5月の先生のお話|言いつけ合戦への対応

連載
学級経営を支える先生のおはなし|小三

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

学級開きからから早くも1か月。新しい環境にも慣れ、4月に示したルールや、生活の仕方が徐々に定着してきている頃ではないかと思います。このルールの定着に合わせて増加するのが、教師への報告です。

ルールに違反している仲間のことを「Aさんが~をしていません」と訴えにくるのです。教師の言ったことを守ろうとしてくれている、協力的な行動であることには違いないのですが、アプローチの仕方を間違えると、子供同士の関係や雰囲気を悪くしてしまうことがあります。

このような場面での声かけの仕方について、今回は紹介しようと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

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言いつけ合戦や、信頼関係の崩壊につながることも

例えばここで「分かったありがとう。それはいけないね」とBさんからの報告を聞き入れ、Aさんへ「~をしていなかったそうだね」と指導をしたとしましょう。Aさんからしてみたら先生が見ていない状況を指導されるわけですから、Bさんが先生に告げ口をしたということは大方予想がつきます。

そのため、Bさんへの不満がたまり「Bさんはすぐに言いつける」と不満を漏らしたり、逆にBさんの行動をじっくりと観察し、小さな違反を教師に報告したりしてしまう可能性があります。特に後者のような小さな違反を指摘し合う「言いつけ合戦」が始まってしまうと、学級の雰囲気がギスギスし始めてしまいます。

かといってこの教師への報告をないがしろにしてしまうと、ルール違反をきちんと指導してくれないことに対しての不満が募ってしまい、協力的な子供たちとの信頼関係が崩れてしまいます。

このようなケースにはどう対応すればよいでしょうか。掃除をサボっている子がいると怒って報告に来た場面を例に挙げ、考えてみたいと思います。

Point1 絶対に無下に扱わない

先生、〇〇さんは掃除当番なのにやっていません

ありがとう。ルールをみんなで守れるように考えてくれたんだね!

他の子のことも心配してくれて、嬉しいよ。

最初にどんな反応を示すかは非常に重要です。何よりも、報告を無下に扱わないことを意識します。さらに「報告してくれたこと」ではなく、「ルールをみんなで守るように考えたこと」や「他の児童の行動に目を向けたこと」に感謝や喜びを示すようにします。

もしかしたら、ルール違反をしている児童のことが許せずに報告に来たのかもしれません。しかしこの一言によって、児童は自分の行動に違った価値を見出すことができます。

Point2 共感を示しながら仲間への願いにシフトさせる

先生も、みんなで掃除ができるといいなと思っているから、明日見に行くね。

そうだね、〇〇さんも一生懸命掃除をしてくれたら嬉しいよね。わかった、先生も様子を見て話をしてみるよ。

児童への共感を示しながら「ルールを破っている子がいる」という怒りを「みんなで掃除ができるようにしたい」「○○さんが掃除できるようになってほしい」という願いにシフトさせていきます。教師の言葉掛けによって、自分の気持ちや行動を再定義できるようにするのです。

加えて、先生も様子を見るということを約束し、状況を把握する猶予をつくります。もしかしたら、この掃除をサボってしまっている児童にも何かしら理由があるのかもしれませんし、指導の仕方に工夫が必要な場合もあります。その考える時間を、この約束によって確保するのです。

Point3 仲間の成長をともに喜ぶ

うまくいけば、この掃除をさぼっていた児童に改善が見られるかもしれません。そうした時には、

〇〇さん、今日すごい掃除を頑張っていたよ。△△さんが心配してくれたからだね。

と、報告に来てくれていた児童にぜひとも伝えたいところです。こうした言葉掛けによって、仲間の成長を喜ぶことのできる気持ちを育むことができます。

小さな言葉の違いですが、違反に対して教師がどんな姿勢を見せるかによって、クラスの子どもたちの考え方も変わってきます。教師が違反した子供たちを頭ごなしに罰そうとすると、教室には排除の空気が漂うようになります。もちろん、ルール違反を見過ごしていいわけではありません。

しかし、みんなで厳しく見張り合うことが重要だとは思いません。ルールはみんなのことを思う温かな気持ちの上に成り立ちます。小さな言葉掛けに気をつけながら、子供たちの他者を見る目や、仲間の成長を願う心を育てていきたいと思います。

佐橋慶彦先生プロフィール画像

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会、教育サークル「せあいと」所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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