学級担任の時短術③「個人カルテをつくろう」

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小学校教員の「学校における働き方改革」特集!

働き方改革は、現在の学校の重要テーマです。仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について、毎月22日公開、全12回で連載していきます。第3回のテーマは、「個人カルテをつくろう」です。

執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真

安定的な学級経営が、結果として時短につながる

今行っている仕事を短時間で終わらせるだけでなく、余計な仕事を発生させないということもまた重要です。では、最もイレギュラーな時間が加算されるのは、どんな場合でしょう。

なんといっても、「子供同士のトラブル」や「保護者対応」ではないでしょうか。ですから、「安定的な学級経営」ができていれば、さまざまなことが予定通りに進められ、結果としてはそれが「時短」につながるわけです。

では、安定的な学級経営の柱はなんでしょうか。ずばり言えば、それは「子供理解」です。

一人一人の子供をしっかりと見とり、それぞれの子に応じた対応をしていくこと。それにより、子供たちの成長をサポートし、トラブルを未然に防ぐことができます。

前回(第1回の連載)でも述べましたが、「時短のための時短」ではなく、よりよい教育の結果が時短につながるようにすることが大切です。とはいえ、「一人一人を大切に」という美辞麗句は学校現場でよく主張されますが、実際には口で言うほど簡単ではありません。

子供理解のために個人カルテをつくろう

せめて、子供一人一人の「個人カルテ」をつくって、その子の状況を記録することから始めましょう。

カルテを作成しない医者はいませんよね。カルテに何も書かない医者がいたら不安になりませんか。教師にもカルテは必要だと思うのです。

カルテは、安定的な学級経営だけでなく、「通知表の所見」や「個人面談の資料」としても活用できます。カルテを見れば、所見文に悩む時間が大幅にカットできます。またカルテづくりを通して、子供を見とる力が向上するなど、教師としての力量アップにもつながります。まさに一石二鳥、三鳥になります。

では、以下、私の行ってきたカルテづくりを説明します。

まずは、専用のルーズリーフを作成します。ノートよりも、ルーズリーフのほうが後で付け足していけるので便利です。すぐにその子のページが開けるように、インデックスを付けておきます。

次に記録のしかたです。時間があれば、できるだけ文章で書くようにします。単語だけだと後で思い出せないことがあるからです。

例えば、「音読よい」と書いたとします。このような記述だと、「すらすら音読できた」のか、「適切な声の大きさだった」のか、「気持ちを込めて読んでいた」のかが分かりません。

○気持ちを込め、適切な声の大きさで音読できた。

このように書いてあれば、通知表の所見文としてもそのまま活用でき、時短につながります。

もちろん、よく記述する内容ならば、あらかじめ省略方法を決めておいてもよいでしょう。以下、私が使っていたものの一例です。

○すらすら音読できる → 音読すら
○気持ちを込めて音読できる → 音読キ

こうした省略語を使用する場合、どう省略したのか分かるように、トップページに一覧を作成します。

では、実際にはどのような場面で記録していくとよいのでしょうか。

①毎日決まった時間に記憶する

記録するというのは、なかなか面倒な作業です。面倒なことを続けるには、「習慣化」するしかありません。習慣化するには、内容にこだわらず、とにかく短時間でよいので、毎日取り組むようにするのがコツです。そのうち、記録することが当たり前になります。

また、記録するのは、できるだけ同じ時間にしたほうが習慣化しやすくなります。

ルーズリーフへの個人カルテの記入例。

一番のおすすめは、子供たちが帰ったらすぐに書くことです。今日一日をふり返って、子供の様子を思い浮かべ、がんばっていたことや気になったことを書いていきます。全員のことを記述しようとすると、それが負担になって続きません。たとえ一人のことしか書けなくても、毎日思い出して書くようにします。

②子供が活動しているときに記録する

例えば、授業で子供が順番に音読しているときに記録をします。とはいえ、ノートに全員のことを記述していくことは難しいので、ひとまず名簿に記号で記録し、特に気になった子のみ後でノートに転記します。

班で話し合うなどの活動をしているときは、教室内を巡視しながら、気付きをメモ帳(もしくは大きめの付箋など)に記録しておきます。

グループの話合い活動中に、さりげなくメモを取る教師。

全校集会や行事などの際にも、メモ帳を持っていき、記録します。休み時間の様子も、同様にメモします。

メモしていると、何を書いているのかと子供が気にすることがあるので、「みんなのよいところを忘れないように書いている」と説明しておきます。

これらのメモは週末にまとめて、ノートに貼っていきます。その際、記述の少ない子はいないかチェックします。記述が少ない子のことは見えていないからです。そういう見逃しがちな子にも、しっかりと目を向けるようにします。

二宮尊徳の言葉に「積小為大せきしょういだい」というものがあります。小さなことが積み重なって大きなことになるという意味です。今回述べたこまめな 記録は小さなことの積み重ねです。面倒なことですが、この小さな積み重ねがやがて大きな成果へとつながり、結局は時短にもつながります。

ぜひ、子供たち一人一人のことをよく見とり、充実したカルテをつくりましょう。

イラスト/バーヴ岩下

『教育技術 小一小二』2020年6月号より

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