ぬまっち流「やる気が出ない日の過ごし方」|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

子どものやる気を引き出すユニークな実践が話題の沼田晶弘先生。今回は、ご自身が「やる気が出ない」というときはあるのか。やる気が出ないときには、学校でどう過ごしているのか聞いてみました。

撮影/下重修

やる気がでなくても、
とにかく学校へ行くと決める

ボクもやる気がでない時は、当然あるよ。

教師だけれど、登校拒否したくなる日だって、しょっちゅうある(笑)。

でも、どんなにやる気がでなくても「時間になったらとりあえず学校へ行く」ということを自分に課している。

これは昔からの習慣といってもいいかもしれない。

例えば学生時代。部活は運動部だったので朝練があるんだけれど、眠いし基本的には行きたくないわけ。でも、ボクはとりあえず行くと決めていた。行ってしまえば、行ってしまったで、ちゃんとやるタイプだってわかっていたんだよね。

だから、やる気がなくても、調子が乗らなくても、とりあえず学校に行くと決めている。

もちろん、体調が悪いときは別だよ。今は、新型コロナウイルスの感染予防の観点からも、体調が悪い時は絶対に無理はしてはいけないと思っている。

「今日はやる気が出ない」
と自覚することが大事

調子が乗らないときは、「今日は自分はいつもと違う」「調子が悪そうだ」ということを認識することが大事だと思っている。

だから、いつもと違うと感じた時、その段階ですでに子供たちと関係性ができているようだったら、

「ごめんなさい。今日は精神的に弱っていて調子が悪いんだよね。いつもの通りにはできないかもしれないけど、よろしくね」などとと宣言してしまうこともある。

調子が悪いのに調子がよいふりをするのは大変だし、どこかでボロが出てしまうと思うから。

もちろん、前述したように、最近は、軽々しく「調子が悪い」と言ってしまうと、新型コロナウイルスの感染を疑われることもあるから、伝え方には注意が必要だよ。でもまずは自分の調子が悪いということは自覚しよう。

無理に気持ちのスイッチを
入れない方がうまくいく

ボクは「先生だから、いつも元気でいよう」とか「先生だから子供の前ではこういう態度をすべき」と自分を型にはめることはしていない。

だから、調子が悪いからといっても、無理やり自分にスイッチ入れて元気を出そうとはしないんだ。

ただ、経験上「調子が悪いな」と思っているときのほうが、どこかで自然とスイッチが入る。

恐らく、やる気がでないと自覚し、そういうときもあるさ、と割り切ることで、いい具合に力が抜けるのだと思う。

子供たちの前では常によい先生でいようと無理をせず、自然体でいることを心がけることで、ふとしたことがきっかけで何かがうまく回り出し、そこから徐々に調子が上がってくることもよくある。

だから、やる気が出ない時でも、 とりあえず時間になったら、学校には行く。授業を始める。 そして、なかなか調子が上がらなくても、そういうときこそ、いつもよりも子供たちに助けてもらったり、どうしてもうまくいかない時は謝ったりしながら、 自分にできることを精いっぱいやる。
そういう姿を子供たちに見せることも、ひとつの学びになるんじゃないかな。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。
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取材・構成・文/出浦文絵

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