「キレる」をスキルに!?戦略的活用でコミュニケーションに活かそう!

「キレる」という感情は、人間にそもそも備わっているものーーそう語るのは『「キレる!」脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』の著者である脳科学者の中野信子さん。「キレる」という感情をネガティブに捉えず、むしろコミュニケーション術として活かしていく。そんな驚きの感情活用術についてお話をお聞きすることができたのでご紹介します。

目次
「キレる」ことは自分を守ること
―中野先生の新書「キレる」の内容について教えてください。
中野 本書では、「キレる」という感情について、「なくすべきもの」とネガティブに捉えず、脳科学的に分析しながら具体的な対処法・活用法を考察しました。
怒りの感情は、ヒトであれば、誰でも感じる自然な感情です。しかし、怒りを感じたにも関わらず、自分が我慢することによって、すべて丸く収まると信じている人が多いのではないでしょうか?
もしも相手に悪意がある場合には、「我慢する」という善意を都合のよいように利用されてしまう場合もあります。ときには、「あなたの言っていることはおかしい」「私は怒っています」ということを表現し、キレて、抵抗する必要もあるのです。
本書では、なぜ人はキレるのか、その仕組みを科学的に分析するため、さまざまな怒りの現象を取り上げ、それぞれ脳ではどのようなことが起こっているのか、怒りのメカニズムを解説しました。さらに、「キレる他人」「キレる自分」と上手に付き合うための対処法をケース別に提案しました。最後に、自分の心を守りつつ、相手に一目置かれるようなコミュニケーション術として、「戦略的にキレる」方法を紹介しています。
キレるスキルは子どもも学ぶ機会が必要
―学校では「キレる」というと、ネガティブに捉えられがちです。
中野 先生方の中にはキレやすい子どもに手を焼いている方も多いでしょう。しかし、友達からからかわれたときに言い返せなかったことが原因でいじめられてしまったり、友達とぶつかり合うことを恐れて、自分の気持ちを表現できない子がいたりすることにも目を向けていただきたい。
学校では「すぐに怒ってはいけない」と教えられるイメージがあります。でも、相手の攻撃に対し言葉を使って、どう抵抗するのかということを学ぶチャンスが少なすぎることも問題なのではないでしょうか? 私たちは学校で日本語を学びますが、対人関係の会話の中で使う日本語をきちんと学んでこなかったように思います。
それぞれの意見をぶつけ合いながら、お互いの落としどころを見つける、もしくは軽くキレて相手との距離を保つといったコミュニケーション・スキルは、社会に出ると非常に重要になります。