ひょうたん跳びの次のステップはどうしたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #44】
前回紹介したひょうたん跳びは、跳べる跳び方の組み合わせなので、すぐに子どもたちができるようになることが考えられます。ひょうたん跳びの楽しさを十分に味わえたら、次のステップに進みましょう。
今回は、ひょうたん跳びの次のステップ「ひょうたん跳びダブル」を紹介します。
執筆/東京都公立小学校教諭・吉羽顕人
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1.ひょうたん跳びダブルとは?
なわの回し方や跳び方は、ひょうたん跳びと同じです。ひょうたん跳びと違う点は、図1のように両方の回し手のそばに並んでかまえて、同時にスタートしてなわを跳ぶことです。
子どもたちがひょうたん跳びを経験しているので、教師が新たに指示するのは、
①2人で同時になわを跳ぶこと
②並び方
の2点のみです。
<図1>
2.指導のポイント
⑴ まずはひょうたん跳びが十分に上達してから
ひょうたん跳びは既習の運動であるかぶり回しとむかえ回しを組み合わせた運動です。子どもたちが動きに慣れるまで、あまり時間がかからないことが予想されます。
しかし、焦ってすぐにひょうたん跳びダブルに移行してしまうと、十分に習熟しない状態で新たな学習課題に向き合わせることになります。各グループが、ひょうたん跳びを連続跳びで100回以上跳べるようになってから、ひょうたん跳びダブルに進むようにしましょう。
⑵ タイミングを合わせて跳ぶために
相手とタイミングを合わせて跳ぶときに、黙ったままではなかなかタイミングを合わせられません。しかし、活動していくうちに「1、2の3」や「1、2、せーの」などと声をかけ合う子が出てきます。このような姿が見られたら、大いに褒めて、全体に広げていきましょう。
⑶ なわに入るタイミングは?
2人で同時になわを跳ぶために「1、2、せーの」などと声をかけ合って跳ぼうとしても、どうしてもなわに引っかかってしまう子がいます。実は、ひょうたん跳びダブルは、なわに入るタイミングがぴったり同じではないのです。なわの動きの関係で、下のイラストのようにかぶり回しを跳ぶ側がほんの少しだけ早くなわに入る必要があります。
跳べている子の動きを横から見せることで、なわに入るタイミングに少しのずれがあることを認知させることができます。タブレット機器で動画を撮影して、スロー再生するのも効果的です。
<図2>
⑷ 連続跳びでさらなる習熟を
ひょうたん跳びダブルをクラス全体が跳べるようになったら、これまでの跳び方と同様に連続跳びに発展させていきます。ここで注意したいのが、グループの人数です。ひょうたん跳びダブルは2人ずつ跳んでいくので、自分の番がすぐにやってきます。グループの人数が少ないと次の自分の番に間に合わないことがあります。目安として10人いれば、跳び手が8人になり、十分間に合います。なわ回しをゆっくりにするのも重要です。
なお、グループの人数が奇数だと自分の番が来るたびに、同時に跳ぶ相手が変わります。そのことに混乱することがあるので、事前に伝えておいてもよいでしょう。場合によっては、最後の子だけ1人で跳ぶようにすると、いつも同じ相手と跳ぶことができます。
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ひょうたん跳びダブルは、ひょうたん跳びに「跳ぶ人数」と「跳び手の並び方」のアレンジを加えた教材です。運動に必要な技能が身に付いた状態で学習を進められるので、なわに入るタイミングについて、既習事項をもとにみんなで話し合うことができます。
運動を観察して、考えを伝え合い、実践するという「考えながら動く」経験を積ませるよい機会になること間違いなしです。ぜひ焦らずにステップを踏んで取り組んでください。
【参考文献】
・木下光正(2007年)『クラスの一体感が生まれる長なわとびの指導法』学事出版
・平川譲(2008)『〈小学校体育〉写真でわかる運動と指導のポイント なわとび』大修館書店
イラスト/佐藤雅枝
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執筆
吉羽 顕人
東京都公立小学校 教諭
1986年東京都目黒区生まれ。「みんなができる、みんなでできる」授業の実現を目指し、日々研鑽中。また、実践を広げるために、オンラインで研修会を行っている。『「資質・能力」を育成する体育科授業モデル』(共著)(学事出版)
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。