お別れする子どもたちへ、どんな言葉をかけますか?【音声つき】

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古舘良純の「つぶやききれなかったこと」
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岩手県公立小学校教諭

古舘良純

どんなに素敵な言葉や名言でも、それがいつでも誰にでも心に響くとは限りません。今回は、子どもたちにかける最後の言葉についてのお話です。

若手教師から絶大な支持を得ている古舘良純先生が、Twitterではつぶやききれなかった思いを語る音声つき連載をお届けします。

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純

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つぶやききれなかったポイント3つ

1 指導のためではない

1つ目は、指導のための言葉ではないということです。

日々生活していると、「素敵な言葉だな」「良いフレーズだな」「ハッとさせられる名言だな」と思うような言葉に出合うことがあります。

この詩もその1つです。主任の机をふと見た時、心にグッとくるものがありました。

しかし、この詩をそのまま子どもたちに下ろしたかと言えばそうではありません。

あくまで、自分自身の背筋を正すための言葉にしました。自分が発している「ひとつの言葉」が子どもたちにどう影響しているか。自分の言葉が美しくあるかどうかを測る基準にしたのです。

どうしても、こうした言葉に出合うと子どもたちに紹介してしまいたくなります。漫画のセリフや、日めくりカレンダーなどの言葉もそうです。

でも、それらの言葉がそのまま子どもたちにヒットするとは限りません。なぜなら、子どもたちが受け取れる状態になっているとは限らないからです。だから、安易に子どもたちに下ろすことはせず、自分自身の心を耕すための言葉にとどめておくのです。

2 言葉を自分の宝物に

2つ目は、言葉を自分の宝物にするということです。

最終的に、これは北原白秋さんの詩だと知ることになりますが、私の中ではいつまでもあの主任の先生の言葉として思い出になっています。

言い方は悪くなりますが、北原白秋さんの詩だからコピーしたわけではなく、あの先生が大切にしている言葉だからコピーしたのです。だから、この詩は単に「素敵な詩」であることにとどまらず、私とあの先生とを繋ぐ宝物になっているのです。

もちろん、この詩は誰に紹介しても受け入れてくれるような、詩そのものの力が大きくあります。しかし、それが響くかと言ったらそうではありません。それは、その詩との距離感があるからです。

きっと、みなさん自身にも大切にしている言葉、座右の銘のような言葉があるはずです。そうした言葉らを思い出し、自分の心を満たし続けていく必要があると思います。

きっと、そうした言葉に救われることも少なくないはずです。

3 どんな言葉をかけたいですか?

3つ目は、お別れの時に、どんな言葉をかけたいですか? ということです。

この時期、あと1か月でお別れする子どもたちにどんな言葉をプレゼントするかを考えてしまいます。

目の前の子どもたちにとって、どんな言葉が響くのかを探る必要があります。最後の最後に与えられる言葉など、ほんの一握りしかないからです。

そこではきっと、とってつけたような名言や格言を伝えることはないと思います。子どもたちとのエピソードの中で、子どもたちが受け取れる最大級の言葉を伝えるはずです。そして、シンプルに端的に、ズバリと語ることでしょう。

きっと、子どもたちにとっては、それが誰の言葉かなんて関係ありません。あなたの言葉として受け止め、あなたとの思い出として宝物になっていくのです。

あなたは、お別れの時にどんな言葉をかけますか?

私たちは、いつでもいつまでも子どもたちに話ができると思っています。「明日言えばいいか」「また今度にしよう」と、つい時間が無限にあるかのように考えてしまいます。

しかし、時間は有限であり、それに伴って伝えられる言葉の数も有限なのです。もしかしたら、もう子どもたちに面と向かって語れるチャンスは両手で数えられる程度なのかもしれません。

1年間一緒に過ごしてきたからこそ、今あなたにしか語れない言葉を届けてほしいと願っています。


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古舘良純先生寄り
古舘良純先生

古舘良純(ふるだて・よしずみ)
岩手県久慈市出身、北海道教育大学函館校出身、菊池道場岩手支部代表、バラスーシ研究会所属、共著『授業の腕をあげるちょこっとスキル』(明治図書出版)、平成29年度千葉県教育弘済会教育実践研究論文にて最優秀賞を受賞

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