#31 これであの子たちも、もう諦めるわよ【連続小説 ロベルト先生!】

連載
ある六年生学級の1年を描く連続小説「ロベルト先生 すべてはつながっています!」

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

今回は芸術祭の映画の台本より、教室での転入生紹介のシーンから休み時間、縄跳び練習のシーンまで。未来から来た3人がいろいろないたずらを仕掛けます。

第31話 教室2 転入生紹介(芸術祭)

転入生3人

女の子3「ねえねえ、知ってる? このクラスに転入生が来るんだって。」

女の子4「えーっ、本当。男の子それとも女の子?」

女の子3「女の子だって。」

女の子5「やったー。私一番に友達になろーっと。」

女の子3「それだけで喜ぶのは早いよ。なんと、3人も来るんだって。しかも、ぜーんぶ 女の子。」

女の子4「うわーっ。そんなのってあるの? 私初めて。」

女の子3「私も楽しみにしてるんだ。」

(そこへ、ロベルト先生が教室に入ってくる。みんなは自分の席に着く)

先生「みんなももう知っているかもしれないが、今日からこのクラスに転入生が来た。さあ、入りなさい。

紹介する。こちらが立花マミさん。そして、こちらが立花メイさん。そして、こちらが立花モモさんだ。」

男の子「おっ! だいすけと同じ名字じゃん。」

先生「これでうちのクラスに立花は4人になったな。そうそう、顔は似ていないようだが3つ子の姉妹だそうだ。みんな仲良くな。」

みんな「はーい。」

(3人をそれぞれ空いている席に案内するクラスメイト)

【教室3 休み時間のいたずら】

ゴースト3「うまくいったわね。」

ゴースト1「しーっ! 私たちが未来から来たってことは、絶対に内緒よ。それがばれたら、私たちはもとの時代にもどれなくなっちゃうんだから。」

ゴースト3「わかった、わかった。それよりも、さっそくいたずらしましょうよ。」

ゴースト2「じゃあ見てて。私からいくわよ。パックンチョースケ!」

ガリ勉太郎「うわぁー。(持っていた鉛筆が突然埴輪に変わり、驚く太郎)」

男の子「どうした太郎? おまえ、何で勉強するのに埴輪なんか持っているんだ?」

(不思議がる太郎)

ゴースト2「うまくいったわ。」

ゴースト3「じゃあ私も。」

まさお「(授業中、紙飛行機を折って飛ばす)」

ゴースト3「パックンチョースケ!」

(紙飛行機が巨大化して、人に向かって墜落する)

先生「誰だ! こんなでかい紙飛行機を飛ばして遊んでいるやつは!」

(驚くまさお)

ゴースト2「はっはっはっ。面白くなってきたぞ。」

【校庭2 縄跳び練習のいたずら】

(校庭でみんなは長縄跳びの練習をしている)

ゴースト1「さて、最後は私の番よ。縄跳びのキャプテン、あきらを転ばせてやる。」

女の子6「ねえ、私に縄を回させて。」

ゴースト1「いいよ。」

(ニヤリと笑いをかみしめる)

ゴースト1「(キャプテンのあきらが跳ぶ時に)パックンチョースケ!」

(あきらが転ぶ)

ゴースト3「やったー。」

あきら「痛ーいっ!」

あやか「あきらくん、だいじょうぶ?」

(うずくまるあきらをみんなで囲む)

女の子6「きゃー大変、足が変なふうに曲がっちゃってる。」

女の子7「先生を呼んで来なきゃ。」

こうへい「それよりも、みんなで保健室に運ぼう。」

(保健室に運ばれていくあきらを見ながら)

ゴースト3「ちょっとやりすぎちゃったかなあ。どうしよう。」

ゴースト2「心配することないよ。」

ゴースト1「これであの子たちも、もう諦めるわよ。」

次回へ続く


執筆/浅見哲也(文科省教科調査官)、画/小野理奈


浅見哲也先生

浅見哲也●あさみ・てつや 文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官。1967年埼玉県生まれ。1990年より教諭、指導主事、教頭、校長、園長を務め、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追求中。

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