【女性教師座談会】持続可能な教師の働き方って?

特集
女性教師へエールを!

教師を長く続ける上で、心身ともに元気でいるために、心がけていることとは? 仕事に子育て、大忙しでもフルスロットルで楽しんでいる3人の女性教師に、仕事とプライベートのバランス、外的要因に左右されずに自信の土台を作るコツなどについて、教えていただきました。

<座談会メンバー>
都内の小学校で一緒に働いて以来、10年以上の友達である3人の女性教師。独身時代からいろいろな悩みを相談し合ってきた仲。

小田友美先生

小田友美
東京都公立小学校教諭。6年担任。小4と小2の母。

奥濃麻美先生

奥濃麻美
東京都公立小学校教諭。3年担任。小3と1歳児の母。

佐々木陽子先生

佐々木陽子
東京都公立小学校教諭。2年担任。小6男子の母。
YouTube「みんなの教育技術チャンネル」 にて「となりの陽子先生」好評連載中!

こちらの記事でも、出産や子育て、家事分担など気になる話題が満載!
【女性教師座談会】自分を犠牲にしない働き方はできる!

モード切り替えスイッチを持つ

ーー皆さんは担任を持ちながら子育て中ということで、とても忙しい毎日を送っているかと思います。オンオフの切り替えはうまくできていますか?

小田 私は完全に切り替えられるタイプです。自分の子供のことも考えなくてはいけないから、家にいる時まで学校のことを考える余裕はないですね。

奥濃 お迎えに行くときには完全にママモードになっています。イヤなことがあったとしても子供の前ではニコニコしていたいから、意識して切り替えるようにしていますね。

ーー学校でモヤモヤしたことを考え続けてしまったり、残務を家でやってしまう、ということはありませんか?

小田 家には一切、仕事は持ち帰りません。

奥濃 個人情報があるから持って帰れないということもありますしね。

佐々木 私は24時間、仕事のことを考えているかも……。例えば、YouTubeを観ていても「コレ使えるな」とか。でも、ストレスに感じているわけではなくて、それが性に合っているんですよ。雑務については、私も家では全くやりませんね。そういう線引きは必要ですね。

小田先生 1日のスケジュール(平日)
小田先生 1日のスケジュール(休日)

睡眠は一番大事。自分が何をしたら気持ちが楽になるかをわかっておく

ーー仕事に育児に家事に大変だと思うのですが、そんな中でも心身ともに元気でいられる秘訣を教えてください。

小田 実際、6年生の学級経営はかなりしんどいですよ。経験を重ねるほどヘヴィになっていって、大変なクラスを受け持つことになりますから。若手教師の育成もしながら、管理職の意向もくまなくてはならないし。保護者対応も重い部分を持たされるし……毎日へとへとです。それでも元気でいるには……とりあえずよく寝る(笑)。

佐々木 睡眠時間は一番大事だね。

小田 食べて飲んで寝る! それと、こうやって話して悩みを共有したりして、発散することかな。

佐々木 そうそう!

奥濃 私は、大好きな韓国の歴史ドラマを観ること。子供たちが寝た後に楽しんでいます。気分をリフレッシュできる、元気の源です!

小田 私もドラマはよく観るよ。お笑いとかも。録画しておいて休日にまとめて観たり。

奥濃 お子さんと一緒に?

小田 見るものもあるし…ちょっと見せたくないものはコッソリね(笑)。

佐々木 私は喫茶店で読書をします。教育とは全く関係のないビジネス書とか、今興味があることについての本を読むのが好きで。

小田 あとは、イヤなことがあったら、夫に話を聞いてもらうかな。

佐々木 小田さんのところはご主人が学校関係者だからよりわかってもらいやすいよね。ウチは学校のことは何もわからないから、アドバイスはゼロ。

小田 ウチもアドバイスはないよ。ふんふ~んって、聞いてもらうだけ。聞いてもらうだけで、気持ちがスッキリするんだよね。

ーー職場や家庭とは別のコミュニティはありますか?

小田 学生時代の友達の存在は大きいですね。

奥濃 私は、保育園のママ友とか、いろいろな友達とちょくちょくLINEしたりしています。

佐々木 私は、子供のサッカー繋がりのママたち。気の合う人と友達になって、子供のことで悩み相談したり。PTAでも仲良くなった友達がいますね。私が仕事で行けなかった行事の様子を専業主婦の友達が動画を撮ってくれたりもして、本当に助かっています。

奥濃先生 1日のスケジュール(平日)
奥濃先生 1日のスケジュール(休日)

ーー皆さん、仕事もプライベートも充実しているように感じますが、若い頃にロールモデルとなる先生はいたのでしょうか。

佐々木 いろいろな先生のいいところを組み合わせていた感じです。それぞれの先生によさがあるから。お母さん先生だったら、時間を決めてメリハリつけてやっている姿を見て、自分もああなりたいと思ったり。今でも、専門分野を磨いてらっしゃる先生を見たりすると、自分も自己研鑽していかなくちゃと気が引き締まります。たとえ、直接この人のようになりたい、と思えるような人がいなくても、周りにいる人たちのいいところを取り入れたらいいと思いますよ。

ーーいつもそんなふうに前向きな気持ちでいられますか?

