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【先生のための学校】小二の発達的特性を知り「低学年の荒れ」を防ごう

2019/9/3

小学二年生をテーマに、学級を自発的・自治的な学習集団へと導き、 「低学年の荒れ」を起こさせないための教師の立ち位置を提案します。
本コーナーでは、「先生のための学校」で培われた知見を紹介していきます。
全国に広がる「学力の基礎を鍛えどの子も伸ばす研究会(通称:学力研)」の大阪地区の仲間が、十年以上にわたって続けてきた「先生のための学校」。
それは、教師力を磨くために教師が集まって学ぶための学校です。
どんな初歩的なことでも質問でき、教育技術の理論と実践をしっかり学べ、みんなでワイワイ楽しく情報を共有しながら、『教育とは何か』『授業とは何か』という本質論に迫ることができる研究会です。

執筆/「先生のための学校」校長・久保齋

 学力研「先生のための学校」校長・久保 齋
学力研「先生のための学校」校長・久保 齋

くぼ・いつき●1949年、京都府京都市生まれ。京都教育大学教育学部哲学専攻卒業。教育アドバイザー。40年以上にわたり「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」において《読み書き計算》の発達的意義について研究するほか、どの子にも均質で広範な学力をつける一斉授業のあり方を研究・実践し、現在も講演活動を中心に精力的な活動を続けている。

発達的特性に無知でいれば荒れは必ず起こる

2年生は、先生の思いに従い、その期待に応えようとする最も規範意識の旺盛な学年です。しかしその一方で、指導を誤り、教師の権威が崩れてしまうと、目も覆いたくなるほどの「低学年の荒れ」が起こり、子供たちは「サル返り」してしまい、収拾のつかない有様になってしまいます。

なぜ荒れが起こるのか。それは担任が2年生の発達的特性に無知であり、2年生のパワーを自発性の伸長や自治能力の育成に活用できず、いつまでも1年生扱いして抑え込もうとするからです。2年の担任は、やさしくも権威あるボスザルとして君臨し、子供たちを自発的・自治的な学習集団へと導かなければなりません。

「先生が言わはったやんか(それに従わないとあかんやろう)」、これが2年生の行動の初期のパワーの源泉です。これを活用しながら「みんなで決めたことだから頑張ろう」へとコマを進めていくのです。

教師は、やさしく権威あるボスザルにならなくてはならない
教師は、やさしく権威あるボスザルにならなくてはならない。
イラスト/イエロー・イワイ

「低学年は集中力が持続しない」は正しくない

2年生になった頃は、まだ幼さが残っている子供たちですが、6月ぐらいからは目に見えて成長し、頼もしくなります。「低学年は集中力が持続しない、気が散る」とよく言われますが、それは正しくありません。

この時期の子供たちは、多種多様な経験によって、脳のネットワークを多様に発達させようとしているのです。正確に表現するならば、「低学年の子は非常に高い集中力で、多種多様な経験を求めている」ということになります。従って、担任は短いスパンで、次々と多種多様な取り組みをさせましょう。このとき大切なことは、テンポのよさと明るさです。テンポのよい取り組み、テンポのよい明るい授業を心がけましょう。

2年になると、子供たちは学校生活にも慣れて、友達と話すことが楽しく、友達と一緒に何かをすることがとてもおもしろく感じられる時期になります。また、先生や親に褒められるのが嬉しい、褒められると頑張る時期でもあります。こんな特性を生かし、善悪の判断をしっかり教え、学級集団でのルールや、一斉授業の中での学習規律を身に付けさせること。また、お楽しみ会や学習発表会などで、自分たちで企画や運営をすることで、自主的に行動する力を付けさせることが大切です。

このような活動をより質の高いものにしていくために、班での活動を多くし、班リーダー会を組織し、議長団をつくり、学級会を充実させるなど、自主的・自治的な取り組みを進めなければなりません。

これは1年間の見通しです。1年生のときを踏襲して、徐々に変えていきましょう。大切なことは「授業づくりでクラスを変える」です。 2年生らしい授業で子供たちを育てるのです。

小言百連発でクラスは荒れる

「優れた教師は講話がうまい、ガサツな教師は小言が多い」。

これは教育界の常識です。教室を回ってみると、よくわかります。教師は実に小言が多い。教育には、注意することも指導することも必要です。では、小言と指導はどこが違うのでしょう。「やさしくなければ、指導ではない」、そう考えておくとよいと思います。

小言は「さっき言ったでしょ。あなたは何回言ったらわかるの。もっと先生の言うことをしっかり聞きなさい、もう」。まあ、こんな具合ですね。まず、やさしさがない。腹を立てている。そして、「自分はちゃんと言ったでしょう」 と、必ず自分のせいでないことを宣言し、できないことを子供のせいにしている。これが小言です。

優れた教師は小言を言いません。やさしく指導します。小言では教育的効果が上がらないこと、小言を言われる子供だけでなく、それを聞いている周りの子供が嫌な気持ちになって、クラスを暗くガサツにしていくことを知っているからです。

優れた教師は小言の代わりに、それを短い講話(お話)にして、当事者だけでなく、周りの子を、クラス全体を楽しく育てていきます。周りが変わっていくと、その子も変わってくるのです。小言で教育ができたら、こんな楽な商売はありません。でも、そうはいかないのです。

小言は教師によるいじめです。できない子をいじめるような先生は、みんなから嫌われて当然です。教室には不快指数計というのがあって、それがリミットを超えると荒れが始まり、学級崩壊へと進んでいくのです。クラスづくりはやさしさがいちばんです。

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『小二教育技術』2018年4月号 ~2019年3月号連載「先生のための学校」より

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