2020年度の振り返りと、本音【令和2年度新任教師のリアル】

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これは、2020年4月に小学校の先生の道を歩き始めた、小学校教諭・優花と美咲(仮名)の対談連載です。ともに1997年生まれ、学生時代から仲がよい2人が、毎月の出来事を振り返ります。今回は「2020年度が終わって感じた本音」。公立小学校に勤務する優花と、私立小学校の美咲、それぞれの思いを語り合いました。

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●優花(ゆうか)……東京都出身。大学時代は道徳教育の研究に力を注ぐ。某県の教員採用試験に合格し、現在公立小学校3年生の担任。

●美咲(みさき)…… 東京都出身。楽器の演奏、運動や体操が好き。学芸会や運動会など大きな行事の運営を研究。私立小学校2年生の担任。

新たなルールが加わった代わりに、なくなったこと

―― あっという間に一年が終わりました。

優花・ 秒速で終わった印象です。不完全燃焼している部分が多いです。

美咲・ それは私も。大学時代に運動会や学芸会など、集団行事について研究し、自分も先生になったら「あれもこれもしたい」と思っていたことが、全て新型コロナで飛んでいった。

優花・ それはあるよね。初年度がこれだけイレギュラーな年度って、戦後初めてじゃないのかな……とも思う。

美咲・ ウチの学校は異動がなく、何十年も信念をもって子供を指導してきた先生は、「新しい生活様式」の下での指導が本当に苦しそうだった。体を使ってはダメ、話してはダメ、子供たちが一丸となって目的に向かって努力する機会が完全になくなったから。

優花・ そうか。美咲ちゃん、創立以来、ずっと続いていた宿泊行事がなくなった、って言っていたもんね。

美咲・ 子供たちが朝から晩まで一緒にいるからこそ、分かり合えたり、仲が深まったりする。そういう行事がなくなったことに対して、落胆している先生も多かったよ。

優花・ でも時代の節目だよね。ウチの学校も林間学校と修学旅行が中止になった。でも、子供たちは、目の前の事しか見ていないから、年配の人が「かわいそう」などと言っても、すぐに忘れているみたいだった。

美咲・ わかる! 「新型コロナは人のつながりだけでなく、文化も引き裂いた」という考えもあるけれど、時代に合わせて学校が変わる、いいチャンスだとも思った。

優花・ 例えばどんなこと?

美咲・ 子供の指導に直接関係がない、PTAの過度な協力とか、無駄な会合とかね。

優花・ それはある。地域行事への協力もなくなった。でも、新しいルール作りというか、子供の遊びや学校生活にOKとNGの判断をする業務ができたよね。例えば、ドッジボールはいいけれど、体を近づけるダンスはダメとか。

手洗いのタイミング、マスクの着脱、給食の黙食。卒業式も、名前を呼ばれて返事をしてから、一度マスクを外して卒業証書を受け取って、再びマスクをつけることで行うことにしたりね。

「怒る基準」が明確になった

美咲・ 細かく見なくてはならないから、子供たちを叱る……というか、怒ることが増えた。私は物心ついてから学校の先生になりたくて、教育学部に行って、先生になった。

やりがいがある仕事も多いけれど、実際は一部の子供たちのしょうもないケンカやふざけ合い、感染症対策のルールを守らない子を注意したり、怒ったりすることが多かった。「私は怒るために先生になったんじゃない!」って思っていた。

優花・ 私も同じだよ。日々、子供たちを叱っていたと思う。というか、“怒る”だね(笑)。夏休み明け頃から、自分の中での「怒るルール」が明確になってきたんだよね。

私は、やらないこと、できないこと、失敗に対し怒るのではなく、「やろうとしないこと」に対して怒りを覚える。クラスにすぐ手が出る子がいて、そのたびに「どうして相手を叩いたのか考えよう」と言っていたんだけど、この前、その子が「めんどくさい」って言ったの。それに私はブチ切れた。

