学級担任の時短術⑥「1日の時間を最大限に有効活用しよう」
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仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について、毎月22日公開、全12回で連載していきます。第6回のテーマは、「1日の時間を最大限に有効活用するためのコツ」です。
執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真
目次
1日の生活をチェックしよう
二学期はもっとも長い学期であり、さまざまな行事を予定している学校も多いことでしょう。そうした忙しい時期だからこそ、今まで以上に効率的に仕事を行う必要があります。そこで今回は、1日の時間を最大限に有効活用するためのコツをお伝えします。
1日の予定を立て、それに従って仕事を進める。これは、時短に欠かせないスケジュール管理です。ですが、予定を立てる段階での見積もりは曖昧になりがちです。なぜなら、一つの仕事にどのくらいの時間がかかるのか、把握せずに計画していることが多いからです。
また、隙間時間がどこに生じるのか、意識していない場合も多いことでしょう。
そこで、次の二つのことを行います。
①1日の生活をふり返る
②一つ一つの仕事にかかる時間を計る
①1日の生活をふり返る
まずは、1日のスケジュールを立てて、手帳やノートなどにそのスケジュールを記してから仕事をします。
そして、1日の仕事が終わったら、実際にはどうだったのか赤ペンで修正していくのです。その際、隙間時間がどこにどれくらいできたか、突発的な仕事が入り予定通りにいかなかったこと、同僚と長話をしてしまい仕事ができなかったことなどを、どんどん書き込んでいきます。
こうしたことを1週間続けると、予定通りにいかない理由や、そもそも予定の立て方に問題があることなどが見えてきます。
②一つ一つの仕事にかかる時間を計る
家計を例に考えてみましょう。電気代や食費などを把握せずに、いわゆるどんぶり勘定で家計のやりくりをしていては、お金を貯めることはできません。正確に支出額を把握し、無駄を切り詰めてこそ、貯金額を増やすことができるのです。
時間も同じです。いえ、むしろ時間のほうがシビアです。お金は後で稼ぐことができますが、時間は二度と返ってきません。それなのに時間の使い方に無頓着だったり、あるだけ全部使ってしまったりする人がいます。それでは、時間の節約などできるわけがないのです。
みなさんは、テストの採点にどのくらいの時間がかかりますか? ドリルやノートチェックの時間は、どうでしょうか。
時間を計ることで、予定通りに物事を進められるようになり、さらに短い時間で行おうという意識をもつこともできます。また、このような取り組みを仲間と行えば、他人との比較ができ、自分のやり方の改善につながります。
ただし、時間を削ることばかりが目的化しないよう注意も必要です。
採点時間の短縮のため、テストには○を付けず、×だけしか書かないという実践を目にしたことがあります。計算50問テストのような、練習を兼ねたプリントの採点ならば、それもよいでしょう。
ですが、保護者から集金しているワークテストではどうでしょうか。私が親なら、間違いなくその教師に不信感をもちます。さらに言えば、なんのためにテストをしているのか、という問題もあります。
採点結果を次の指導に生かすためには、当然ながらある程度の時間をかける必要があります。時短をめざしつつも、教育の質という根本的な部分への目配りを忘れてはいけません。
「一人がんばるタイム」をつくろう
私が勤務していた学校はどこも、放課後の職員室はとても賑やかでした。当日あった出来事、これからのことを学年で相談したり、そこから話が教育に関するあれこれに発展したり、みんなが楽しく話をしていました。教育とは関係ない雑談になることもありますが、そうした時間もストレス解消につながるので、ときには必要でしょう。
問題は、それがいつまでも続く場合です。集中したいのに、話しかけられれば手を止めることになります。
吉越浩一郎氏は、トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長時代、「がんばるタイム」というものを設定したと言います。その時間は、社員同士の会話、立ち歩きは禁止。電話も取り次がず、ひたすら黙々と仕事に取り組んだそうです。
これをそのまま、学校に持ち込むことは難しくても、「一人がんばるタイム」なら可能でしょう。
例えば、放課後の1時間は教室にこもり、集中して仕事に取り組みます。お茶も飲まず、スマートフォンも持ち込みません。自分の最大限の集中力を発揮するのです。ただし、教室にこもっていても、学年主任が相談にやって来たり、保護者からの問い合わせに対応したりしなければならないこともあるでしょう。そのため、「一人がんばるタイム」に取り組みたいということを同僚に話し、理解を得る必要があります。
また、放課後に自由な時間がないという学校もあると思います。その場合は、時間外となってしまいますが、30分だけと決めて、「一人がんばるタイム」に挑戦してみてはいかがでしょうか。早起きが得意ならば、少しだけ早く学校に行って、早朝に実践するのもおすすめです。早朝なら電話対応もほとんどないので、より集中できるはずです。
イラスト/バーヴ岩下
『教育技術 小一小二』2020年9月号より