「チャーハン」?「焼きめし」? 食品・料理にまつわる言葉の違い! 児童からの質問に、ちゃんと答えられてますか?~調理・料理編~

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

知りたい星人のキッズたちは、授業と関係あろうがなかろうが、疑問に思ったら、どんどん質問をしてきますよね。そうした質問に、鮮やかに楽しく返しができると、児童たちの知的好奇心もさらに育つのではないかと思います。前回にひきつづき、よく聞く言葉の違いについてご紹介します。今回は、料理などの、生活に身近な言葉編です。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

バターとマーガリン

前回の記事はこちら
〇児童からの質問に、ちゃんと答えられてますか?~ニュースでよく聞く、似た言葉の違い~

ちょっと勉強が苦手でも、家庭科学習の「食」の領域や給食での食育の学びには興味がある児童が多いです。せんせいの方から、「ねえねえ、この違いを知ってる?」と声をかけてみるのもいいかもしれませんね。日常的に使っている言葉でも案外違いを知らないことが多いものです。しっかりととらえておきたいです。

生活に身近な、食品・料理にまつわる言葉の違い!

冷蔵と冷凍

みなさんのお家にも冷蔵庫と冷凍庫があるのでわかると思いますが、「冷蔵」は冷やす、「冷凍」は凍らすものです。「低温貯蔵」は10度以下0度以上、「冷蔵」は、0度以下で凍結させない温度、「冷凍」は、マイナス15度以下で凍らせるとされています。このほか、野菜室やチルド室などを設けている冷蔵庫もありますね。上手に利用しましょう。

オーブンとレンジ

「オーブン」は、機械の中に熱い空気を満たして、その熱で食品を外側から温めたり、焼いたりするものです。ガスや電気などを使って熱を生むものが一般的ですが、昔のオーブンは薪を燃やして熱を作っていたんだよ。
「電子レンジ」ができたのは、1950年代です。
4年生の理科で、「水と温度」のことを学びますね。水は温めると何になる? お湯になりますね。
これと同じ原理を使っているのが、電子レンジです。
ある種類の電波を食品に当てると、その食品が持つ水分だけが刺激されて、熱を与えたのと同じ状態になります。そのため、オーブンと違って、電子レンジは食品の内側から温めていきますし、また器などの水分を持たないものは温まりません。
最近は、両方の機能を合わせもつ「オーブンレンジ」ができて、広く使われていますね。

ジューサーとミキサー

「ジューサー」は食材をすりおろしたり圧力で押しつぶしたりしながら、食材の水分だけ取り出す機械です。例えばみかんを入れて処理をすると、サラサラの果汁が取り出されて、皮や繊維の部分は残されます。
「ミキサー」は、食材をまるごと、カッターで切って粉々に砕きます。みかんを入れると、皮や繊維も一緒に粉々なって、とろみのある液状になります。
ジューサーはその名前の通り、水分を豊富に含む果物などからジュースを作るときに。ミキサーは、野菜ジュースやスムージーなど、色んな食材を混ぜて飲みやすく加工するときに使いやすくなっています。

焼きめしとチャーハン

みなさんのお家では、「チャーハン」、「焼きめし」、どっちの言葉を使いますか?
今では「チャーハン」も、ご飯を炒めて作る料理の名前として、広く使われるようになりましたが、もともとは中国語の「炒飯」から来ています。
じゃぁ、チャーハンも焼きめしも同じ料理なの? というと、厳密には違います。
その違いとは、調理するときに玉子を炒める順番です。
チャーハンは、玉子を最初にフライパンに入れ、次にご飯、そして具の順で炒めていきます。
そして焼きめしは、まずご飯と具材を炒めてから、仕上げに玉子を入れて炒めます。
この調理方法の違いで、食感が変わってきます。チャーハンは玉子とご飯がよくからんでまろやかに。焼きめしは、ご飯に焦げ目がつくなどして、香ばしくなります。どちらも美味しそうですね。

ラーメンと中華そば

この2つの言葉は、まったく同じ意味です。もともと日本では、「中華そば」と、そばの一種として呼ぶことが普通でした。ところが1958年、日本ではじめて「インスタントラーメン」が開発されると、これが爆発的な大ヒット商品となり、一気に日本全国に「ラーメン」という言葉が広がったのです。
中華料理から生まれたものですが、日本で独自の進化を遂げて、味噌ラーメン、豚骨ラーメン、魚介ラーメンなど、様々な種類・味をもつ日本ならではの料理となりました。
このように新しいラーメンがたくさん生まれていることから、昔風のあっさりした醤油ラーメンのことをとりわけ「中華そば」と呼ぶお店もあるようです。

