ぬまっち流「給食指導」のポイント|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
「ダンシング掃除」や「勝手に観光大使」など、子供の「自主性」を伸ばし、「やる気」を引き出すユニークな実践が話題のカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。今回は、「給食指導のポイントを知りたい」という先生の質問にお答えいただきました。
目次
配膳は全員最初は少なめ。チーム戦で残飯ゼロをめざす
給食ではまず、アレルギー対応は必須だよね。
その上で、子供たちに給食を配膳する際には、基本的に最初は全員少なめによそうようにしている。
そして、すべて食べ終えた人からおかわりOKにしている。
ボクは残飯を残したくないと思っているので、子供たちには「給食はチーム戦だ。チーム力で完食しよう」と伝え、食べられる子にはたくさんおかわりをしてもらい、できるだけ残飯ゼロを目指す。
実際、最初から少なめなので、極端に食の細い子以外は、ほぼ全員おかわりをしてくれるので助かっている。
また、最初に少なめによそうのは、完食の喜びを味わわせることもねらいの一つ。
とくに一年生は好き嫌いが多い子もいるので「残さず食べる」ということはかなり大変なこと。といっても、無理やり食べさせるのは、どっちも楽しくない。
だから、量は少なめにして、まずは自分の分を完食することを目指す。そして、みんなと同じようにおかわりできたら、たくさんほめて、達成感を味わわせるようにしている。
子供の日記を読んでいても、「初めておかわりができました!」という喜びのコメントが書いてあることが多いので、給食もスモールステップが大事だなって感じている。
ルールはみんなで決める。とくに「おかわりルール」は重要
給食のルールは、みんなで決めるようにしている。
学年が上がると、それぞれの学年でいろんなやり方を経験しているので、配膳やおかわりの方法、片付けのルールなど、きちんと統一する必要があるよね。
ボクの場合は、学年が変わった時、子供たちに「昨年度、一組はどうだった? 二組はどうやってた?」などと、それぞれのやり方を聞いてから、自分たちのクラスの給食ルールをみんなで決めるようにしている。
とくに「おかわりルール」は重要。
子供は、自分が嫌いなものはできるだけ食べたくないし、好きなものはたくさんおかわりしたいはずなので、このバランスはきちんとルール化したほうがよいだろう。
例えば、メニューが「わかめスープ」と「カレー」だった場合。
苦手なわかめスープは最初にかなり減らしてもらい、大好きなカレーばかりたくさんおかわりする子がいると、わかめスープもしっかり食べた子にとってはやっぱり納得できなよね。
だから、嫌いなものを最初に減らしてもらった人は、減らさずに全部食べた子たちがおかわりするのを終えるまではちょっと待つ。そしておかわりの第一段が落ち着いた後、自分が食べたいものが残っていれば、おかわりしてもOKにしている。
大事なことはみんなが納得できるルールにすること。
いまはコロナの影響で、みんなでワイワイおしゃべりしながら給食の時間を過ごすことは難しいけれど、できるだけ楽しく、有意義な時間にできるような工夫はしていきたいよね。
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