「こども未来戦略方針」とは?【知っておきたい教育用語】

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政府は、2023年6月に少子化対策強化の一環として児童手当や育児休業給付拡充などの「こども未来戦略方針」を決定しました。方針のポイントは、経済成長と少子化対策を車の両輪に「若者・子育て世代の所得を伸ばす」ことで、それを今後3年かけて年間3兆円台半ばの予算を確保し、集中的に取り組むこととしました。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

こども未来戦略方針の背景-進む少子化

こども未来戦略方針決定の背景には、日本が直面する少子化問題があります。2022年に生まれた子どもの数は77万74人で、統計を開始した1899年以来、最低の数字となりました。また、2022年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)も、1.26と過去最低となりました。

現在の日本の総人口は1億2500万人ですが、少子化がこのまま進めば2050年代に1億人、2060年代に9千万人を割り込み、2070年には8,700万人程度となり、わずか50年で人口の3分の1を失うとの推計があります。急速な少子化・人口減少に歯止めをかけなければ、日本の経済・社会システムを維持することは難しくなり、国際社会における日本の地位にも大きな影響を及ぼします。

政府は若年人口が急激に減少する2030年代までを、こうした状況を反転させられるかどうかの重要な分岐点であるとし、「我が国のもてる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意で取り組まなければならない」との見解を示しました。

こども未来戦略方針の内容

こども未来戦略方針では、「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」の3つを基本理念として掲げました。

1.若い世代の所得を増やす

●児童手当の充実:所得制限撤廃、支給期間3年延長(高校卒業まで)、第三子以降3万円に倍増
●高等教育(大学等):授業料減免(高等教育の無償化)の拡大、子育て期の貸与型奨学金の返済負担の緩和、授業料後払い制度の抜本拡充
●出産:出産育児一時金を大幅に引上げ、出産費用の保険適用(2026年度~)
●働く子育て世帯の収入増:短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げ
●住宅:子育て世帯等が優先的に入居できる仕組みの導入、フラット35(固定金利型住宅ローン)の金利優遇

2.社会全体の構造・意識を変える

●育休をとりやすい職場:育休取得率目標を大幅に引上げ、中小企業の負担には十分に配慮、助成措置を大幅に拡充
●育休制度の抜本的拡充:3歳~小学校就学までの「親と子のための選べる働き方制度」を創設、時短勤務時の新たな給付、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割に

3.すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する

●切れ目なく全ての子育て世帯を支援:妊娠・出産時から0~2歳の支援を強化、「伴走型支援」の制度化検討、産後ケア事業実施体制の強化、「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設、多様な支援ニーズへの対応(社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実とひとり親家庭の自立支援)

実施のための財源

こども家庭庁にこども・子育て支援のための新たな特別会計(こども金庫)を創設し、既存の事業を統合して、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めることとしました。また、実施に必要な費用は、2028年度までに徹底した歳出改革などを進め、公費の節減などの効果や社会保険負担軽減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないとの方針が示されています。

上記に掲げた具体的政策は「加速化プラン」として、今後3年間の集中取組期間において、できる限り前倒しして実施するものとされており、日本の少子化問題解決への糸口となることが期待されています。

▼参考資料
厚生労働省(PDF)「『こども未来戦略方針』~次元の異なる少子化対策の実現のための『こども未来戦略』の策定に向けて~」2023年6月13日
こども家庭庁(ウェブサイト)「こども未来戦略方針(リーフレット等)」2023年

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