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教職八分目・余白をつくろう! ~続・自分でできるプチ「働き方改革」~

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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

さて、突然ですが問題です。以下の3人のせんせい、教室の児童が不安にならないのは誰でしょうか。

A 80パーセントの力で、計画的に仕事を進め、勤務時間はきっちり働き、病気をしないで仕事を休まない。休日はしっかり自分のために休む。
B 
いつも全力100パーセントで、できるだけ教え子のためにいい授業をしよう、いい学校行事をつくろう、研究授業もがんばろうという人。休日は自身の研究で返上することが多い。
C 
120パーセントの力で、朝から放課後までエネルギッシュに勤務。土日は研究の他、地域社会貢献やスポーツ支援活動などもする。

これは、さまざまな解釈ができますが。わたしは「A」だと思います。
BやC、こういう人は全国的にもたくさんいますし、おそらくほとんどの教員の姿でしょう。誠実な仕事ぶりですばらしいです。でも、体が疲れたということだけでなく、心が疲れたということは日常的そして継続的にあり、これが蓄積してしまうと回復までかなり長期にわたってしまうことがあります。
車などのエンジンの世界では、「パワーバンド」というものがあります。エンジンが回転できる限界、レッドゾーン(100パーセントの回転数)では故障のリスクが高まりますが、その手前の80パーセントくらいの回転数が最もパワーが出るようになっている、という特性です。注目してみたいことです。
では、こういったAタイプの「80パーセントの仕事ぶりの人」とはどういう人なのでしょうか。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

1 教職八分目

小さい子によく「腹八分目にしないさいよ」とアドバイスします。好きなものだと目一杯食べちゃうからですね。わたしのようなメタボ世代、そしてメタボ体型の人間にとっても戒めになる言葉です。満腹でおなかいっぱい食べてしまうと、幸せなときもつかの間…、「おなかいっぱいだ」「食べなきゃ良かった」「苦しい、胃薬ちょうだい」となってしまいます。おいしく食べられる、おいしく感じられるのは「腹八分目」です。しかも、摂取エネルギーが少なくなるので、体脂肪や血糖値、中性脂肪の値も減少し健康が維持できるわけです。

ところで、一日2000キロカロリーを摂取するとなると、腹八分目は1600キロカロリーとなり、400キロカロリーは余白ということになります、栄養学的には、ほぼご飯茶碗で2杯分ということらしいです。飲み会などでは最後に〆のラーメン!といきたいところですが、これではオーバーです。120パーセントになっちゃいます。

さて、教職生活の中で、一日も自分のために年次休暇(年休)をつかったことがないという先輩がいました。病気にもならないし、時間休もとらないし、でも、しっかり定時、あるいは定時ちょっと過ぎに帰宅するという人です。通勤時も身軽で、小さなかばんに自作の教材が入っているであろうUSBメモリ1本と、筆記具くらいしか持ってきません。
疲れたオーラも出さず、手を抜いている様子もなく、「勤務時間は給料分をきちんと働きます!」という、無言の主張が感じられました。
その先輩に仕事への姿勢を尋ねると、やはり「がんばりすぎない。8割できればいいかなと考えている。効率的に仕事を進める」ということでした。
「腹八分目」ならぬ、言わば「教職八分目」とも言えるのではないでしょうか。
一見して割り切っているようにも思えますが、自分の職務と責任に忠実な、ひとつのプロフェッショナルの形を見た気がします。

2 思い切って余白の2割をつくれる人(つくる環境がある人)のコツ 「自分年休」とは…

今から30年程前、定年後すぐ若くして亡くなった女性教員にさまざまなことを教えていただきました。重い職責をもち、毎日精一杯職務と後進の指導にあたっておられました。
彼女は、ある日こんな話をしてくれました。

わたしはね。嫁として、妻として、母として家庭でつとめて、学校ではめいっぱい仕事をして、いっぱいいっぱいになることがあるの。そういう時は、思い切って年休をとって、一日、「わたし」で過ごすの。駅に行ってどこに行こうかなとあれこれ考えてね。電車に乗ってゆったりと風景をみて…。ある町に行って、例えば美術館で絵をみたり、なかなか一人では入れないようなレストランに行ってちょっと高級なおいしいものを食べたり、喫茶店に入ってゆったりとお茶を飲んでケーキを食べたり…。日帰り温泉に行って心の底から癒やされたり…。一日でなくても、半日年休をとって、マッサージをしてもらったりするの。そして、勤務終了時間になって普通に家に帰るのよ。

と、ちょっといたずらっぽい目をしながら。わたしたち若手教員からみれば、120パーセントの仕事ぶりにみえるこの方が、実はいろいろなところで、うまく余裕を作っていたんだと気づかされたのです。おそらく何日も先の仕事まで見据えて、少ない時間のやりくりをしていたのでしょう。

自分のためだけに年休取得をすること、わたしたちは「自分年休」と呼ぶことがありますが、そのはしりともいえます。家庭生活に疲れ、学校の日々の業務に疲れてしまったとき、ふと自由になりたくなる。そんな時「自分年休」をとる。「わたし」だけの「わたしの一日」をつくる…。

3 余白の2割をつくりにくい人のコツ

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