9月の先生のお話|防災教育で学級の“荒れ”を防ぐ

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愛知県公立小学校教諭

八神進祐

9月1日は「防災の日」。自然災害の多い日本において、防災教育は重要な位置づけとなっています。今月は「予防」をキーワードに、学級の“荒れ”を防ぐ指導の一例を紹介します。

執筆/愛知県公立小学校教諭・八神進祐

Point1 災害には天災と人災とがあることを知る

(「防災」と板書する)
「防災(ぼうさい)」と読みます。どのような意味でしょうか。

子供に自由に予想させた後、国語辞典を読んで、意味を確認します。
防災=災害を未然に防ぐこと(出典:「例解国語辞典」小学館)

災害とは、例えば地震です。他には何があるでしょうか。

津波とか火山の噴火とかかな。まだありそう。

子供たちの発言をもとに、洪水、大雪、竜巻などを板書していきます。

これらはすべて「自然災害」または「天災」といいます。地震や津波などを想定して行う避難訓練などは、この天災から身を守るための訓練ですね。
災害にはもう1つ、人が原因で起こる災害があり、それを「人災」といいます。

教室で起こる人災、例えば、「画びょうが落ちていて踏んでしまって怪我をする」など、うっかりミスなどの不注意や思い込みなどから起きてしまいます。
教室ではどんな人災が起きる可能性がありますか。

連絡帳を書き間違えて、忘れ物をしたことがあるなあ。

段ボールカッターを使っているとき、夢中になりすぎて指を傷つけそうになったよ。

鬼ごっこをしていたら石に足が当たって、飛んでいった石が誰かに当たりそうになったことがあるよ。

どうすれば予防することができますか。近くの人と相談してみましょう。

防災と聞くと、子供たちは天災をイメージしがちですが、天災以外にも人災があり、学校は人災が起こりやすい場であることを、防災教育の1つとして指導したいものです。私の学級では、上記の内容だけでなく、

「廊下を走ったらぶつかりそうになった。」
「図書の本が乱雑に返却してあり、嫌な気持ちになった。」

などの経験が挙げられ、学校で決められた≪ルールやマナー≫を守ることの大切さへと話がまとまっていきました。

Point2 言葉の人災について考える

人災を予防する中で、先生が大切にしていることがあります。それは「言葉」です。災害による怪我を予防することが大切なことが分かりましたね。例えば、「言葉の花束」と聞いたらどのようなことがイメージされますか。

嬉しい言葉のことだね。
「ありがとう」とかのことかな。

では、「言葉はナイフ」。どうでしょう。

嫌な言葉や悪口のことかな。

その通りです。実は、言葉は自分の心にも響くもので、嬉しい言葉を使えば心が明るくなり、嫌な言葉を使えば自分の心も暗くなることがあります。
言葉が心を作り、その心が言葉を選ぶものです。怪我だけでなく、友達同士のトラブルも予防していけたらいいですね。

子供たちは、経験を通して「言葉」の影響を知っていくことでしょう。

  • 相手が嫌だと感じるようなことだとしても、思ったことを口にしてしまう
  • 気持ちを表現する語彙が足らず、不適切な言葉を使う
  • 思ってもいないことでも、相手の気を引くために使った言葉が相手をひどく傷つけてしまう

などが考えられます。失敗から学ぶことも多いですが、学級の“荒れ”を防止するという観点から、予防できるものは予防しておきたいものです。人災は、一人ひとりの心がけで未然に防げる場合があることを学ぶチャンスだと考えられます。

長い夏休みで生活リズムが十分に整っていないこともあり、9月は怪我やトラブルの多い月とも言われます。この9月は「防災の心」をもって、より安心・安全な環境を整えていきましょう。

八神進祐先生
八神進祐先生

八神進祐(やがみしんすけ)●1988年、愛知県生まれ。愛知教育大学卒業。教育サークルMOVE代表。子どもたちの“ありのまま”を大切にした教育実践に取り組んでいる。
著書『今すぐ真似したくなる教室のひみつ道具図鑑』、教育論文入賞多数、第5回・第7回「全国授業の鉄人コンクール」優秀賞、フォレスタネットグランプリ初代MVP。
YouTubeでは小学館「みんなの教育技術」より、授業力アップ動画を、Twitterでは「だいじょーぶ先生」(@teacher16694123)としてアイデア溢れる教育実践を発信中。

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