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【ぬまっち流】教師自ら「勝ち」を目指す本気の運動会

2019/7/30

競い合うからには「勝ち」にこだわること。運動が苦手な子供や、争いを避ける子供にも、一生懸命チームで力を合わせて取り組むことの気持ちよさを体験させることは必要です。沼田晶弘先生(ぬまっち先生)が実践する運動会への取り組みを紹介します。

運動会イメージ
撮影/大庭正美

「本気でがんばる」ことを経験させる

運動会は、学校の一大イベント! 僕はまず子供たちにこう明言します。

「『勝っても負けても運動会』というのは俺の中にはない。運動会は競技会だ。だからこのクラスは『勝つこと』を目標にする。今は負けることは考えるな。勝つことだけを考えろ」。

そう伝え、子供たちの「勝ちたい!」という強い気持ちをつくることから始めます。その上で、「勝ちたいなら、本番だけ頑張ってもだめなんだ。勝つための準備が必要だ。準備さえすれば勝つ確率が上がるぞ」と伝えます。さらに勝つための技術を教えて、どうすれば勝てるのか徹底的に話し合わせます。すると子供たちは自ら必死で練習をするようになります。

僕は、運動会は本番だけでなく、目標に向かって時間をかけて努力した過程を含めて、本当に頑張ることの大切さを感じてほしいのです。なぜなら、努力を積み重ねて「勝利」をつかみ取った体験は、子供の自己効力感を高めることにつながると感じているからです。

子供のやる気を引き出す方法
イラスト/明野みる

足の遅い子にも役目があることを伝え戦力へと育てる

そうは言っても、5年生くらいになると、リレーや徒競走の練習をする時、足の遅い子は最初から凹んでいたりします。運動会は足の速い子しか活躍できないと思い込んでいるのです。しかし、足が遅いからといって、落ち込む必要は全くないのです。他のクラスにも、足の遅い子は必ずいます。そこで勝負をすればよいだけなのに、足の遅い子はたいてい足の速い子と自分を比べて劣等感を感じているのです。

だから僕は、「走るのが苦手な人は、苦手な人同士の勝負に勝てばいい。君たちも重要な戦力なんだ」と伝えます。そして、足の速い子の役目と遅い子の役目を教えてあげると、「それなら勝てるかも」と少しずつ前向きになってくれます。

実はクラスが勝つためには、足の遅い子ほど前向きになってもらう必要があるのです。なぜなら足の速い子は今から練習をしても大して速くなりません。しかし足の遅い子は、普段あまり運動をしていないだけなので、少し練習するだけで必ずちょっとは速くなります。そして足の遅い子が全員ちょっとずつ速くなれば、チームとしては格段に戦力アップするわけです。

走るのが苦手な子だって努力すればチームに貢献できる。そう理解させ、できない子ほど期待されるしくみをつくり、努力することに価値づけすることが勝利の鍵なのです。

「本当に努力して掴んだ『勝利』の体験は、頑張る価値に気づかせ、自己効力感を高める」

沼田晶弘先生
沼田晶弘先生 写真/下重修

沼田晶弘:1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学付属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。

『小五教育技術』2018年9月号より

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