平泳ぎってどうやって教えたらいいの?(カエル足編) 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #28】

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平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

平泳ぎは動きが複雑で、水泳の指導の中でも、技能を習得させるのが難しい泳法です。難しいからといって、技能別にして学習を進めてしまうと、水泳が得意な子だけが技能を習得し、苦手な子は取り残されてしまいます。平泳ぎのけり(カエル足)の指導から導入して、平泳ぎのかき(ハート形プル)の指導まで、一斉指導とペアでの相互のお手伝いで、確実に技能を身につけていきましょう。

執筆/筑波大学附属小学校教諭・齋藤直人
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

1 とび箱の上でカエル足!

初めは陸上で、正しく足を動かせるようになることを目指します。
複雑な動きであるカエル足の動きを陸上で体験させます。陸上という安心感があり、仲間の動きも見られるので、やっている子だけでなく、見ている子も理解しやすいというメリットがあります。
まずは、イラストのようにとび箱の上に上半身を乗せて、「イチ」の姿勢、「ニィ」の姿勢、「サ~ン」の姿勢を確認します。


①「イチ」の姿勢
ひざと足首をしっかり曲げて、かかとをおしりの方にひきつけます。足の裏は上か後ろを向くように声をかけましょう。


②「ニィ」の姿勢
ひざを閉じずに足首を曲げたまま、かかとを押し出すように足を伸ばします。


③「サ~ン」の姿勢
水を挟み込むようにして、足をしっかり閉じて伸ばします。「サ〜ン」が表しているように、伸びている時間を長くとります。

足の動きに慣れてきたら、「イチ、二ィサ~ン」とペアが声をかけ、その声に合わせてリズミカルに動かしてみましょう。できていない子には、足の裏を持ってのお手伝いが有効です。


「イチ」の時には、足首が曲がるように、足の裏をしっかり持ちます。ひざが閉じていたら、ひざを開くように声をかけます。


「ニィ」で、ひざを開いたまま足を伸ばすように後方に引きます。


「サ~ン」で、しっかりと両足を揃えて足を伸ばさせます。

2 プールサイドでカエル足!

⑴ 腰かけカエル足

プールサイドに腰をかけ、自分で足を見て形を確認しながら動かしましょう。見ることで正しい動きを意識することができます。


①「イチ」の姿勢
足首とひざをしっかり曲げます。ひざを開くのと同時に、足の小指を壁にくっつけるように足首も開きます。


②「ニィ」の姿勢
足首を曲げたままひざを伸ばします。足首の内側で水を押し出す感じでけります。


③「サ~ン」の姿勢
水を挟み込むように足を閉じて、しっかり伸ばします。

⑵ 壁カエル足

壁につかまって、水に沈まない状態で練習をします。自分の足を見て動きを確認することができないので、ペアで行います。


①壁につかまる
壁につかまり、体を浮かせます。片手をへりにかけて、もう一方を水中で壁に当てると、体が沈みにくくなります。


②カエル足をする
ペアの仲間が後ろから見て、カエル足ができているか声をかけながら確認します。

足首が伸びてしまう、あおり足になっている場合は、手のひらで足の裏をしっかり持ち、お手伝いをします。

水中での正しいカエル足の3ステップは以下の通りです。

「イチ」……ひざを曲げ、足の裏は上か後ろに向けます。
「ニィ」……足首を曲げたまま、しっかりとひざを伸ばします。
「サ~ン」…水を挟むように、ひざを伸ばしたまま足を閉じます。

「イチ」

「ニ」

「サン」

ビート板でカエル足!

ビート板の先を持ち、顔を上げてカエル足の練習のくり返し、リズミカルな「けり」を目指します。


ビート板の先を持ち、顔を上げて体を浮かせます。


足首を曲げた状態でゆっくりと足を引きつけて「イチ」の姿勢をしっかりつくってから、強くけります。


ひざを伸ばしたまま、水を挟み込むように足をしっかり閉じて、けのびの姿勢をとります。進まなくなったら、再びけり始めます。

※あおり足になっている子には後ろから手で足の裏をつかみ、足首を曲げるようにお手伝いをします。

【参考文献】
平川譲、清水由、眞榮里耕太、齋藤直人(2016)『水泳指導のコツと授業アイデア』ナツメ社

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執筆
齋藤 直人
筑波大学附属小学校 教諭
筑波学校体育研究会 理事
1985年 山形県庄内町生まれ。「体の基本的な動きを身に付け、高めること」を目指した対話(声かけ、お手伝い)でつなぐ体育授業を研究。全国の子どもたちや先生方が、今よりほんの少しでも体育授業を好きになってもらえる方法を模索中。著書に『対話でつなぐ体育授業51』(東洋館)等。


平川譲先生

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


イラスト/佐藤道子

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