小5理科「物のとけ方②」指導アイデア

執筆/大阪府公立小学校指導教諭・宮下由美子
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿

単元のねらい

物が水に溶ける量や全体の量に着目して、水の量や温度などの条件を制御しながら、物の溶け方の規則性を調べる活動を通して、それらについて理解を図ります。観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を育成します。

小5理科「物のとけ方②」指導アイデア
イラストAC

単元の流れ(後半二次 総時数 6時間)

◆三次 水に溶けている物を取り出す(4時間)

① 前時までに使っていた飽和水溶液を観察し、問題を発見する。

温度を上げて溶ける量が変化するのかについて調べた水溶液(食塩&ミョウバン)
●温度を上げて溶ける量が変化するのかについて調べた水溶液

食塩水は何も変化がないのに、ミョウバンの水溶液は結晶が出てきたよ。どうしてかな。

食塩水とミョウバンの水溶液では、溶け方にどのような違いがありましたか。

食塩は温度を上げても溶ける量はあまり変わらなかったけれど、ミョウバンは温度を上げると溶ける量がとても多くなった。

水溶液の温度が下がったから、溶けていた物が出てきたのかな。

■単元デザインのポイント■

前時の温度変化の実験で作った飽和水溶液を観察して、問題発見を行います。観察用の水溶液は、温度によって溶ける量があまり変化しない食塩水と、温度によって溶ける量が大きく変化するミョウバンの水溶液などを用います。ミョウバンの水溶液だけ結晶が出てきたという結果から、「結晶を生じさせた要因」について予想させます。飽和水溶液を作ってから時間が経ったことで、「どのような条件が変化したのか」「食塩とミョウバンの溶け方でどのような違いがあるのか」といった、前時までの学習で得た知識を使って予想を立てられるようにしましょう。

② 水の温度や量によって物の溶ける量が変化する性質を利用して、溶けた物を取り出す。

本単元は「粒子」を柱とした領域に位置付けられており、主に「質的・実体的」な見方を働かせて追究していきます。溶けている様子を図や絵などを用いて表すことで、溶けた物が水中にあることを捉えることにつなげます。
また、主に働かせたい考え方は「条件制御」です。それぞれの物が溶ける量は、水の量と温度によって決まっています。前回はこの2つの条件を制御して、より多くの物を水に溶かしましたが、今回は条件を制御することで逆に、水に溶けている物を取り出せることを捉えられるようにします。

◆四次 学習したことを活用する(2時間)

① ミョウバンの飽和水溶液からミョウバンの結晶を作る。

単元の終わりに期待される振り返り

海水から塩を取り出すって聞いたことがあるけれど、僕たちがやったように、蒸発させているのだね。

塩味がする味噌汁も、蒸発させたら食塩が出てくるってことだね。水を蒸発させれば、溶けて見えなくなっていた物が出てくるってことだ。

授業の展開例

イラスト/高橋正輝、横井智美

『教育技術 小五小六』2019年12月号より

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