「ポートフォリオ」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】

学習成果物を保存し、役立てるための「ポートフォリオ」。その役割や活用法、近年話題の「eポートフォリオ」について解説します。

執筆/東京学芸大学教育学部教授・日本教育工学協会会長・高橋純

ポートフォリオとは?

教育分野におけるポートフォリオは、子どものさまざまな学習成果物を対象とし、それらを保存・蓄積し、整理・分析をしたり、一覧にしたりして、いつでも把握できるようにし、学習や指導の改善などに役立てていくことを指します。

ポートフォリオは、教育のみならず、金融や転職市場などにも使われる言葉です。教員以外の方にとってはむしろ、教育以外の意味の方が馴染みがあるかもしれません。どの場合においても、対象が異なるだけで、ポートフォリオの役割は似ていると言えるでしょう。

ポートフォリオが必要な理由

なぜポートフォリオが必要なのでしょうか。ペーパーテストは、主に個別の知識・技能といった基礎的な資質・能力を測定することが得意です。それらは短期的な学習の成果が中心と言えます。

一方、思考力、判断力、表現力などといった高次な資質・能力は、中長期的に育まれます。単純な用語のくり返しといった学習活動で身につくことはなく、複合的で総合的な学習活動のくり返しで育まれますので、ペーパーテストでの測定は困難です。学習プロセスが重要と言えます。

当然ながら学習プロセスは、学習者ごとに異なります。こうした学習プロセスを可視化していくために、ポートフォリオが用いられます。一般に学習者ごとに作成し、学習者自身が作成することが多いです。

ポートフォリオの具体的な活用法

ポートフォリオは、学習者も指導者も活用します。学習者自身がポートフォリオを活用する場合には、学習の振り返り、今後の計画立案、自己アピールの検討等に活用されます。指導者がそれぞれの学習者のポートフォリオを活用する場合には、まずは自己の指導の改善などの形成的な評価のために活用します。その上で、評定といった総括的な評価に用いることが考えられます。

具体的な活用ですが、保存・蓄積する成果物は、ワークシート、作文やレポート、ノート、絵、試験結果など、学習者がアウトプットしたものすべてと言えます。従来、これらの用紙による成果は、バインダーなどで蓄積し、ポートフォリオとして活用してきました。

成果物が保存・蓄積できたら、整理・分析をします。振り返ったり、次の計画を立てたりするためにポートフォリオを用います。単に時系列に成果物を眺めるだけではなく、学習のねらいに応じて、成果を分類してみたり、関連を検討したりといった整理・分析を試みることや、仲間、先輩、先生などと議論も行われます。

一連の活動を通して、一層、深い振り返りや、新たなアイデアや計画を生み出していきます。こうした試行錯誤を通した学習者の理解の深まりといったプロセス全体を学習評価として扱うことが求められています。

ポートフォリオのデジタル版「eポートフォリオ」

さらに近年話題になっているのが、「eポートフォリオ」です。これは、ポートフォリオをコンピュータ、つまりデジタルデータで扱おうという試みです。保存・蓄積の段階では、成果物の多くがデジタル化されつつあります。整理・分析の段階では、コンピュータによる文章解析や分類、グラフや表などを利用してリアルタイムに臨機応変に可視化しやすくなりました。今後、ポートフォリオがデジタル化されていくものと考えられます。

さらに、学習者がそれぞれにかけた学習時間や、対話した相手、検索履歴、生理情報からの集中度の把握など、あらゆる学習データを対象としようといった試みも始まっており、それらは「教育データの利活用」と言われることもあります。

▼参考資料
デジタル庁ほか(PDF)「教育データ利活用ロードマップ

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