特別支援の先駆者が解説:グレーゾーンの子への教育虐待3つのケース

発達障害におけるグレーゾーンの子について、保護者との会話や保護者会などで、子どもの意思や実力に合わない目標設定をしている、度がすぎた保護者の意見をきくことはありませんか?
もしかしたらそれは「教育虐待」にあたるケースかもしれません。
そんな時、教師にできることは何でしょうか?
NPO法人えじそんくらぶ代表で臨床心理士の高山恵子さんにお伺いしました。
監修/高山恵子

目次
キーワードは「あなたのため」
「教育虐待」でよくあるのは、保護者がその子の意思や実力に合わない目標設定をし、課題がクリアできなければ、「だめな子、うちの子じゃない」などと精神的な圧力をかけたり、時には暴力をふるうケースです。
教育虐待を理解するキーワードは、「あなたのため」です。普通の虐待と違って、保護者は本当に「子供のため」と思ってやっているので、自分で自覚するのは案外難しいものです。
それだけに、「気づき」が重要になってきます。保護者会などで、度がすぎた保護者のしつけや教育は教育虐待であるといった話をし、気づきの一助を担っていただければと思います。
教育虐待が疑われた時の対応のポイント
教育虐待が疑われる保護者には、具体的にどう対応すればよいのでしょうか? 単にアドバイスをするだけでは、多くの場合、「私のことを邪魔する人」という扱いになってしまいます。
それを防ぐポイントは、保護者の話を傾聴し、信頼関係を築くことです。その上で、「学校で元気がなく、食欲もないようです。お子さんの健康状態は、大丈夫ですか?」といった感じで、話を切り出してみます。この時、担任の価値観を挟まずに、フラットな気持ちで事実のみを伝えることを意識してみましょう。
保護者に伝えるのが難しいと思った時は、早めに周囲に相談してください。「クラスのことは自分で何とかしたい」と思われる先生も多いのですが、連携できる人を確保しておくことも、教師の力量のひとつです。
虐待対応は、一人で抱え込まないことが本当に大切です。現実問題として教師というキャパを超えた部分での対応が必要なことも多く、一人で抱え込むと教師が潰れてしまう危険性があるからです。声を大にしてお伝えしたいポイントです。