小田 う~ん…波はありますね。問題をうまく収めることができたときなどはいい気分だけれど、もっと自分より面白い授業をやっているのを見たりすると、やっぱり自分はまだまだだと思うし。

佐々木 そうだね、波はあるよね。

小田 学校で子供にひどいことを言われたりとか、神経質な保護者とトラブルになったりとか…。

佐々木 自分でコントロールできないことはあるから仕方がないよね。

小田 そんなに悩まないけどね。「まぁしょうがない」と。飲んで寝る(笑)。それで終わり。

佐々木 それが一番! やっぱり睡眠大事(笑)。

女性教師対談
「睡眠が一番大切」と先生方

授業力は裏切らない。自信になって自分をずっと支えてくれる

ーーこれから教職を目指す人や、若い先生たちにアドバイスはありますか?

奥濃 教職に対するネガティブなイメージが広がっている今、先生になろうとする人たちは、すごく真面目で、そして夢をたくさんもっているのだと思います。先輩からのアドバイスは参考にしつつ、やりたいと思うことは遠慮しないでやってほしいです。自分勝手に推し進めると苦しむから、周囲と相談しながら。

小田 私は、授業を頑張ることが一番大事だと思います。「これだけは」と自信をもてる教科が一つあれば、どこでも通用するから。私は算数の授業力は極めたと思っていて、その技術は他のいろいろな教科や学級経営にも当てはめることができるんです。今は次のステップとして国語に力を入れているのですが、それがすごく面白い。国語の授業づくりに関しても、算数での経験を活かすことができる。楽しい授業づくりが子供を救うことになるし、自分の自信にもつながっていきます。

佐々木 小田先生と同じになりますが、初任のころ、指導教官が授業から学級経営をつくるようにとおっしゃっていて。算数の研究校だったので、それを極めるように言われました。やらされ感のある授業ではなくて、子供が解きたくなる授業をつくらなければいけない。授業をしっかりやれば、自ずと学級経営もうまくいきます。自分のベースにずっとあるこのことは、若い先生にも伝えたいと思いっています。

佐々木先生 1日のスケジュール(平日)
佐々木先生 1日のスケジュール(休日)

これからのキャリアプラン

ーー皆さんの今後のキャリアプランはどのように考えていますか? 

小田 私は、現場教師を続けていきたいと思っています。大変なんですけど、大変なことよりちょっとだけいいことが多いから。私にとっては、子供と直接ふれあうことのない管理職の仕事は、あまり意味がないんです。一方、夫にどうして管理職になったか聞いたら、教師が変わらないと子供は変わらないと思ったから、と言います。自分のクラスの子だけではなくて、学校全体を変えたいと。それもすごくわかります。管理職を目指す人は、状況を大きく捉えているんですよね。でも、子供を良くしようと思っている芯の部分は、みんな同じだと思います。

奥濃 私も同じで、子供と一緒にいたいので、管理職になることについては考えたことがありません。佐々木先生はすごいなって(笑)。

【関連記事】佐々木先生が管理職を目指した経緯などについてはこちらの記事をご覧ください→女性教師のみなさん!一緒に管理職を目指しませんか

佐々木 私は「管理職」になりたいわけではないんですよ。教育現場の現状を変えたいから、そのためには、権限が必要だと思うことが多くて。権限があった方が協力が得られやすくなることもあると感じたからなんです。例えば、教師が抱える多すぎる雑務の問題もどうにかしたいと思っていて。各学校でそれぞれ考えなさい、と丸投げされる状況も変えたいと思っているんですよね。

ーー最後に、これからどんな先生でありたいかの展望を教えていただけますか?

小田 子供たちからだけではなくて先生たちからも、「どっしり構えていていいな、安心するな」と思ってもらえるようなおばあちゃん先生を目指します。あったかくて、器の広い先生になりたいですね。

奥濃 私は、学校が大好きな子供だったんです。かつての私と同じ様に、みんなが学校が大好きと思えるようなクラスをつくりたいと毎年思っていて、そうするためにはどうしたらいいか、いろいろ仕掛けを考えて散りばめているんです。そんな学級づくりを続けながら、「この先生なら相談しやすいな」とか、「話を聞いてもらいたいな」と子供たちに思ってもらえる先生でいたいと思っています。

佐々木 現場教師のみんなの声を吸い上げて、改革!ですね。前進のみです。教員を定年退職した後も、ぐいぐい改革を続けるつもりです!!

取材・文/みんなの教育技術編集部


いかがでしたか? 
キャリアの描き方は人それぞれですが、先生の笑顔が子供たちの笑顔に繋がっているはず。自分の正解を見つけて、自分らしく働きたいですね!

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