子供への指導を「自分ごと化」させるコツは?|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

「ダンシング掃除」や「勝手に観光大使」などのユニークな方法で子供たちの「やる気」を引き出すカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。先日行われたオンラインセミナー(2021年3月30日実施)では、後半参加者から寄せられた質問に、一問一答形式で答えてもらいました。その質疑応答の内容を、3週にわたって紹介。今回はいよいよ最後の「後編」をお届けします!

ぬまっち連載
撮影/下重修

【沼田晶弘セミナーレポート一問一答】のほかの記事もチェック!
⇒ 〜前編~ 子供になめられないためには?
  ~中編~子供がウソをついているか疑わしいときには?

質問8:子供を指導するとき、「自分事化」させるためのコツはありますか?

物事を「自分事化」して捉えるためには、やはり「実体験」することが重要だと思う。

例えば大人でも、「料理を学びたい」という漠然とした思いがあっても、「おいしい料理を作れるようになりたい!」と自分事化して本気で努力しようとするタイミングは、「来週彼氏が遊びに来るとき」だったりするよね(笑)。

つまり、「あれをやればすごく楽しい」とか、「これをがんばらなくては、自分が望むよい結果は得られない」とか「自分には今これが絶対に必要だ」と分かる実体験ができれば自分事化できるはず。

子供たち自身に、どうすれば自分が楽しくなるのか、考えさせてみてもよいと思うよ。

質問9:毎日子供に日記を書かせるとき、返信を書く時間をどう捻出していますか?

ボクは日記を毎日子供に書いてもらい、必ずその日中に全員分コメントを書いて返却することを自分に課している。
日記をその日中にすべて読んで返すことは、ボクの中では最重要課題なので、毎日子供たちの下校時間から逆算して計画を立て、日記を読む時間を捻出している。
5分休憩の時間もすべて有効に使って日記を読むし、掃除も、給食の配膳も、子供ができることは全部子供に任せて、その時間を使って日記を読み、コメントを書く。

極端なようだけれど、掃除や給食、自主勉強など、いろいろなことをシステム化し、子供だけでできるようにしたことで、日記にコメントを書く時間を捻出するだけでなく、子供たちの自主性も伸ばすことができたと思っているよ。

質問10:沼田先生の実践はユニークですが、上司からストップがかかることはありますか?

自分がやりたいと思う実践があっても、管理職からストップがかかることは当然ある。

でももしストップがかかったら、「じゃあ、どうすればできるかな?」と、次の手を考える

「やらせてもらえない」と愚痴を言っていても何も変わらないからね。

学校の方針はそれぞれ違うし、保護者の価値観も、子供たちの現状も様々。どんな状況であっても、もし「NG」と言われたら、どうすればできるのか考え、できる限りやれる方法を探ってみるしかないんじゃないかな?

質問11:そりが合わない教員と付き合うとき気を付けていることは?

そりが合わないからではないけれど、基本的に学校では先生方とのお付き合いを重視するよりも、自分の仕事に集中しようと思っている

当然、勤務時間内は仕事なので「ほう・れん・そう」など、先生方と必要最低限のコミュニケーションは取るけれど、その他の時間は先生以外の人と会ったり、話をするようにしている。

なぜなら、日本にいる教員の数は、全体の就業人口の約1パーセントなのだそう。そしてボクたちが教えているのは、残りの99パーセントの職業の方々のご子息たち。だからボクは教育業界の中だけで凝り固まりたくはない。残りの99%の世界のことも知りたいし、もっといろいろな世界の人と話しながら、子供たちの学びをどうすれば楽しく、有意義なものにできるか考えたいと思っている。

最近はclubhouseを活用して夜な夜ないろいろな業界の人と交流しているけれど、教育論についても、学校関係者以外の人と話をするとより発見が多いと感じる。

だから、職場の人間関係で悩むよりも、そりが合おうが合わなかろうが、勤務時間は仕事として割り切って付き合い、定時で仕事は切り上げる。そしてそれ以外の時間はできるだけいろいろな業界の人と会って自己研鑽することにしているよ。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/

取材・構成・文/出浦文絵

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