初めて担任として外国人児童に会う日【外国人児童の担任になったら第1回】
入管法が改正され、在日外国人の方が増えています。それに伴い、日本語指導が必要な外国人児童たちが急増しています。「みんなの教育技術」に寄せられた声をもとに、担任が気になるポイントを想定し、3回の記事で説明していきます。今回は、第1のポイント、ファーストコンタクト編です。
目次
アンケートには現場の切実な声が寄せられました
『みんなの教育技術』に寄せられた多くの先生方の生の声をもとに、外国人児童支援のスペシャリスト菊池聡先生にQ&Aの形で指導や支援のポイントを教えていただきました。
ポイント1 初日が勝負。短時間でいかに多くのことができるかが大切
日本語が苦手な保護者は、その後、連絡がとれなくなったり、後からの連絡が難しいこともあり得ます。受け入れの段階で通訳をつけ、国が示す書類(*)などを参考にして必要事項を確実に聞き取ります。
(*)文科省が「海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関するホームページ」=CLARINETを開設しており、その中の「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)」内に詳しい資料がまとめられています。
CLARINET内当該ページはこちら
●保護者面談で確実に聞き取りたい必要事項
- 氏名
日本では「氏名」は「戸籍名」と同義ですが、「通称名」がある国もあります。「外国語表記の日本語での読み方」や「通称名を使うかどうか」も、その場で確認します。 - 生年月日
受け入れ学年を明確にするために、とりわけ注意が必要です。 - 日本滞在歴
パスポートなどを見せてもらい、学校側で把握できていたほうがよいでしょう(高校受験の特別試験と関係する場合などがあるため)。
【学級担任のための外国人指導ハンドブック 菊池聡著/小学館刊】より抜粋
ポイント2 学校生活の「見通し」が持てるよう情報伝達を
教師が無意識にイメージしている「学校生活」は、自分が受けた「日本の学校教育」です。もしかしたら、外国人児童やその保護者の「学校生活」のイメージは、全く違うかもしれません。
四季のない国から来た子は、寒さに慣れていません。「給食」に、なかなか適応できない子もいます。遠足に「餃子だけのお弁当」など、その国の文化が詰まったお弁当を持参して、恥ずかしがる子もいます。
まずは、外国人児童の立場になって、お互いの「差異」を想像してみてほしいと思います。 外国人児童が日本の学校生活のイメージを少しでも持ちやすいよう、「授業や給食、掃除は、こんな感じなんだ。運動会、宿泊学習もあるんだよ」など、画像や映像などで伝えてあげられるとよいですね。
ポイント3 学習用具は担任がストックを用意しておく工夫も
来日直後の保護者は、当面の生活を回していくだけで、経済的に手一杯のことも多いものです。PTAと協働して、年度末に使わなくなったランドセルや体操着、お道具箱、手提げ袋などを寄付してもらってストックしておき、貸し出す工夫もあります。
集中連載「外国人児童の担任になったら…」ほかの回もチェック!
【2回目】~学級での居場所づくり編~
菊池聡●きくちさとし 横浜市立小学校教師。2001~2003年に香港日本人学校に勤務。帰国後、国際教室を担当。学校という組織の枠を超え、幼稚園・保育園から中学・高等学校との連携、地域ボランティア団体などとの協働を進め、多文化共生と、日本語教育を含めた子供たちの教育という視点から多文化共生の地域づくりに取り組む。著書に『学級担任のための外国人児童指導ハンドブック』(小学館)『< 超・多国籍学校 >は今日もにぎやか!ー多文化共生って何だろう』(岩波書店)などがある。
外国人児童の教室支援の決定版!
教室での「困った!」を解決!
『学級担任のための外国人児童指導ハンドブック』
菊池聡/著
小学館
取材・構成/楢戸ひかる イラスト/畠山きょうこ