一学期後半のあるあるトラブル対応術・一年生編
一学期後半に入るこの時期、一年生の学級で起きがちなトラブル例を挙げ、 その対処法についてアドバイスします。
文・ 東京都江戸川区立大杉小学校教諭 佐々木陽子
目次
CASE 1 学習中に勝手に水分補給をしている
→水筒は保管場所を決めて、 飲む時間を決めておく
暑くなってくると、熱中症対策のために水分補給が大切になります。学校でも水筒を持参することを許可し、こまめに水分を摂取するように促していきます。しかし、学習中に勝手に水分補給をしたり、水筒の水を飲み歩きながら活動したりと、ルールやマナーが乱れてくることもあります。
意識して水分を補給してくれるのはよいのですが、学習中や掃除中など自分勝手に水分を補給するのは、周囲にとっても学習や活動の妨げになります。持参した水筒は、座席の周りに置かずに、ロッカーや用意した箱の中など保管場所を決めておき、補給も休み時間や担任の指示があった時などルールを決めましょう。
CASE 2 休み時間に水遊びをしてずぶ濡れになる
→事前にルールを徹底確認、 勝手に水遊びをすると困ることを話しておく。
元気いっぱいの外遊びはよいことですが、休み時間は水分の補給以外で水道水を使用したり、池の中に入ったりするなどの遊びはやってはいけないことを指導します。
暑い日などの朝には、先手を打って注意を促しておくとよいでしょう。また、濡れた後の着替えがないこと、そのままだと体が冷えて風邪をひいてしまったり、体調が悪くなったりしてしまうことを話しておきましょう。
CASE 3 暑さとダルさで学習に集中できない
→みんなで楽しく夏休みのイベントの話合いをさせる。
夏休みにイベントを予定している人もしていない人も一緒に、クラスの全員で話し合うことで、教室の雰囲気がパッと明るくなります。
・夏祭り
・花火大会
・キャンプ
・バーベキュー
・海水浴
・旅行
など国語や算数や生活等の学習も夏休みに関連する内容で進めていくと、やる気が出ます。平仮名の練習で「そうめん」や「あいすくりーむ」「すいか」など、 夏の食べ物の字と絵をノートに描いて練習するだけでも楽しく学習できます。
CASE 4 プールが嫌で不登校になる
→担任のそばで一緒に水遊びをしながら水に慣れさせる。
じつはお風呂のお湯にさえ顔をつけることができない、以前にプールや海や川で溺れた経験がある、今までプールに入ったことがないなどの理由から、プールが始まると登校ができなくなる子がいます。体育の学習で水遊びをすることに大喜びの子もいれば、愕然とする子もいるのです。
事前に親から連絡や相談されることもしばしばありますよね。そういう子には、親代わりである担任のそばで水に慣れさせることが大事です。 「先生と一緒だからね」と安心する声かけをしながら、少しずつ水に慣れさせていきます。泳げる子たちと同じ活動を強要せず、少し水に慣れたら プールサイドで休憩させながら学習を進めます。
CASE 5 水着の下にパンツを履いたままプールに入る
→確認タイムを設定して、一人一人準備ができているかを確認させる。
何度注意しても、水着の下にパンツを履いたままプールに入ってしまう子が毎年います。黒板にもデカデカと「水着を着る時には、パンツを脱ぎましょう」と書いたり、声かけをしたりしているのにもかかわらず、やってしまうのです。
着替えをしている時は、水着を着ることに集中しているので、下着を脱ぐことに意識が向きません。クラス全員が着替えて整列したら、一人一人に確認をさせましょう。
この確認タイムをとることが大事です。「帽子はかぶりましたか?」「タオルは持ちましたか?」「パンツは脱ぎましたか?」 と、着替え+確認タイムでプール前の準備をしっかり行いましょう。
CASE 6 平仮名は書けるが書き順が定着しない
→体全体を使って書き順を覚えさせる。
夏休み前までに平仮名五十音の学習を終えます。平仮名を読めるようになったり、 書けるようになったりしますが、気になることもあります。なかなか書き順が定着しないのです。中には、打ち上げ花火のように下から字を書き始める子もいます。
一学期中は毎日一文字ずつ平仮名を習得していきます。空書きから始まり、文字を指でなぞり、ノートに何度も書いて練習をしていきます。ただし、一年生はノートに書くことが苦手な子も多いものです。平仮名を練習する時には、椅子から立って、腕を伸ばし、ラジオ体操のように体全体を使って書き順を覚えるようにすると、楽しく覚えることができます。
CASE 7 初めて渡す通知表のことが理解できない
→頑張ったことをほめた後「花丸100点満点!」と言って渡す。
一年生にとって初めての通知表をもらう時期がやってきました。基本はクラス全員をほめます。しかし、説明してもいまいちピンとこないのが現状です。通知表を渡されて中身を読んでも無反応だったりします。
学習のプリントやテストで花丸100点をとった時には、嬉しくて友達に自慢したり、大喜びで踊ったりするのですが、通知表の中身を理解することは、一年生には難しいのかもしれません。
そこで、渡す時に、一学期によく頑張ったところやこれからも頑張ってほしいところを話したあとで、最後に「花丸100点満点です」と一言添えるだけで、自分の頑張りを認識できるようになります。
佐々木陽子(ささき・ようこ) 島根県松江市生まれ。子どもが主体的に動く声かけや学級経営にこだわり、独自のアイディアを多く持つ。 著書に『クラスがまとまる 小学生一年生 学級づくりのコツ』(ナツメ社)など。
『教育技術 小一小二』2019年7/8月号より