新一年生を暇にさせない課題「知っている〇〇の名前」を書こう
入学してすぐ、新一年生には、ちょっとした空き時間が次々と生まれます。特に、身体測定や各種検査には、担任が付き添う必要があり、教室を留守にしがち。そんな空き時間に使える課題のアイディアを、神奈川県三浦市教育委員会教育研究所指導主事(所属は当時)の鈴木夏來さんにうかがいました。
目次
空き時間に使える!課題のアイディア
4月。はじめて一年生を担任した先生は、教室内の子どもたちの「差」が想像以上に大きいことに、愕然とすることでしょう。こちらが1時間でやることを想定して用意したプリントについて、1分も経たずに終えてしまう子もいるからです。
そうした子に対し、次のプリントを与えても、また瞬時にやってしまうだけ。したがって、追加指示の必要がない、半永久的に続く課題を用意することが大切です。そこで有効なのが、「知っている○○の名前」というネタです。
準備するのは、裏紙、白い紙、ノートなど書くものだけです。
指導例
これから、保健室で健康診断があります。終わって教室に戻ってきたら、この白い紙に【知っているやさい】の名前を書いて待ちましょう。いくつ書けるかな?
板書例
しっているやさい
・きゃべつ
・とまと
・きゅうり
・
・
※ 書き方がわかるように、例を数点挙げ、板書しておきます。さらに箇条書きの「・」を下に入れておくとよいでしょう。
ひらがなをまだ習っていないとか、カタカナを使ってもよいのか、などと、あれこれ悩む前にまずは課題を出してみましょう。誤字脱字があろうと、楽しんで書く姿を見られるはずです。
「知っている」が指導のポイント
この取り組みは、「知っている」という「冠」を付けるのがコツです。課題を早く終えるような子は、そもそも知識が豊富であり、何かを「知っている」ことに自信を持っていたり、「知りたい」という欲求を強く持っていたりします。
そこで、「知っている」という言葉を入れ、その子の好奇心や挑戦心を刺激するのです。これで、「やらされ課題」から、「主体的な課題」へと変わります。
実際の指導場面例
各教科においても、たとえば生活科(スタートカリキュラム)で学校探検を行っている場合、知っている「先生の名前」「特別教室の名前」「遊具の名前」等を自由課題のテーマとすると盛り上がります。生き物探しや動植物の観察の授業の場合は、知っている「虫の名前」「花の名前」にすると、学びが深まります。
また、国語と関連して、上位語・下位語の学習にもつながります。設定課題の「やさい」や「むし」は上位語で、具体例の「だいこん」や「カブトムシ」は下位語となります。
「知っている○○の名前」の例
○○にあたる部分は、ほかにも次のようなものが考えられます。
「魚」「鳥」「乗り物」「文房具」「お仕事」「外国」「恐竜」「偉人」「野球選手」「サッカー選手」「お相撲さん」「妖怪」「ポケモン」など。
※ 板書時はひらがな、またはルビ付きのカタカナ・漢字で表記
「○○」を考えさせる
「知っている○○の名前」について、慣れてきたら、「○○」の部分を各自で考えさせても楽しいでしょう。電車や重機について詳しい子もいれば、ペットが好きな子もいます。子どもに提案させることで、子どもの好みや傾向を把握でき、今後の話題や指導に生かすことができます。
『小一教育技術』2017年4月号より