バターとマーガリン

「バター」は牛乳が原料です。「マーガリン」はとうもろこしや菜種、紅花、大豆などの、植物の脂分から作られます。
昔バターは高価な食品でした。その代用品として、機械で大量生産できるマーガリンが開発されたので、「人造バター」と呼ばれていた時代があります。
生クリームを瓶に入れ、シャカシャカと振り続けると、やがて中身が水分と固形物に分かれます。この固形物がバターになります。頑張れば手づくりもできますよ。
一方マーガリンは、植物から採れた油と水をまぜて作ります。ふつう水と油は分離して混ざりませんが、機械を使って油の粒がごくごくわずかな大きさになるまで細かく混ぜ合わせると、「乳化」という、クリームのように水と油が混ざった状態になり、これを冷やすとマーガリンになります。こちらは、ちょっと手作りは難しそうですね。

炒り卵とスクランブルエッグ

同じような意味として使われることが多いのですが、実は作り方に違いがあります。
炒り卵は、溶き卵と調味料をフライパンで炒めながら混ぜ合わせて作ります。油はひかずに炒め、ぱらっと仕上げることが一般的なようです。
一方スクランブルエッグは、溶き卵に牛乳や調味料をあらかじめ混ぜておき、バターをひいたフライパンで炒めて作ります。
牛乳やバターを使うぶん、スクランブルエッグのほうがとろっとした状態に仕上がります。
自分でつくることができるようになりたいですね。卵料理ができると将来困らないかも…。

明太子とたらこ

どちらもスケトウダラの卵を使っているから原材料は同じなんだね。「たらこ」は生のたらこを塩漬けにしたものです。そして、「明太子」は塩だけでなく唐辛子も加えているので、「辛子明太子」とも呼ばれるよ。
辛子明太子は、韓国のキムチが発祥と言われています。韓国でよく食べられていた、スケトウダラの卵のキムチをもとに、日本人の好みに合うように開発されたそうです。韓国ではスケトウダラのことをミョンテ(明太)と呼び、その卵=子だから明太子と名付けられたそうです。

おはぎとぼたもち

どちらも作り方は同じで、もち米と白米を混ぜたものを炊いて軽くつき、食べやすいように丸くして、あんこでくるんだものです。
では何が違うかというと、作られる時期が異なります。
「おはぎ」は漢字で「御萩」と書き、「ぼたもち」は「牡丹餅」と書きます。萩は秋の花で、牡丹は春の花。この時期になると、ご先祖様を供養する、お彼岸をやる家庭も多いのではないかと思います。
おはぎもぼたもちも、このお彼岸のときに、ご先祖様へのお供えものとして作られたことが、もとになっているんだよ。
ちなみに、「おはぎ」は秋に採れたての小豆を使うので、皮がついたままの粒あんを使い、「ぼたもち」は保存されて固くなった小豆を使うので、皮を取りのぞいたこしあんを使うことが多かったと言われているよ。今は保存の技術が進んでどちらのあんも使われるけど、どちらももおいしいよね。

消費期限と賞味期限

この2つとも、商品が入っている袋やパッケージを開けないこと、そして保存の方法が大事になります。
商品の袋やパッケージを開けると、外の空気と一緒に雑菌が入ってきて、食べ物がいたみやすくなります。また、「要冷蔵」とか「冷暗所に保存」など、商品にはそれぞれ、適した保存の方法が必ず書かれていますので、それを守ることも絶対に必要です。
これらの約束を守った上で、
「消費期限」は、その期限までだったら安全に食べられますよ、言うことです。サンドイッチやケーキ、お弁当など、いたみやすい食べ物につけられます。
「賞味期限」は、その期限までだったら、風味を落とさずに美味しく食べられますよ、ということです。スナック菓子やペットボトル飲料、缶詰など、いたみにくい食べ物につけられます。
計画的に食べていきたいですね。

以上、今回は10の『言葉の違い』を紹介しましたが、食べ物編はいかかでしたか。小学生ではあまり扱わないので割愛しましたが、「おじやとリゾット」「もりそばとざるそば」「落花生とピーナッツ」「ぜんざいとおしるこ」「漬物とお新香」などの違いも説明できるようにしておくと話題が広がりますね。長期休みなどで時間がある時、調べてみてはいかがでしょう。


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★マスターヨーダの喫茶室 夏休み・教材研究レベルアップ大作戦

【参考図書】
博学こだわり倶楽部『この言葉の違いを言えますか?』(河出書房新社)
日本こだわり雑学倶楽部『この言葉の「違い」、説明できますか?』(講談社)

イラスト/したらみ


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山田隆弘先生

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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