小4理科「ものの温度と体積」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・佐久間聡子
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、埼玉県公立小学校校長・引間和彦
目次
単元のねらい
体積の変化に着目して、温度の変化と関係付けて、金属、水及び空気の性質を調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に既習の内容や生活経験を基に、根拠のある予想や仮説を発想する力や主体的に問題を解決しようとする態度を育成する。
単元の流れ(三次 総時数11時間)
一次 空気の体積と温度(3時間)
① 湯の中に入れたペットボトルの栓が飛び出すのはどうして?
②③ 空気は温めたり冷やしたりすると体積が変化するの?
問題解決の力を育成するために…
本単元は、空気の体積変化に興味をもち、問題解決を行った後、水、金属について、同様に実験を行うことでそれぞれの性質について調べていきます。これまでの学習を基に、実験方法を考えたり、実験結果から体積の変化と温度の変化とを関係付けて考えたりすることで、問題解決の力を育成できるようにします。
二次 水の体積と温度(4時間)
①② 水は温めたり冷やしたりすると体積が変化するの?
③ 水の体積のわずかな変化を調べるにはどうしたらよいだろう?
④ 温度計を作ってみよう!
三次 金属の体積と温度(4時間)
①② 金属は温めたり冷やしたりすると、体積が変化するの?
③ 金属の体積のわずかな変化を調べるにはどうしたらよいだろう?
④ 学習したことが生活のなかで生かされている場面を探してみよう。
単元の導入
自然事象の提示で、子供の予想を引き出しましょう!
このペットボトルをお湯に入れたらどうなるかな?

どうして栓が飛び出したのだろう?
周りのお湯がペットボトルを押したのかな? ガラスの瓶だったらどうなるかな?
空気が温められて上に行こうとしたのではないかな?
ペットボトルの口を下向きにしたらどうなるかな?
空気の体積が増えて、栓を押しているのでは?
活動アイデア
単元の導入で見いだした問題を追究するなかで、空気の体積変化について理解した後、水と金属はどのような性質があるのか考えることへつなげます。子供は空気について調べた際の問題解決の過程を想起しながら予想や計画を立てますが、体積変化が小さくなると空気のときと同じ方法では思うような結果を得ることができません。そのなかで、よりよい解決方法を考える活動を通して、資質・能力の育成をめざしましょう。
授業の展開例(二次 第3時)
【問題】 水の体積は温めるとどうなるだろうか。

前回の実験をふり返ってみましょう。
空気のときと同じように体積が増えると思ったのに、あまりよく分かりませんでした。
【予想の再確認】
水は体積があまり変わらないのでは?
私は、水も体積が増えると思うな。前回の実験でも、少しは変わっていたように思う。水の体積の変化はとても小さいのでは?
【解決方法の立案】
水の体積のわずかな変化を調べるにはどうしたらよいでしょう?
もし、変化が小さかったとしたら、どうすれば変化がよく分かるようになるんだろう?
試験管よりもっと細い管を使ったらどうかな?
【考察】
細い管を使ったら、水面が上がったよ。体積は増えているね。
今度は、どの班も水面が上がっていたから、体積が増えたと言っていいね。
空気と比べると体積の変化の大きさが違うみたいだね。
ガラス管を使って、空気の体積変化も調べ、水の体積変化と比べて違いを確かめてみましょう!
⇒ 今回学習したことを生かして、温度計を作ってみます。
指導のポイント
解決方法を立案し直した後、実験を行う際は、空気のときと比較できるようにすることで、空気と水の体積変化の大きさの違いに子供が気付くことができるようにしましょう。

空気での実験は、ガラス管にゼリーを入れると、体積が大きくなる様子が分かりやすく、水の場合と比較しやすい。体積変化を実験で確かめると、違いが分かりやすい。
記録用紙は比較しやすいものに
結果を並べて黒板などに掲示することで、ほかの班の実験結果が比較しやすくなります。科学的に解決する、という視点からも、結果にずれがあった場合は、どうしてそうなったのか考えることが大切です。

イラスト/たなかあさこ、横井智美
『教育技術 小三小四』2020年12月号より