学級担任の時短術⑩「使える時間を増やす4つの技」
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仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について、毎月22日公開、全12回で連載していきます。第10回のテーマは、「使える時間を増やす4つの技」です。
執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真
目次
①複数の仕事を同時に行う
時間は誰にでも平等です。1日は、どんな人にも24時間しかありません。そこで時短術としては、いかに効率的に仕事を行うかが大切になります。これまでの連載で述べてきたことも、そうした考えがベースになっています。
今回は、少し別の角度から時短術を考えてみましょう。それは「時間を増やす」ということです。先に述べたように、1日は誰にも平等に24時間しかありません。それを増やすとはどういうことでしょうか。
ある仕事をやりながら、もう1つの仕事を行えば、実質的にその仕事はほとんど時間をかけずに達成したことになります。
例えば、職員会議で翌月の行事予定が示されたら、その場で手帳に予定を書き込んでしまいます。
また、議題として六年生を送る会があれば、提案を聞きながら、週指導計画に練習計画、目的、注意事項などを記入してしまいます。実際に六年生を送る会を実施する際にも、週指導計画を持っていき、その場で気付いたことや反省を書きます。
このように、複数の仕事を同時に行うことを増やすと、結果的に時間が増えたことになるのです。
②道具で時間を買う
学校での時短ではありませんが、掃除ロボットを使えば、掃除の時間はゼロになります。つまり、道具を買うことで時間を生み出すという発想です。
では、学校ではどんな道具を導入できるでしょうか。例えば、針のいらないホチキスを使えば、針を挿入する時間が不要です。消せるボールペンなら、修正液を使う時間が削れます。
また、同じものを余分に用意しておくという方法も有効です。例えば、いつも使う赤ペンが1本しかなければ、それが見付からないときや、インクが切れたときなどに作業を進めることができません。しかし、あらかじめ複数本用意しておけば、せっかくやる気になったのに、代わりのペンを探すことで気持ちが途切れることもありません。
日頃から整理整頓が行き届いている人は大丈夫でしょうが、少し不安があるという場合は、特に消耗品はまとめ買いをしておきましょう。
③人に任せる(チームで対応する)
担任の場合、すべての仕事を自分一人で背負いがちです。ですが、もっと分担して物事に当たるようにしてはどうでしょうか。
例えば、算数のプリントは自分が作り、国語のプリントは隣の学級の先生に作ってもらう。
そのときのポイントは、「任せたなら、多少の考えの違いには目をつぶる」ことです。
このことが案外できていない人が多いように感じます。すべてに百点の対応はできませんし、自分のほうが正しいとも限りません。そう思って、もっとチームで対応すべきです。人に任せることができれば、その分の時間が浮くのです。
子供にだって、いろいろなことを任せればよいのです。掲示の手伝い、帰りの会での机の整理整頓、プリントの配付など、どんどん任せてしまいましょう。もちろん、はじめはうまくいかずに、かえって時間がかかることもあるでしょうが、軌道に乗れば時間の節約になるだけでなく、子供の成長の機会にもなります。
④隙間時間を賢く活用する
一見存在しないような「隙間時間」を見付けることでも、時間を増やすことができます。隙間時間として、最も活用しやすいのは、休み時間です。しかし、実際には、担任は休み時間も子供の対応で忙しいでしょう。それでも、見付けようと思えば、少しの時間は生み出せるものです。
例えば、業間休みが長めにあるなら、そこで5分は確保できないでしょうか。昼休みはどうでしょうか。子供と遊ぶ方も多いでしょうが、そこでも5分程度は生み出せるのではないかと思います。また、子供たちが帰ってから学年会などが始まるまでの時間や、会議が始まる前の待ち時間はどうでしょうか。
このように3〜5分の時間を集めると、1日で20分くらいは確保できるはずです。1日20分なら、5日間では100分です。100分というと、結構な仕事ができると思いませんか。
3分などの細切れでは、たいしたことはできないと思っているかもしれません。しかし、3分というのは実はひと仕事できる時間なのです。そこで、試しに3分で何ができるか計っておくとよいでしょう。おそらく、週指導計画の1日分くらいは書けるでしょう。また、テストの採点だって数人分はできるはずです。
その他、機会を逃さないように、次のような準備をしておくこともおすすめです。
〇週指導計画を常に持ち歩き、隙間時間があったら記録する。
〇いつでもメモ帳を持ち歩き、子供の様子、気付いたことをその場で記入する。
〇隙間時間でできる仕事(プリントの採点など)を朝のうちに机上にセットしておく。
イラスト/バーヴ岩下
『教育技術 小一小二』2021年1月号より