の学習でも生かしていこうとする意欲をもたせていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

ノートに主語と述語を書いた後、修飾語を付け加えていくことは、行やますの制限を受けてしまい、何度も消し、書き直すという大変さを伴います。
1人1台端末を使用し、スライドに付箋機能を使って語句を並べ、文章を作ると、修飾語の追加や並べ替えなどが、容易にできます。友達の文との比較もしやすく、全体での共有の際にも活用できます。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 修飾語を使って書こう

【主な学習活動】
第一次(1時
① 主語と述語の関係を踏まえて、修飾と被修飾の関係を捉え、修飾語の役割を理解していく。

第二次(2時
② 言葉が文の中で果たす役割や言葉同士の関係を理解し、修飾語を使って分かりやすい文を書く。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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