美咲・ 優花ちゃんが怒る姿が想像つく。どんなことに対しても学びを得て、未来につなげていくのは、優花ちゃんの信念だよね。

優花・ 私が怒っていたら、クラスのリーダー格の女子が、「みんなで考えよう」と提案してくれた。

美咲・ すごい。信念が伝わっている。先生の仕事は“道を正すこと”だと思う。

優花・ 公立のクラスって、家庭環境も能力もバラバラな子供たちが入ってくるんだけれど、クラスに数人のリーダー格の子が出てくるの。秋くらいから、私の考えを、彼女たちが感じ取って、なんとなく信頼関係が結ばれてきたんだよね。

もちろん、特別視をしたり、ひいきはしていないよ。でも、言葉にしなくても、私が何をしたいかを察知し、クラスの運営を助けてくれていたの。

美咲・ 思いは伝わる。私のクラスにもそういう子がいて、やっぱり女子。

優花・ そういう子たちが、クラスをいい方向に導いてくれて、子供たち同士で成長できるクラスになったらいいな……と思って。今年は1か月間の休校があったから、クラスが落ち着き始めたのが、夏休み明け頃だったけれど、来年度は1学期のうちに、私の考えや信念を伝えていこうと思っている。

やっとクラスになれたのに、またイチからリスタート…

美咲・ クラスは変わってしまうの? 私の学校は、クラス替えが2年に1回だから。

優花・ うちは毎年クラス替え。問題を抱える子がいれば、相性がいい特定の先生が受け持つこともあるみたいだけど、ほとんどいないかな。

美咲・ 来年度はまたイチからクラスを作り直すのか。今年は子供たちに関わる時間も短くて、やっと落ち着いてきて、お互いに人となりがわかったところで解散と言うのは、消化不良が残るね。

優花・ そうなの!!!

美咲・ あと1か月あれば、よりよい成長に導けるとかあるよね。子供たちの潜在能力みたいなものが、今やっと見えてきたことを感じるから。

優花・ 今年度は、時間が圧倒的になかった。潜在能力といえば、成績表を付けたんだけれど、評価の線引きは本当に悩ましかったよ。

美咲・ あ~あれは大変だったね。私の学校は、所見欄多めで成績は参考程度。公立は明確にランク付けするもんね。

優花・ テストの点数を入力して、評定を出すんだけれど、それと私の日々の記録が合わないのよ。点数はいいけれど、思考・判断・表現においてはイマイチだな……とか。データは人を判断できないと、毎回心から思っていたよ。

美咲・ 子供が成績に納得いかないと、保護者の方に「根拠はなんですか」と説明を求められることもあるもんね。

優花・ 先生“あるある”だよね(笑)。

美咲・ 子供のことになると、それまで「学校も先生も大好きです」と言っていた方が、眉間にしわを寄せて「これはどういうことですか!!」って“キャラ変”して怒鳴り込んできたり。

優花・ 何度かその場面を見たわ……今年、幸運にもなかったけれど、あれは避けたい。

美咲・ ね~。それで、どうやって評定をつけたの?

優花・ 私の勤務校は、先輩の先生方が客観的かつ論理的で、迷っているとわかりやすく教えてくれるんだよね。“長年の経験から導かれた、言葉にできない微妙なさじ加減”を聞いて、なるほど!と。

美咲・ やはり人と人が会わないとダメだよね。今、私が一番したいことは、優花ちゃんをはじめとする、全国に勤務しているゼミのメンバーや後輩たちと研究室で飲みながら、アレコレ話すこと。

優花・ それやりたい!! 1年分のアレコレが溜まっている。トライ&エラーしたこと、頑張ったこと、泣いたこと。

美咲・ 消化不良なこともあったし、達成感を覚えることも多々あった。でも私たちはやり切った。新型コロナで様々なことが限られていく中、頑張ったよね。

優花・ 私たちも成長したと思う。また来年度もあれこれ話そうね!

取材・文/前川亜紀


美咲と優花の「新任教師のリアル」は今回で最後になります。着任早々、緊急事態宣言による休校で、初授業はオンラインで始まった今年度。直面する現実に苦悩する日々もありましたが、教師へのステップを確実に踏んでいく二人の姿を、間近で見守ってきた一年でした。

これから教職を目指す方、新たなスタートをきる新採先生に、美咲と優花の一年の軌跡が役立ちますように!

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