家出騒動も!!トラブル多発の7月【令和2年度新任教師のリアル】

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これは、2020年4月に小学校の先生の道を歩き始めた、小学校教諭・優花と美咲(仮名)の対談連載です。 ともに1997年生まれ、学生時代から仲がよい2人が、7月の日々を振り返ります。短縮授業、時差登校に加え、誰もが経験したことのないイレギュラーな事態に直面。そしてあっという間に夏休み。とにかく時間がない日々を、2人はどう取り組んだのでしょうか。

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撮影/高野宏治

●優花(ゆうか)……東京都出身。大学時代は道徳教育の研究に力を注ぐ。某県の教員採用試験に合格し、現在公立小学校3年生の担任。

●美咲(みさき)…… 東京都出身。楽器の演奏、運動や体操が好き。学芸会や運動会など大きな行事の運営を研究。私立小学校2年生の担任。

猛ダッシュで過ぎていった一学期

――通常に近い学校生活が始まりました。7月の1か月で、お二人はずいぶん日焼けされていますね。

優花・ そうですか! 体育の授業や朝礼などで、外に出る機会が増えましたし、子供たちを外で見守る機会もあったので、日焼けしているかもしれません。

美咲・ 授業以外でどんなことがあるの?

優花・ 学童保育の見守り。研修の一環として、夏休みの2日間、8時30分~16時45分まで地域の学童に子供を見守りに行っているの。いろんな学校の子供が来るけれど、つい自分のクラスの子にはいつものように接してしまう。「先生、他の子には優しいのに、私たちには厳しい~」って言われているよ。

美咲・ 結構ハードだね。

優花・勉強の面倒を見て、外で運動させて、ご飯を食べさせて、お昼寝をさせる。こんなに子供を眠らせるのが大変って、初めて知った。

美咲・ハイテンションになると手が付けられなくなるからね。夏休みの前は、やることが多くて大変だったよね。今年は一学期の通知表がなかったから助かったけど、休み中の注意点や、課題の指示などやることがたくさんあってびっくりした。

立候補?くじ引き?PTAの役員決めにヒヤリ

優花・今年は時間がなくて、全てが駆け足というか、猛ダッシュで過ぎて行った。夏休みの1週間前に保護者会を行って、たった1週間で保護者の方に子供たちの工作物などを取りに来てもらわなければならなくなったのだけど、協力いただいてありがたかった。

美咲・ 保護者会は対面で?

優花・ 対面でおこなったの。ベテラン先生が、成績や宿題などの説明をし、私は夏休みの「お知らせとお願い」を伝えた。いざ、あの場に立つと、プリントを読み上げるしかできないと感じた。個人面談は今年はやらなかった。

美咲・ そうなんだ。保護者会と個人面談はZoomで行ったよ。保護者会で心苦しかったのは、PTAの役員決め。

優花・Zoomでどうやってやったの? 私のクラスは保護者会ですんなり決まったけど。

美咲・ 立候補してくれる方がいれば、その方にお願いしたけれど、あれは保護者任せでは難しいよね。

優花・ 最後は、くじ引きになるよね。私の学校も隣のクラスがそうなっていたけれど、決まると、みんな拍手していて、あたたかい方が多いと思ったよ。ところで、個人面談って何を話したの?

美咲・ 子供と接する時間がないから、ひたすらその子のいいところを探して言葉にして伝えたよ。

全てが駆け足なのに、学級だよりの承認者は5人

優花・まずはいいところを探すのが、私たちの仕事だよね。ところで、私立の小学校って夏休みはどんなことを指示するの?

美咲・ 生き物を飼っているので、世話係を決めることが重要課題。命に関わるからね。あとは、夏休みの課題はテーマを決めてそれに取り組むものが多いので、説明をすること。

課題は個別に決めるんだけれど実際に作るものもあるの。だから、保護者の方も含めて、テーマの決め方や取り組み方のヒントを促した。

優花・ 自ら考え、実践する課題が出されるんだね。考え方の根本が違うと思った。そうだった、私自身も今は課題がある……その準備もしなくては!

美咲・ 何? どうしたの?

優花・ 9月に国語の研究授業があるんだけれど、子供たちの傾向として、物語は理解できても、説明文を読む力が弱い。この弱い部分を、新学期からどう身につけていくかが課題。今年は夏休みが短くてよかったと思うことも。

美咲・ この1学期は時短授業だから、理解しても定着させる時間がなかったよね。だから、一時期、復習型の授業に切り替えたのだけれど、それでは時間がなくなってしまう。自宅学習を促したけれど、やっているかどうか。

優花・ そうだよね。とにかく時間がない。子供たちとコミュニケーションをとりたくても、個別にケアができない。学級だよりをもう少し出したかったけれど、出すまでに5人の先生の承認が必要だから、つい諦めてしまった。

美咲・ そんなに必要なの!? 

優花・修正などを経て、承認までに1週間かかるから、なかなか出さなくなるよ。9月の新学期には出したい…。

生きた心地がしなかった、子供の家出事件

美咲・ ウチの学校はそこまで厳しくないけれど、公立はいいなと思った事があるよ。

優花・ それは何?

美咲・ 初任者研修があること。週10時間以上、年間300時間以上の校内研修と、年間25日以上の校外研修は手厚いと思う。私立はないから、横の繋がりができないし、いろいろ心配なことがある。

優花・確かに言われてみると、そうだね。校内の場合、ベテラン先生に教えていただくことが多い。私の場合は、「なんでもやってみなさい」という先生が多いからいいけれど、“丁寧=熱心”みたいな先生になってしまうと辛いと思うな。

疲弊しかけている人もいると聞くし。校外の初任者研修も始まっていて、そういうことも含めてとにかく時間がない。

美咲・ そうなんだ。あ、そうそう。学年の子供に大きな事件があったよ。

優花・ ケンカとか? ケガとか?

美咲・ 隣のクラスの子供が家出して、大騒ぎになってしまったの。自宅から100キロ離れた場所にあるおばあちゃん宅がある駅に行ってしまって。

不審に思った駅員さんが保護してくれたんだけど、そうでなかったらどうなっていたか。ご両親が半狂乱で学校に来て、学校でも手がかりはないし、見つかるまでの4時間は生きた心地がしなかったよ。

優花・ 問題を抱えている子だったの?

美咲・うん。いろいろあるけれど、そこまで大胆なことをするとは誰も思っていなかった。今後は行政との連絡も必要になるので、これから学年の先生全体でケアをしなくては。

優花・ 夏休みは、いろいろなことが起こるから、私も今から緊張している。今年は何もかもがジェットコースターみたいで、私も必死。お互いに頑張ろうね!

取材・文/前川亜紀

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