学級担任の時短術⑪「年度末の繁忙期を万全の対策で乗り切ろう」
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仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について、毎月22日公開、全12回で連載していきます。第11回は、年度末の繁忙期を乗り切るための準備や、たまった仕事の処理方法について紹介します。
執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真
目次
年度末の繁忙期を乗り切る3つの技
学校は一年中忙しいとはいえ、やはり年度末の忙しさはかなりのものです。少しでも、ゆとりのある年度末にするためには、効率的かつ計画的に仕事を処理していく必要があります。そこで今回では、年度末に向けての準備や、たまった仕事の効率的な処理方法などについて述べていきます。
①思い付く限りの仕事をリストアップする
やり残している仕事、年度末までに仕上げなければならない仕事など、思い付く限りのことをリストアップします。その際、漏れ落ちがないように、同学年の先生や昨年の担当にも聞いてみるとよいでしょう。
リストアップする際には、子供にやらせることと、自分がやることに分けて書き出します。例えば、子供にやらせることであれば、ドリルを仕上げる、テストを終わらせる、荷物を持ち帰る、ふり返りの作文を書くなど、すべてをリスト化し、いつまでに終わらせるのかも書き込みます。そのリストは2部用意し、職員室と教室の目に入りやすい場所に貼っておきます。あとは、定期的に進捗状況を確認します。
自分でやることには、指導要録、学級編成資料、通知表、学級経営案、引き継ぎ資料の作成などが挙げられます。ただし、これでは具体的にどんな仕事があるのかが分かりません。そこで、指導要録ならば、出欠、指導の記録、評価、所見など仕事を細分化していき、併せてそれぞれの締め切り日を設定します。
さて、通常であれば、リストアップした事項は優先順位を決めて、重要なものから処理していきます。
ですが、年度末は発想を変えましょう。ここでリストアップしたものは、いずれにせよ3月末までには仕上げなければならないものです。残された時間ですべて仕上げるとしたら、重要なものから行うことにあまり意味はないのです。
むしろ、「重要なもの=気の重い仕事」ということが多いのではないでしょうか。そのため、いつまでもリストアップした仕事に手を付けられないということになってしまいがちです。
そこで、この時期に特におすすめなのは……
「やりたい仕事、やる気になる仕事から手を付ける」ことです。
短時間で全部やらねばならないのですから、手当たり次第でよいのです。後でも触れますが、とにかく取りかかる。それが次のやる気を生みます。
②5分だけでがんばってみる
いつでも「よし、がんばろう」と、すぐに仕事に取りかかれるわけではありません。なんだかやる気が出ない、というときはありませんか。
私は学生時代にすぐに勉強に取りかからずに、本を読んだり、外を眺めたりして時間を無駄にしてばかりいました。そんなときに「とにかく5分だけやる」という勉強法を何かの本で読みました。特に、これならそんなに苦しくないという作業から行うとよいとありました。
例えば、数学の難問ではやる気が出ませんが、国語の文章を音読する程度ならさほど苦もなくできました。そこで5分間だけ音読をする。すると、他の勉強もやる気が出てくるものです。
実は先ほど述べた、やりたい仕事から始めるというのは、この効果を狙っています。まずはやりたい仕事に取りかかる。そして仕事モードになったら、気の進まないことにも手を付けるようにするのです。
ただし、やりたいことをすべて終えてしまった。そもそも、全部やりたくないという場合もあるでしょう。そんなときは、体を使うか、単純作業を行うようにしましょう。
例えば、机周りの整理整頓や文房具をそろえる、ワープロソフトで罫線枠だけつくる、単純な採点作業を行うなどがおすすめです。
③ノルマを達成したら小さなごほうびを用意する
こうしてやっと作業に取りかかっても、残念ながら人間の集中力はそれほど長くは続きません。そこである程度ノルマをこなしたら、自分への小さなごほうびを用意しましょう。
例えば、指導要録の所見欄を5人分終えたらコーヒーを1杯飲む。テストの採点をクラス分終えたら、チョコレートを食べるなどです。そのごほうびに向けてがんばろうとモチベーションを上げ、集中力を高めるのです。
ごほうびのタイミングは、30分に一度くらいがよいでしょうか。あまり頻繁だとせっかく乗ってきた仕事を中断することになりますし、逆に長すぎると集中力が落ちていきます。自分が最大限の集中力を発揮できる限度というものを考えながら、適度な時間を見付けていきましょう。
また、ある程度のまとまった仕事を終えた後のごほうびも設定しておくと、さらにやる気が高まり、集中して仕事に取り組めるでしょう。
このごほうびも、さほど高価なものである必要はありません。私の場合は、この原稿を仕上げたらラーメンを食べることにしています。アイデアが行き詰まり苦しいときは、「これが完成したら、あの店で○○ラーメンを食べよう」と具体的に想像して、やる気を高めています。
イラスト/バーヴ岩下
『教育技術 小一小二』2021年2月号より