学校の勉強と塾の勉強の違い……11月の気付き【令和2年度新任教師のリアル】

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これは、2020年4月に小学校の先生の道を歩き始めた、小学校教諭・優花と美咲(仮名)の対談連載です。 ともに1997年生まれ、学生時代から仲がよい2人が、イベントの秋を振り返ります。夏休み明けに、新型コロナウィルスの感染拡大に気を付けつつ、どのように子供たちと向き合っていったのでしょうか。

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●優花(ゆうか)……東京都出身。大学時代は道徳教育の研究に力を注ぐ。某県の教員採用試験に合格し、現在公立小学校3年生の担任。

●美咲(みさき)…… 東京都出身。楽器の演奏、運動や体操が好き。学芸会や運動会など大きな行事の運営を研究。私立小学校2年生の担任。

コロナ対策の堂々巡りの会議

――11月はイベントなどもなく、ガッツリと日常生活が続いたと拝察しますが…。

美咲・ 私の学校は私立なので、受験の準備がありました。私は1年目なので、ベテラン先生に従って、試験を運営するだけでしたが。

優花・ 改めて聞くと、新鮮。公立は義務教育だから、試験がない。たぶん、新入生の入学準備で忙しくなるのは年が明けてからだと思う。

美咲・ そうだよね。11月に入って、新型コロナウィルスの感染拡大がニュースになって、そんな中での受験だったから、いつもより手間も時間もかかったよ。

優花・ 公立はあまり気にしている人はいないかもしれない。それよりも、日常生活を送ることが優先されているかな。3~4月とは異なり、手洗いとマスクである程度の予防ができるとか、いろんなことがわかってきている。「コロナ禍を受け入れて日常生活を送ろう」というふうになっているかな。子供たちもマスク生活に慣れたみたいだし。

美咲・ 私の学校はそうもいかなくてさ……電車通学している子供が多いじゃない。そういうこともあって、保護者の方がものすごく不安になっていると感じるの。マイカー通学は禁止なんだけれど、一時的に解禁をしないのかなど、毎日のように問い合わせがあり、不安が不安を呼んでいる感じ。

優花・ コロナ禍ばかりは、しょうがないよね。

美咲・ しょうがないんだけれど、それを対応しているという姿勢を見せなくてはいけない。なので、そのために緊急会議が開かれたりして、へとへとになるよ。今月、感じたのは「私の力が役立っている」と思う仕事は、どれだけやっても疲れない。例えば、授業とか、教材研究とか、そういう仕事ね。

優花・ うんうん、わかる。

美咲・ コロナ対策の会議は、私の力はもちろん、校長先生だって何もできないじゃない。それなのに、先生方が全員集まって、2~3時間も、コロナという解決できない問題に対して話し合うの。

優花・ それは意味がないね。かえって先生方も不安になるだけだよね。責任を取るって、とりようもないじゃない。

美咲・ それそれ! 私は子供の事だけを見ていたい。そもそも、授業の遅れを取り戻したいし、子どもたちと向き合っていきたい。

テスト結果で見えた、学校と塾の違い

優花・ 正直、コロナ禍の授業の遅れは、計り知れないものがあるよね。いつもの半分以下の授業時間で教えている教科もあるから。

美咲・ そうなのよ。11月になって、「この子、わかっていると言っているけれど、実はわかっていない」という雰囲気を察知できるようになった。

優花・ 私も!!! あるある! 無難にやり過ごそう、という子供ならではの逃げみたいなアレ(笑)。

美咲・ わかるわ~。それで、1学期で勉強したことの、振り返りのテストをしたの。子供たちも、最初は「こんなのもう、勉強したよ」と文句言っていたんだけれど、時間が進むにつれて、「あれ?」って感じになった。わかっているつもりで、わかってないことを目の当たりにしたみたい。

優花・「塾に行っているから平気だよ」という子に限って、学校の問題を間違える。

美咲・ さすが! その通り。塾の勉強と学校の勉強は違うからね。塾の勉強は受験のテクニックであり、学校の勉強は理解を問う問題が多い。問われている質問の方向性がわかっていないと、回答ができないものも多々あるからね。

優花・ 学校の勉強という基礎があっての塾。私も、そういうことも11月になって見えてきた。それで、テスト結果はどうだったの?

美咲・ 二極化だった。やはりコツコツ向き合う子は、80点以上が取れていた。1学期はクラスでも中の下くらいの成績だった子が、点数をしっかり取り、けっこう飛ばし気味に勉強していた子が、半分くらいしか取れなかった。

優花・ すごい大逆転だね。

美咲・ そうなの。だから、復習に重点を置くようになったかな。優花ちゃんはどう?

保護者の立場になって電話連絡をするように

優花・ 私はコツコツと授業をしていたな。そして、保護者の方と会えないから、学級だよりを2週間に1回くらい出していた。

美咲・ すごいね。学級だよりって、主任→主幹→副校長→校長→事務の方の5つの承認が必要。承認に1日半くらいかかるから、先送りにしてしまう。

優花・ そうなんだよね。まあ、事故防止なんだろうけれどね。私の学校は、1日で戻してくれるから、やりやすいんだよね。学級だよりは、よかったことを中心にまとめていたら、クラスの雰囲気が不思議と明るくなったような気がする。

美咲・ 先生はつい、悪いことを注意する側に立つことが多い。だから、よいことを伝えるって、とても意義深いと思うな。

優花・ 保護者の方との信頼関係もできてきて、お叱りの電話はここのところ、ほぼゼロかな。

美咲・ そうなんだ。でも、子供同士のトラブルってあるじゃない。例年に比べて多いみたいだし。みんな、ストレスが溜まっているからね。

優花・ 友達に強い言葉を使ったり、手が出てしまったり、そのたびに保護者の方に電話をする。保護者の方も、学校からの電話って、「またウチの子が叱られる」と身構えていることがあると思うんだ。そういうのって、伝わってくるんだよね。だから先にその子のいいところを言うようにしている。

例えば、「今日はお話があるのですが……その前に、○○さんは、最近、友達に対しても、やさしい言葉をつかえるようになったんですけれど、今日は手が出てしまったみたいで……」とかね。

美咲・ 保護者の方の立場に立っているんだね。先にいいことを言うと向こうも受け入れる体制になってくれる。他にどんなことに気を付けている?

優花・トラブルがあったら、すぐに電話をしている。すぐに報告すると、あとで問題がこじれないとわかったんだよね。

美咲・ それは私も見習いたい!

優花・ やってみて! 人間関係が変わるから。先生の仕事って、「事故やトラブルを起こさないこと」がとても大切。

美咲・ わかる。「便りがないのが、よい便り」って言葉がしみじみと感じるようになった。

優花・ 12月は忙しくなるから、お互い、体調に気を付けて乗り切ろうね!

美咲・ そうだね! がんばろう!

取材・文/前川亜紀

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